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それにしても、艶やかなこと。
星子が思わず見とれたのも、無理はない。春之介のいでたちときたら、まさに、舞妓そのもの。じつに、よく似合っている。
わぁ、ハルチャン、舞妓さんになったんだ!
その春之介、星子をかばいながら、にっこりと一乗寺を見つめた。
「まぁ、水も滴る、いいオトコはんや。うちが、お相手さしてもらいますぅ」
「なに!」
起き上がった一乗寺、ナイフを構えながら、ふと、にやりと笑った。
「お前、そんな格好しているけど、本当は男、つまり、オカマってやつだな」
「ちょいと、兄ちゃん、それをいうんなら、ニューハーフとか、ミスターレディとか、三丁目のお姫様とか、もっと、気のきいたいいかたがおますやろ」
「三丁目? 夕日が丘の?」
「違う違う、新宿三丁目、カンの悪いアホや。いくら、美形のにいちゃんでも、うち、すかんわ」
「てめぇ!」
一乗寺、猛然と切りつけてきた。
すると、春之介、ひらりとジャンプ、はいていたポックリを脱いで、一乗寺の顔面にガツンとパンチをくわせた。
「うわっ」
よろけた一乗寺に、春之介、帯をさっとはずして、空中へ投げた。すると、帯は大蛇のように空中でうねると、サーッと下りてきて、一乗寺の体に巻きつき、投げ飛ばした。
一乗寺、悲鳴をあげたまま、夜の闇へ消え去った。
「あ、ありがと……」
星子、礼をいったあとで、体がフラッと……すかさず、春之介が支えてくれた。
「大丈夫、星子ちゃん?」
「うん……」
ホッとして、体じゅうの力が抜けたらしい。
「でも、春ちゃん、どうして、ここに?」
「ずっと、あとをつけたの」
「あとを?」
「じつはね、宙太さんに星子ちゃんのガードを頼まれているわけ」
「宙太さんに!」
「なんか、わけありのようだし、よろしくって」
「そう……」
さすがは宙太さん、手抜かりはないってわけか。
「あ、いっとくけど、あたし、宙太さんにいわれなくたって、星子ちゃんを守るつもりよ。だって、大事な未来の家元夫人だもの」
春之介、熱く燃える瞳で星子を見つめた。
そうか、この前、春ちゃんはこういったっけ。自分の妻になる人は、星子さん以外にはいないって。
春ちゃんは、華道花陰流の御曹司。結婚すれば、当然、わたしは家元夫人か。うん、悪くない話……なんて、こんな時に蒸し返すなっ。
「でも、星子ちゃん、どういうわけで、女雛役の女の子をさがしているわけ?」
「……」
「あたしにも話せないの? そんな水くさい仲なの、ね、星子ちゃん?」
「……春ちゃん……」
春之介の顔、悲しそうに歪んだ。今にも、泣き出しそうだ。
泣かれたら、大変だ。もう、収拾がつかなくなる。
「いいわ、春ちゃんならわかってくれそうだから……じつはね……」
星子、リュックの中から例のラブレターを取り出して、事情を話した。
「そういうことだったの。だから、宙太さんやマサルさんには、理由をいえなかったのね。
さすがは、星子ちゃん、いいとこあるわね。あらためて、スキになっちゃった。キスしたぁい!」
春之介、星子をギュッと抱きしめて、顔を……。
わわっ、やめてよっ。
それでなくても、舞妓さんの格好で迫られたんじゃ、気持ちが悪くなる。
「いいわ、あたし、手伝ってあげるから!」
春之介、星子を抱きしめたまま、いった。
「ありがと。でも、手がかりがまだ……」
「ちょっと、星子ちゃん、未来の家元夫人がなにいうのよ。この京都には、我が花陰流の関西本部があるのよ。そのネットワークを使えば、じきにわかることでおます」
春之介のおちょぼの唇が、ホホホッと笑った。
(つづく)
追記 いよいよ、おおづめのようで。もう一息、ファイトです。それにしても、いやぁ、まいったです。リツコと番長のラブロマンス編? 期待してくださる声が、いくつも。こうなると、つぎのキリ番で書かざるをえませんな。やれやれ、なんて、ほんとは、僕が一番、読みたいです、ハイ。ま、頑張ってみます。
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春ちゃん、星子さんの事好きすぎwww(笑)
星子さんに抱きついても怒られないっていいなぁ春ちゃん...(待て)
なにより春ちゃんの女装が健在で嬉しかったです(*´ω`*)w
次のキリ番企画がリツ子嬢番外編とかホントですか!!
それは嬉しすぎますよwww
次回もしっかりと狙わせてもらいますねwww
2008/5/15(木) 午前 11:12 [ ゆうきあおい ]