星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

番外らぶっす

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番外らぶっす・13

                  13

 こ、これは、悪夢か。
 夢なら、今すぐ、さめてくれ。頼みます、カミサマ、ホトケサマ、ダルサマ!
 宙太、目をつぶって祈った。
 でも、残念ながら、夢じゃなかった。ケータイの画面には、リツ子のメガネザルもどきの顔が大きく写っている。
 それも、取り澄ました、お高くとまった顔でなくて、でれでれ、くしゃくしゃ、うるうる状態とでもいおうか、とても、正視できない、というより、まともに正視したら、こっちが卒倒しかねないほどだ。
 そのリツ子サン、
「アハーッ」
 なんともせつない吐息をつくと、
「夢、夢ならさめないでぇ」
 冗談じゃない、こっちはさめてほしいぜ、と、宙太クン。
「そうよ、あたし、いつも夢見ていたの、宙太さんがあたしにキスしてくれる夢を…その夢が、とうとう、かなえられたのね…カンゲキ、もう、死んでもいいくらいよォ」
 そう、まさに、今にも死にそうな顔だ。
「あなただって、そうでしょ。あたしにキスする夢を、何度も何度も見たんでしょう? そうよね?」
 うはっ。
「ま、まってくれよ、リツ子さん…」
 宙太、たじたじとなりながらも、いった。
「あのね、いっておくけどさ、つまり、その、僕は直接、君にキスしたわけじゃないぜ。あくまで、ケータイの液晶画面にちょいと軽く…」
「いいえ、ホントのキスよ。あなたの唇のぬくもり、甘い吐息が、あたしのこの唇にそよかぜのように触れたのよ。あたし、はっきりと感じたんだから」
「思い込みだよ、それは。第一だよ、僕には、君にキスする理由がないし…」
「ウソ、今さっき、キスする時にいったじゃないの、愛しているって…」
「それは,物のはずみ。たまたま、君の前に電話をしていた相手と勘違いしてさ…」
「え?だぁれ?」
「誰って、つまり、その…」
 宙太、口ごもった。まともに星子の名前を出したら、どえらいことになる。
 いや、名前をいわなくても、リツ子のヤキモチ爆弾が大爆発するかもネ。
 ヤバイぞ、と、思った時、リツ子はくくくっとご機嫌な笑い声をたてた。
「宙太さんって、ほんと、シャイなかたねぇ」
「シャイ? この僕が?」
「恥ずかしくて、あたしの名前をいえないんでしょ。カワイイ!」
よ、よせっ、虫酸が走る。わかってないぜ、おたく。まるで、わかってないっ。
 まさに、天動説リツ子サンだ。
「でも、よかった、宙太さんの気持ちがあらためてわかって。星子の話だと、宙太さん、今お仕事で忙しいそうだし、助けてもらうのは、ちょっと、無理かなって思ってたの。でも、あたしのこと、こんなに愛してくれてるんだもの、命に代えても守ってくれるはずよねぇ」
 ああ、このあくなき身勝手さ。宙太、もう、反論する気力もなく、
「花太郎ってオトコのことかい。話は星子さんから、聞いてるけど」
「そう、だったら、話は早いわ。あいつに、きっちりお灸をすえてやって。もう、二度とリツ子さんには近づくな。逮捕するぞって」
 お灸とは、古臭い。やっぱり、お嬢様育ちのせいかね。
「今すぐ、やってくれるでしょ、ね、宙太さん?」
「いや、いくら、リツ子さんのためでも、今すぐはムリだよ」
「どうして?」
「手負いの猪ほど危険な奴はいないからね。一刻も早く捕まえないと」
「じゃ、あたしはどうなってもいいの? ね、宙太さんっ」
「そういうわけじゃないけどさ、とにかく、花太郎クンのことは、あとできっと…」
「あとじゃ駄目よっ、あたし、もう、限界なの。ノイローゼで死にそうなの。助けて、宙太さんっ」
 リツ子、とうとう、泣きながら訴え始めた。
 サイアク。
 こっちこそ、ノイローゼで死にそうだぜ。
 宙太が吐息をついた時だ。一台の覆面パトカーが走ってきた。
「警部!」と、叫びながら、運転席から顔を出したにのは、マサルだった。
「ホシの手がかりがあったぜ!」
「ほんとか!」
「ホシの乗った盗難車が、台場の潮風公園の近くで目撃されたんだ!」
「よし、いこう!」
 宙太、キッとなると、
「リツ子さん、緊急事態なんだ。また、あとで連絡入れるから!」
「そんな! ちょっと、宙太さん…」
「ワリイ!」
 宙太、ケータイを切ると、覆面パトカーの助手席に飛び乗った。
 ふーっ、これで少なくとも、当分、リツ子の呪縛からは解放されたわけだ。
 宙太、ほっと一息ついた。
 でも、宙太は気づいていなかった。リツ子が、ケータイで、宙太とマサルの話を聞いていたことを…。
「…潮風公園、ね…」
 リツ子、思いつめた顔でつぶやいた。

                        (つづく)



追記  天動説レディのリツ子さん、この先、どういう行動に出るか、ま、かなり、やばいことになりそうだけどね。
 ところで、今日、外出したついでに、話題の副都心線に乗ってきました。その感想。やっぱり、山手線はいいなぁ! 東京の都心の大パノラマを見ながら、走るんだからね。地下鉄はいくら便利でも窓の外が暗い。僕は光がほしい!ほんとは、窓から吹き込む風も。君の長い黒髪をなびかせる、都会の風を…。

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リツ子は、星子さん以上に行動派(笑
勘違いで派手に動かれるほど、宙太さん達は大変だよなぁ〜!
なんだか、宙太さんはもちろん、リツ子に振り回されるマサルさんのリアクションが楽しみかも〜(笑

2008/6/16(月) 午後 11:44 くにざわゆう

リツ子さんのこれからの行動がどうなるやら。。。
ハラハラドキドキの展開になりそうな予感が・・・
宙太さんの今後の動きが楽しみです♪

2008/6/17(火) 午後 6:20 かおりん

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やっぱ、宙太サンがでてくると
ついついニヤニヤしちゃいます。

2008/6/17(火) 午後 8:13 [ cielwine ]


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