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――なんか、カラダの中がカラッポになった気分というか、野原に一人放り出された気分というか、急にさみしさが、じわっと……。
だってよ、長野駅に新幹線が着いて、星子、てっきり、宙太が一緒にきてくれるものだとばかり、思っていた。
「仕事もあるけど、やっぱ、ハニィのガードのほうが大事だよな」
とか、
「ハニィは、わが命、君にもしものことがあったら、ボクチャン、生きていけない」
とか、
いつもの宙太なら、そんなオイシイ言葉を並べて、星子にくっついてくるはずだ。ところが、宙太、新幹線を降りると、
「んじゃ、バァイ! いいオトコさがし、頑張れよ。でも、ま、このボクチャンがイチバンだけどさ」
なんて、ニカッと笑いながら、すたすたといってしまった。
星子、あ、ゴンベエも、キョトンだ。
そのあと、一人ぽっちにされたさびしさが、キューンと……。
ちょっと、ちょっと、星子チャン。今のあんたには、大事な目的があるんでしょ。あんな男のことに構っている暇はないはずよ。
そう、そうでした。宙太さんがなにさ。あいつは、わたしの人生にとってジャマなだけ。うざったいヤツ。いなくなってサバサバしたぞっ。
星子、そう自分にいい聞かせて、行動開始だ。
かなり、ムリしてる感じ。
ウ、ウルサイッ。
ということで、星子、各駅停車の電車に乗り換え、稲荷山駅へ。蔵屋敷は、その稲荷山という町にある。なんでも、昔は、善光寺街道でも一番大きな宿場で、当時の蔵屋敷が今も残っているわけ。
そうそう、この近く、須坂市小布施の蔵屋敷の町並み、あちらもいいよね。小布施は、あの偉大な浮世絵師・北斎にちなんだ美術館もあって、女性の観光客がいっぱい。
ま、それはともかく、そろそろ、お日様も西に傾きかけたし、のんびりしてはいられない。星子、お雛様の展示会場だった蔵屋敷を見つけると、中へ入った。
シーズンオフだし、特別展もなく、内部は閑散としている。
星子、休憩室の卓上に置かれた想い出ノートを見つけると、急いでページをめくってみた。
あった!
あの赤いリボンの帽子の女の子が描いた雛人形と杏の花のスケッチ、そして、そのすぐ下に、星子の名前と住所がノートに残っている。たしかに、これでは、星子がこの絵を描いて署名した、と、天川光サンが勘違いしてしまったのも無理はない。
星子、女の子の名前とか住所がどこかに書いていないか、調べてみた。でも、残念だけど、それらしいものは見つからない。
これでは、わざわざ、やってきた甲斐がないじゃないの。
星子、がっくりとため息をついた。
すると、そこへ、蔵屋敷の管理人さんのオバサンがきて、
「上手な絵でしょ」と、星子に話しかけてきた。
「なんでも、お雛様が大好きなんだそうですよ、この絵を描いた人」
「え?」
星子、思わず立ち上がった。
「話したんですか、この絵を描いた人と!」
「ええ、とても熱心にお雛様を見ていらしたのでね。今、住んでいらっしゃる所も、流し雛のお雛祭りで有名だそうですよ」
「流し雛のお祭り? それって、どこですか?」
「さぁ、あの時は混んでいたし、話の途中で他のお客様に呼ばれましてね、それっきりに……」
「そうですか……」
星子、ちょっと、肩を落とした。でも、あの赤いリボンの帽子の女の子、流し雛のお祭りで有名な所に住んでいるようだ。
それなりに、手がかりになるかも。
星子、キッと顔を上げた。
と、その瞬間、ゴンベエがゴロゴロニャーォと鳴きながら、リュックから顔を出した。
「どうしたの、ゴンベエ?」
いぶかしげに見た星子の視界に、二人の男の影が……一人は、なんと、宙太だ。そして、もう一人はマサルだった。
(つづく)
追記 今回舞台の稲荷山や小布施ふくめて、春から初夏の信州は、サイコウです。流し雛で有名なあの町も、ロマンチックでいい所だよね。
ということで、この先、どう展開していくことやら。
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星子さんの行く先に現れる、宙太さん&マサルさん。役者が揃っていくなぁ〜! 流し雛と言えば? 続きが楽しみです♪
2008/5/2(金) 午前 6:15
マサルさんキタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ ! ! !
登場してくれないかなぁ〜ソワソワwと思っていただけに現れてくれたので嬉しさ倍増ですよ(*´д`*)w
つ、続きが気になります…(><;)
2008/5/2(金) 午前 8:54 [ ゆうきあおい ]
本当、仕事三昧のGWなので、先生のお話だけが唯一の楽しみです。続ききになりまーす!
2008/5/2(金) 午前 11:33 [ ari*ru*97*11*1 ]