星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

星子とパパの恋旅ガイド

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「南千歳、南千歳です」
 車内アナウンスが流れ、ドアが開いて乗客達が次々と降りていく。
 急行『はまなす』が南千歳のホームに滑り込んだのは、早朝5時24分、まだ、あたりは薄暗いが、南千歳駅は札幌の近郊都市だし、新千歳空港へ乗り入れる千歳線や、夕張、新得、帯広、釧路方面へ向かう石勝線との乗り換え駅でもある。降りる乗客も、それなりの数だ。
 その中に、星子や春之助、それに、圭一がいないか、宙太は、最後部の1号車のデッキから、たれ目を大きく見開いた。
もちろん、ホームの連絡通路のエスカレーターや階段のあたりは、鉄道警察隊がしっかりと見張っている。それに、列車の先頭の7号車からも、五月がホームに鋭い視線を送っている。
五月には、今さっき、『まりも姫伝説』の内容をメールで伝えたところ、「きびしい事件になりそうだ。全力でがんばるしかないな」と、返信がきていた。さすがは、五月だ。宙太には、じつに頼もしい存在だった。
ほぼ1分たって、発車のチャイムが鳴り始めた。今のところは、星子達の姿は見当たらないようだ。どうやら、降りなかったらしい。
「だからって、まだ、安心は出来ませんよ。ハニィは、しぶといからね」
 そう自分にいい聞かせた時、デッキでフニャーゴと、鳴き声が聞こえた。
 一々、確かめなくてもわかる。ゴンベエのやつだ。
 宙太が目をやると、まさしくゴンベエくんが、こっちを見ながらあくびをしているところだ。
「このォ、人の顔を見て、あくびはないだろ」
 宙太は、憮然となった。
「で、ご主人様はどこだい? お前さんが乗っているからには、ハニィちゃんも、まだ、この列車に…いんや、ちょっと、待った! もしかして、俺の注意をそらすための陽動作戦かもね!」
 星子なら、それくらいのことはやりかねない。
 宙太は、あわてて、ホームへ顔を突き出そうとした。だが、寸前でドアが閉まり、額をドアガラスにぶつけた。
「イテッ」
 それを見たゴンベエが、デッキで嘲笑うように鳴いた。
「こ、こいつ!」
 睨みつけた宙太に尻を向けて、ゴンベエはひらりと走り去った。
 とっ捕まえておしおきしたいところだが、星子のことが気になる。走り出した列車のドア窓からホームへ目をやった。だが、スピードが上がるにつれて、見極めが難しくなってくる。さらに列車の速度が増して、たちまち、ホームの先端が後方へ流れ去った。
 しまった、と、歯噛みしたが、五月もホームに出て見張っていたし、星子が降りれば気がつくはずだ。宙太は、急いで携帯電話をかけた。
「あ、美空だけど、ドアが閉まる寸前、星子さんが降りなかったかな?」
「いや、別に。大丈夫だ。立川圭一が降りた気配もないぜ」
「確かに?」
「もちろん。しっかり確認したから」
「そうか」
 五月がそういうのなら、安心していいようだ。
「じゃ、まだ、星子さんも圭一も、この列車に乗っているわけか。そうなると、札幌経由で、まりも姫の住む大雪山麓へ向かうかもな…」
「札幌経由でか」
「うん、大雪山へ行くには、旭川までいって、そこから、バスで入るのが一般的なコースだからな」
「なるほど」
「よォし、こうなったら、札幌に着くまでに、かならず、見つけてやるから。五月さん、おたくも、もう一度、先頭の7号車から洗い直してくれ」
「わかった」
 宙太は、携帯電話を切ると、
「ハニィ! もう、逃げられないぜ。俺の火のような愛からも! なんて、一言余計かな」
頭に手をやると、1号車へ戻り、あらためて車内の捜索をはじめた。
札幌到着まあと、三十分足らず。今度こそ、必ず、見つけて見せる。
間違いない、きっと!
そう意気込んだ宙太だった。
そして、朝の6時07分。
急行『はまなす』は、定刻に北の都・札幌に到着した。やっと眠りから覚めた札幌の街並みが、朝もやの中に広がっている。
「宙太君、星子は見つかったのか?」
 わたしは、ホームに降りると、宙太を見つけて聞いた。睡眠不足に心労が重なり、わたしの体調も今一つだった。
「それがさ…」
 宙太の顔には、焦りの色がくっきりと浮かんでいた。1号車から4号車まで、懸命の捜索にもかかわらず、星子はみつからずじまいだった。
「で、五月君から、何か?…」
「いや、まだ。探しているんだけど、ホームにはいないんだ」
「いない?」
「ちょっと、待って。電話してみるから」
宙太は、携帯電話をかけた。
「あ、もしもし、五月さん? そっちはどうだ? どうなってる?」
 ちょっと間をおいて、五月の静かな声が聞こえてきた。
「大丈夫、星子さんは俺の視界のなかにいる。春之助君もな」
「よかった! で、今、どこ? 何号車にいるわけ?」
「いや、『はまなす』には、もう、乗っていない」
「じゃ、ホームに降りたの? どこだい、すぐ行くから!」
「あ、ホームでもないんだ」
「え? じゃ、どこに?」
「札幌からは、かなり離れた所さ」
「ちょっと、五月さん。人をからかうんじゃないの」
 宙太は肩をすくめたが、五月の声は冷静だった。
「キャリアの警部をからかう余裕なんて、俺にはないさ」
「ええっ」
 宙太は、携帯電話をギュッと握り直した。
「じゃ、ホントの話かい?」
「そういうこと」
「お、おいっ」
「捜査のためには、星子さんを泳がすしかないんだ」
「な、なにぃ!」
 宙太の顔から、血の気が引いた。
「バ、バカヤロッ、星子さんの身にもしものことでもあったら…」
「心配するな。俺が命を賭けて守るから」
「ふ、ふざけんな! とにかく、居所を教えろよ! すぐ、そっちへいくから!」
「その必要はない。というより、これは警部のためでもあるんだ」
「俺のため?」
「立川圭一は、こういったんだろう…捜査を続けると、警部の命が危ないって…」
「し、しかし…」
「俺は、警部が好きだ。むざむざ、死なせるわけにはいかないぜ。あとは、まかしてくれ。いいな」
「バカいえ! 俺は…」
 宙太がいいかけた時、電話はプツッと切れた。
「あ、もしもし! もしもし!」
 必死に叫ぶ宙太の声を、わたしは呆然と聞いていた。

                      (つづく)



追記  五月クン、いくら捜査のためとは言いながら、とんでもない危険な作戦を始めたようだ。ほんとに、困った男だ。この先、どんなことになるのか、僕にもさっぱり読めない。ま、なるようにしかならないかな。
 それはともかく、話は変わりますが、今、北海道でブレークしている「生キャラメル」なるものを食べてみました。
 ん!…うん…。
 てなところが、僕の感想かな。ま、どう解釈するかはおまかせしますが。それにつけても、昔、子供の頃に駄菓子屋で買ったミルクキャラメル、おいしかったな。甘い物があまりなかったせいか、今も口の中にあの甘い味がはっきりと残っている。今も残る味といえば、給食で食べたサケ缶、旧日本軍のものだったらしいけど、食べる物がろくになかった
せいか、じつに、じつに、美味しかった。で、今も、サケ缶には特別な思いのある山浦でアリマス!
 そうそう、当時のアメリカ兵が僕たちにばらまいたガムやチョコレートも、ほんとに美味しかった。
 ギブミーチョコレート!
 ギブミーチューインガム!
 ついでに、
 ギブミー・ラブ!

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はいは〜い(^0^)/
Loveをあげますよ…なんちって(*^o^*)
今日は冷えますね。冬って気がします(:_;)お互いに、体調に気を付けなくては…ですね(^o^;

実は私も生キャラメルを北海道からの土産で食べてみました そして、私も旦那も… ん!…うん… う〜ん ってな感じでしたね(^^)高級品な感じでした(^o^)

さてさて… 今回もなかなかビックリさせられました(^^; 五月さんと星子さんが接近する機会がでてきましたね(o^-^o)ドキドキです(o≧∇≦)o でも、宙太さんにとってはじっとしていられない…そして、先生も… どうする?どうなる? 目が離せません!

2008/11/18(火) 午後 10:11 [ いちそこ ]

星子さん、これからの展開で五月さんに恋しちゃうんでしょうか…ドキドキしますね〜vvv
あとはマサルさんが早く出てきてくれないかと待ち遠しいです^^

2008/11/19(水) 午前 0:09 [ - ]

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札幌から離れた所に居るなんて、やっぱりゴンベエはオトリだったんですね
あ〜、続きが気になります。

2008/11/19(水) 午後 3:34 [ とも ]


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