星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

星子とパパの恋旅ガイド

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「宙太さんっ」
 星子は、キュートなお口をあんぐりと開けた。
 今にも爆発しそうになったカンシャク玉が、寸前で一時停止。
 わたしとしては、助かった、という気分だ。ヒートアップした星子をなだめられるのは、宙太しかいない。
「痛いっ、はなして!」
 宙太の手を振り払おうとする星子を、
「ま、ま、ま」
 宙太は、やんわりと抱き寄せた。
「あったかーい! それに、クンクン、とっても、いい匂い!」
 抱きしめながら、星子のやわらかな髪を右手の手のひらですくい、香りをかいで、たれ目でニタリ。
「んもぅ、やめて!」
 払いのけながら、飛びのく星子だ。つんととんがった唇の可愛いこと。どうやら、カンシャク玉の火は消えたらしい。
 さすがは、宙太。星子のウィークポイントをよく知っている。星子の生みの親であるわたしとしては、ちょっと口惜しいし、嫉妬を感じてしまう。
 宙太は、軽く咳払いすると、五月に笑顔を向けた。
「お久しぶりです、五月さん」
「どうも」
 五月は、長身を折り曲げるようにしながら、丁寧に頭を下げた。 
 そんな二人の様子を、星子はきょとんとした顔で見た。
「宙太さん、知ってるの?…」
「五月さんのことかい? モチロン」
 宙太は、うなずいた。
「以前、一緒に仕事したことあるから。すぐれものデカだぜ。あ、ちょっと目にはデカには見えないけどね。俺と同じでさ」
「ふっ、自分でいってれば、世話ないじゃん」
 クスッと笑う、星子だ。
 そういえば、『旅刑事』シリーズで、宙太を登場させたことがあった。あの時の二人の活躍ぶりは、なかなかのものだった。
「だけど、五月さん、おたくにここで会うとは思ってもいなかったな」
 宙太は、五月を見た。
「函館から、この列車に乗ったみたいだけど」
「見ていたんですか」
「うん、獲物を追いかけているハンターって顔だったぜ。ターゲットはなんだい?」
「――」
「水臭いね、ま、所属する部署が違うから、しょうがないか。おたがい、獲物は一人じめにしたいからな」
 宙太は、にやりと笑った。
 こういう仕事がらみの話は、ふだんの宙太からは聞けないセリフだ。星子には、いつもと違う宙太の顔を見た気分だった。
「じゃ、こっちからいいますか」
 宙太は、軽く咳払いした。
「つまり、こういうことじゃないのかな…おたくは、ターゲットがこの列車に乗っているという情報をつかんで、今夜、飛行機で函館まで飛んできた。ところが、そのターゲットは、函館駅に着く前に、この列車の中で射殺された…」
「……」
「ターゲット、すなわち、ガイシャのことだけど…」
 宙太は、ケータイを広げた。
「今さっき、本庁から指紋照合の結果がメールで入ってさ。それによると、被害者は振り込め詐欺グループの幹部で、名前は大黒雄一、38歳。埼玉や愛知、神奈川で起きた連続殺人事件に一枚噛んでいるとして、検察庁から全国に指名手配されている男だ」
 殺された男が、そんな大物だったとは。わたしの背中を、悪寒のようなものが走った。
「五月さんにしてみりゃ、こんなにアタマにくることはないよな。しかも、大黒を殺したホシは、まだ、この列車に乗っている可能性が高い。そこで、この列車に乗り込んで、ホシをとっ捕まえようと…」
「――」
「そのホシの手がかりを、星子さんが知っていると思ってるわけだ。そうだろ?」
「でも、わたし、何も知らないの。だいいち、列車の中で殺人事件があったことも知らないんだから」
 星子は、宙太に訴えるようにいった。
「ほんとに、知らないわけ?」
「当たり前よ! わたしが、嘘をついているとでも思ってるの!」
「あ、いや…」
「そう、宙太さんって、わたしを信じていないのね。そういう人なわけ! だったら、もう、絶交よ! 二度とわたしの前にあらわれないで!」
「そ、そんなぁ」
 星子のものすごい剣幕に、宙太は、たじたじとなった。
「わ、わかったよ。じゃ、一つだけ聞かせて。オネガイ」
「なによっ」
「なぜ、君がこの2号車の寝台車にいるかってこと。君が乗っていたのは、5号車だろ?」
「さぁ、なぜかしら」
 星子は、首をかしげた。
「気がついたら、ここに寝ていたの。それだけよっ」
「つまり、その間の記憶がないってことかな」
「そうね、だから、事件のことも全然覚えていないの。五月さんとかいうわからず屋の刑事さんにも、よく説明してやって。すっごく、アタマが悪そうだから!」
「ちょ、ちょっと! ハニィ!」
 宙太は、顔の汗をぬぐった。
 わたしも、同じだ。自分が作り出したキャラなのに、手に負えない感じだ。これでは、五月も怒り出すんじゃないのか。
 だが、その心配は無用だった。五月は、相変わらずクールな顔で、星子を見据えた。
「ヘタな芝居は、やめるんだな」
「え?」
「記憶喪失なんて、嘘だろう。本当は、かばっているんだ」
「かばう? 誰をだ?」
 けげん顔の宙太に、五月はいった。
「もちろん、殺しのホシさ」

                        (つづく)



追記  いよいよ、紅葉の季節が到来ですね。うかれているうちに、ちょぴり風邪をひいてしまい、思うようにいきませんです。ま、じっくりとやっていきますので、よろしく!

閉じる コメント(4)

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特に昼夜の気温差が大きいですからね。
お大事になさってください。

2008/10/19(日) 午後 9:39 [ cielwne ]

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事件の内容がわかってきて益々面白くなってきましたね♪d(⌒〇⌒)b♪これからも楽しみです(o≧∇≦)o 最近、昼間は暑くて夜は肌寒いので風邪をひきやすいですね。
私の友達が風邪を拗らせて肺炎で入院しています。風邪は万病の元っていうし早く良くなることを祈っています!

2008/10/19(日) 午後 10:02 [ いちそこ ]

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やっぱり宙太さんは星子さんの扱いが上手ですね☆
二人のやりとりにドキドキしちゃいました(^^)
でも、星子さんは誰かをかばってるなんて・・・
続きがメチャクチャ気になります!!!!!
・・・でも、山浦さんの体調のほうが、もっともっと気になります。
風邪にはビタミンCが良いらしいですよ。
無理をしないように、ゆっくり続けてくださいね☆

2008/10/19(日) 午後 10:17 [ とも ]

そうか、星子さん、犯人をかばっているんだ〜。確かに星子さんだったら、事情を聞いたら場合によっちゃ身を呈してかばいそうですネ〜。
続きが楽しみです〜♪
お風邪ですか? 味覚の秋なので、しっかり美味しくて栄養のあるものを摂ってくださいネ!!

2008/10/20(月) 午前 4:41 くにざわゆう


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