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――ちょっと、ヤバイかな……。
星子のオツムの中を、もやっとした不安が漂ってきた。お腹のあたりも、さっきから、チクチクする。
なんせ、天女学園といえば、名前はメルヘンぽくって、ハイソな感じの学校に聞こえる。ところが、実態はデスネ、落ちこぼれの男の子や女の子を、かろうじて拾ってくれる、それこそ、偏差値カンケイナイの学校だ。当然、オッカナイ生徒もたくさんいて、警察のご厄介にしょっちゅうなっているとか。
星子も、落ちこぼれ予備軍だけど、通っている学校のランクは、ま、都内でもトップクラス。リツ子のような秀才のお嬢様がわんさかいる。そこでの落ちこぼれ予備軍だから、天女学園の落ちこぼれと比べてはかわいそうだけどね。
そのオッカナイと評判の天女学園へ今から乗り込もうというんだから、さすがの星子も、ビビりがち。ま、無理はないデス。
都内の某繁華街に天女学園の校舎がある。緑豊かな星子の学校と違って、まわりは雑居ビルやマンション、商店街、怪しげなホテルなんかに囲まれ、どきついネオンや看板だらけだ。環境も良くないし、ますます、オッカナイ学校というイメージがふくらんでくる。
同時に、花太郎の悪いイメージもバンバンふくらむ。リツ子から一応、話は聞いてあるけど、この分だと、もっと、スゴイことになりそうだ。
星子が緊張しまくって校門に近づくと、妙に静まり返っている。
ま、放課後ってこともあるけど、部活はあるだろうし、普通の学校なら、もっと、賑わってもいいはずだ。それとも、本日は部活もお休みかな。
首をかしげながら、校庭をのぞくと、ほとんど、人影はない。でも、隅っこのほうには、野球部の選手達が四人ほど、座り込んで休んでいるようだ。その中には、花太郎らしきモサの姿は見当たらない。
星子、ちょっと、ためらったけど、女は度胸!と、覚悟を決めて校庭へ入った。
近づいてみると、野球部の部員たちは、バットやグローブはそっちのけで、のんびりとマンガを見たり、ケータイでメールなんかしている。
なんだろ、この連中。どうなってんのよ。
星子、呆れながら、声をかけた。
「ちょっと、すいません」
でも、皆、マンガやケータイに夢中でこっちを見ない。
「部活、お休みなんですか?」
「開店休業」
部員の一人が、メールを打ちながら、ぼそっと答えた。
「うちらだけじゃないの。どの部活も右ならえ。ついでに、お勉強のほうも、開店休業デース」
部員達、ケラケラと笑った。
なんて、無気力な学校なんだろ。これなら、荒れているほうが、まだ、マシかもね。
星子、やれやれと肩をすくめると、
「あの、花屋敷花太郎さんってヒトに会いにきたんですけど、いますか?」
星子が花太郎の名前を口にしたとたん、部員達はビクッと顔をあげて、星子を見た。
その顔には、ハッキリと脅えが浮かんでいる。
「ハ、ハナコですか?」
部員の一人が、いった。ジャガイモみたいな子だ。
「ハナコ?」
「い、いえ、花屋敷花太郎センパイですね…」
「ハナコって呼ばれてるわけ?」
「あ、はい、い、いいえ、とんでもないですっ」
部員の顔は、ピーマンよりも真っ青になった。
「そうか、ハナコっていうんだ」
ちょっと、からかってみると、
「チガイマス!」
もう、今にも気絶しそうだ。
ゴメンネ。
「とにかく、呼んでくれない? あ、わたし、流星子っていうんだけど」
「それが、いないんです」
「いない?」
「昨日から、休んでるんです。部活も学校も…」
「どういかしたわけ?」
「ちょっと、待って下さい。マネージャーを呼んできますから」
ジャガイモくん、じきに、マネージャーを呼んできた。キュウリみたいなやせっぽちだ。
「細井といいます。ハナコ、あ、いえ、花屋敷センパイに御用とか…」
「お休みなんですってね。どこかにお出かけかしら」
「はい」
「どこ? わたし、大事な話があるんだけど」
「スイマセン、それは、ちょっと…」
細井、口ごもった。
「でも、練習があるんじゃないの、甲子園に向けての…必ず、甲子園のキップを手に入れて見せるって、ハナコさん、私の友達に誓っているはずよ」
「シッ、ハナコなんて、呼ばないでください」
「自分だって」
「ひっ、聞かなかったことに…コロサレマス…」
細井、星子に手を合わせた。
なんだか、かわいそう。
「たしかに、その話はセンパイからうかがっています。でも、うちは予選で七回コールド負けしてますから、甲子園に出ることは、もう…」
「ほんと?」
星子、憮然となった。
「そうか、だから、ボディガードでごまかそうと、リツ子に付きまとっているわけね」
「は? ボディ…」
「いいから、花太郎、ううん、ハナコの居所を教えてよっ」
「そ、それは…」
「なによっ」
「自分のイメージがこわれるから、いうなって…口止めを…」
「何が、イメージよっ。わたしを怒らすと、あなた、タダじゃすまないから! それでも、いいの!」
星子がすごんでみせると、細井クン、
「こわいなぁ、ボク、強い女のヒトって、苦手なんです」
情けなさそうな顔で、いった。
「僕から聞いたなんていわないでくれますか…」
「ええ、大丈夫。わたし、お財布と同じくらい、口は堅いから」
なんて、お財布のほうは、どうかな。
「じつは、その…センパイは、自宅に…」
「家にいるの?」
「はい、体の具合が悪くて、動けないって…」
「じゃ、病気ってこと?」
「たぶん…」
「ウチはどこ? 今からいってみるから」
「そ、そんな、とんでもない! お宅にはいかないほうが…絶対に、ダメです!」
細井、必死の形相で叫んだ。
「どうして?」
「あ、あなたの命が保証できませんっ」
「わたしの命が?」
「は、はいっ、花屋敷センパイの父上はヤクザもふるえ上がるほどの地元のボスで、その上、家には、四人の魔女軍団が…」
「魔女軍団?」
「は、はいっ、無事に帰れた人間はいないという、こわーい評判が…」
細井の体、小刻みに震えている。
「……」
父親は地元のこわーいボスで、家には、四人の魔女軍団がいる…なんとも、恐ろしい話じゃないですか。
さぁ、どうする・
星子、腕組みをして、天を仰いだ。
でも、いかねば。
いってみたい。
リツ子のため、というより、こわいもの見たさ、とでもいいますか、好奇心のほうが星子の背中をドスンと押した。
(つづく)
追記 いよいよ、星子さんと花太郎の対決だ。でも、手ごわい魔女軍団とやらもいるようだし、はたして、どうなりますか。
なお、ちょっと、目のほうが疲れぎみですので、間が空くかも…よろしくです!
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何か、怖いもの見たさってのがわかる〜!(笑
私も星子さんと一緒に、こっそりと覗きに行きたいかも…。
壁|・)…コッソリ
2008/6/8(日) 午後 8:41
こんばんわ。星子さんシリーズは中学から好きで、いつかは自分も旅してみたい!なんて夢を膨らましていました。だからこのサイトを見つけたときは、あの頃の思いが蘇って嬉しかったです。この番外編もドキドキしながら楽しく読んでいます!これからもガンバって下さい
2008/6/8(日) 午後 8:47 [ ひとみ ]
ほ、ほ、細井くんキター*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
密かに大ファンなので星子さんとの会話シーンが見れて萌えましたw
魔女軍団というのはハナコ様のご姉妹ですよねwww
私も早くお目にかかりたいですwww
大変お祝いが遅くなりましたが本日は小次郎くんのお誕生日ですね!
小次郎くん、お誕生日おめでとう御座います(*´Д`*)*・゜゚・*:.。..。
小次郎くんには早く大人になってほしいと思い、でも、ずっと可愛いままでいてほしいとも思ってますwww
2008/6/8(日) 午後 8:58 [ ゆうきあおい ]
うわ〜!星子さん参戦(?)でいよいよ、おもしろくなってきました。お屋敷のりこんで〜。楽しみです!
2008/6/8(日) 午後 11:23 [ t-osada ]