星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

おかえりママに薔薇のキス

[ リスト ]

 
                 4
 
「ママ、いってきまーす!」
「パパ、いってきまーす!」
 星丸と宙美、真っ赤なフェラーリの後部座席から手を振った。
 ハンドルを握るのは、春之介だ。ド派手な春之介のファッションには、真っ赤なフェラーリが良く似合う。
「春ちゃん、僕が送っていくっていってるのに」
 宙太がいうと、春之介、
「いいの、いいの、二年半ぶりなんでしょ。留守の間にしっかり愛し合ってね、うふっ」
と、ウインクしたあと、星子に、
「星子ちゃん、あなたもよ。バラバラになるくらい、しっかり頑張って! 再スタートにふさわしい花火をドカーンと上げてね! オーケー?」
 今度は星子にウインクして、アクセルを踏み込んだ。
 双子チャンを乗せたフェラーリ、野獣がジャンプするようにダッシュして走り去った。
「お、おい、春ちゃん、お手柔らかに頼むよ」
 宙太、ハラハラしながら見送ると、
「バラバラになれ、ドカーンと花火を上げろ、か。春ちゃん、いいこというぜ。では、さっそく!」
「はぁ? なにを?」
「あ、ジョウダン冗談」
 宙太クン、ニヤッと笑った。
 ほんとはね、星子、なんのことか、モチロン、わかってまぁす。こういうのを、カマトトっていうんだよね。
 宙太だって、ほんとはきっと、星子ママとおたがい体がこわれるくらいラブラブしたいはずだ。それくらい、もちろん、わかってまぁす!
 わたしは高二の十七歳。思春期真っ盛り! それでなくても、それなのに、そっちの情報過多の時代だぞ、おいっ。
 とにかく、そのためにも、早く星子ママには帰ってきて欲しい。
 なんのためかって? ウ、ウルサイっ。
 でも、春之介さんがいうには、星子ママ、宙太さんには「とてもいえないような電話」をかけてきたきり、居所はまったくわからないって。星子ママだけじゃない、右京って人もね。
 春之介さん、水晶玉占いやってるけど、半年ほど前からテレパシーをキャッチ出来ないとかいっていたっけ。
 ま、正直、どこまで水晶玉占いとやらが当たるかどうか、わからないけど。
 ったくぅ、どこにいるのよ、星子ママ、そして、右京ってヒト。どこまで、迷惑かける気なのっ。
 いらついた顔で戻りかけた星子、ふと、立ち止まった。
 ――ちょっと、待って。もしかして、さっき、星子のケータイにかかってきた電話は……。
「ね、宙太さん……」
「ん?」
「ちょっと、聞いてもいいですか?」
「あ、その他人行儀ないいかた、やめないかな。せめて、この家にいる間だけは、ハニィ、ダーリンって呼び合おうよ」
「ダ、ダーリン……ですかぁ」
 ジョウダンでしょ。そもそも、夫婦でもないのに。いえるわけない、そんなこと。絶対に。
「で、なんだい、ハニィ?」
「あ、はい、ダーリン」
「ん、呼んでくれたね、ダーリンって」
「あっ」
 しまった、つい、乗せられてしまったか。宙太さんって、クセモノだよね。気をつけねば。
「で?」
「え、ええ……それが、右京って人のことだけど……」
「ん……」
 宙太の顔から、笑みが消えた。
 しまった、口に出してはいけない名前だったんだ。
「あ、いいんだ、気を使わせちゃったかな。ワリイ」
 いつものタレ目顔に戻って、にっこり。
「で、右京君がどうしたって?」
「ピアノ、やってるっていってたでしょ、限りのある命を賭けて……」
「うん、そう聞いているけどね。だから?」
「……」
 ケータイにかかってきた電話のこと、話したほうが……でも、待って。まだ、かけてきた相手が誰かわかってもいないのに、ヘタに話したら宙太さんが混乱するだけかもね。
「つまり、わたしも小さい頃、ピアノを……母からうるさくいわれて……でも、ついていけなくてやめちゃったの。だから、今もピアノは苦手です、ハイ」
 なんとか、ごまかす。
「なんだ、そんなことか。カノジョ、あ、星子ママもね、そんなこといってたぜ。ピアノなんか、見るのもいやだってね」
「わたしも」
「でもね、こうもいってた、星丸と宙美にはピアノを習わせる、ぜったいにって」
「わぁ、キビシイッ」
「ほんとは、カノジョ、ピアノが好きなんだよ。いつか、そんなこといってような……」
 わたしも、ほんとは嫌いじゃないけどね。
「たしかに、ピアノっていいよね。鍵盤叩いてると、人の魂に触れるような音があるっていうか、ちょいキザかな、シシッ」
 宙太、照れくさそうに頭に手をやった。
「宙太さん、ピアノを?」
「ほんの手慰み。子供の頃習いたかったけど、おふくろがダメだって。男の子にはそんなもの必要ないって。君のママとは正反対だな」
 宙太、肩をすぼめた。
お母さんって、どういう人なんだろう。宙太のような楽しくてやさしい男を見ていると、ちょっと、気になる。
そんな星子の気持ちを読んだのか、宙太、
「あ、僕のおふくろってね、家庭よりも仕事が大好き人間。女性オーナーの権化っていうか、海外にも進出して、バリバリ働いてるよ」
「すっごーい」
「あ、凄すぎるけどな。だから、親父も逃げ出したのかもね」
「お父様が?」
「うん……」
「あ、ごめんなさい……」
「いいのいいの、近頃はよくある話さ。今じゃ、新しい奥さんと海外で楽しく暮らしているぜ」
 宙太、さらっといてのけたけど、その目はどこか寂しそうだった。
 そうか、宙太さんって、家庭的にはちょっとつらいヒトなんだ。だから、星子ママや双子ちゃんとの家庭を大事にしたいわけね。
「それでも、親父、一度会っただけだけど、星子さんがお気に入りでね、お前に幸運を呼ぶ女神だ、大事にしてやれって。ま、そんなこともあってさ、ほんとはこのマンション、親父名義なんだけど、安く貸してくれているわけ」
「そう」
「確かに、幸運の女神かもな。あんなに可愛い双子ちゃんを授けてくれたしさ。ほんと、感謝してるんだ、カノジョに……ほんとにね……」
 宙太、しみじみとした顔でいうと、ふと、星子を見た。
「な、キミ、こんなこといってたよね……星子ママは、この二三日の間に帰ってくる、そんな気がするって……」
「ええ」
「その気持ち、今も変わらないかな?」
「もちろん」
 そうでないと、こっちも困る。
「そうか、じゃ、その言葉を信じて」
 宙太、ニカッと笑うと、
「さぁ、早いとこ掃除洗濯といきますか!」
「あ、わたしが……」
「いいのいいの、ハニィはのんびりコーヒーでも飲んでてくれよ。ボク、そんなハニィの姿を見るのが大好きでさ……ああ、オレ、カノジョを幸せにしてあげてるんだな、って……」
「……」
「たわいないよね、オトコなんて」
 照れ笑いしながら、宙太、戻っていった。
 ほんとに、やさしいんだ、宙太さんって。星子ママが好きになったわけが良く分かる。だけど、その星子ママは幸せを捨てて右京って人を探しに旅立った。
 なぜ? なぜなの?
 わたし、星子ママとそっくりらしいけど、わたしはそんなことしない。ぜったいに、しないっ。
 とにかく、帰ってきてくれないと。宙太さんや双子チャンのため、そして、何よりもわたしのためにも。何か、連絡を取る方法はないの? 探す手掛かりって、ほんとにないわけ?
 星子ママって、わたしとそっくりなんだよね、学校が同じで血液型も星座も同じ。住んでた所も下北沢、ドラ猫をリュックにほうりこんで一人旅してたのも、そっくり。ただ、年齢が三つほど違うだけなんだ。
 ちょっと、待って。ということは、同じ学校なら三年先輩ってことになるじゃないの。そうよ、センパイよ。だったら、その線から何か糸をたぐれないかな。
 でも、どうやって糸をたぐれば……明日まで学校はお休みだしね……。
 はてさて、と、腕組みした星子、じきにひらめきましたよ。
「そうか、リツ子に頼めばいいんだ!」
 超優等生のリツ子なら、学校にも手ずるがあるだろうしね。ということで、さっそく、リツ子にケータイをかけてみた。
「あら、星子」
 取り澄ましたリツ子の声が、聞こえてきた。
「よかった! いてくれたのね。頼みがあってさ」
「お金はダメ、カンニングもダメよ」
「んもぅ!」
 すぐこれだから、アタマだ。
「そうじゃないの。じつはね……」
星子、三年前の生徒名簿に流星子という同姓同名の生徒が乗っているかどうか、調べてくれ、と、頼んだ。
「あんた、今、旅先なんでしょ。なんでそんなこと知りたいわけ?」
「いいから、わけあありなの」
「ふーん、わかった。そのかわり、例の件、十人増しよ」
例の件っていうのは、生徒会長選挙のこと。リツ子、立候補しているけど、人望がなくて、対立候補には勝てそうもない。そこで、星子が支持票を集めて回ってるってわけ。もちろん、その見返りに、今回の長崎一人旅のアリバイ工作を頼んである。
そのアリバイっていうのはですね、リツ子の親の別荘でリツ子と期末試験のお勉強しているってこと。秀才の名前を出せば、星子の親も安心してくれるしね。
ほんとは、リツ子みたいな女の子を応援する気はないけど、いわゆるソロバン勘定ってわけ。
星子、おぬしもワルよのう。ムハハッ。
で、頼んでから待つこと、ほぼ数分、じきに、リツ子からケータイがかかってきた。
「わかったわよ。学校のパソコンに侵入して、調べたから」
「さすが!」
 まるで、ハッカーなみのパソコンの達人じゃないの。
「で、どうだった?」
「それがね、あなたと同姓同名の生徒……」
「いた?」
「ううん」
「いない? ウソ、見落としたんじゃないの? でなかったら、他の年度の生徒名簿に……」
「全部調べたわよ、もちろん。十年前にまでさかのぼってね。だけど、流星子って名前は、今年度の二年A組、つまり、あなただけなの」
「!……」
 星子、茫然となった。
 
 
                       (つづく)
 
追記 だんだんと話が複雑になってきたようで。この先、大変なことになりそうだ。頑張らねば。
なお、この続きは、事情がありまして、今月の後半になると思います。御免なさい。短いブログのほうは時々お邪魔しますのでよろしくです。
 
 
 

閉じる コメント(10)

顔アイコン

おおおおおおおおおおお
どんどん吸い込まれるように読んじゃったです。
きゃあああああドキドキドキドキ…どうなるんだろう…
すっごく気になります!!!
先生!応援してます!

2010/10/16(土) 午前 3:01 [ fu-mi ]

星子ちゃんの勘が、2〜3日で星子ママに会えるって出ているけれど、事件に巻き込まれていなければいいなぁ〜。それとも右京さんに何か異変があって、事態が動いて…!?
続きが気になります〜! 今月後半の更新、ハラハラ待っています〜♪

2010/10/16(土) 午前 6:52 くにざわゆう

顔アイコン

今日はお休みです。先生のブログにこれるのが唯一の私のやすらぎ
オアシスです。そして小説を通じて皆様と交流でき、かつ先生の小説やつぶやきが読めるよい時代になりました。実は昨日は頭にきてあまり眠れず・・。

おまえの気遣いなんか営業30年やってきたおれには通用しないんだよ

ともいわれ、ただひたすら申し訳ございません。以後気をつけます。
と言うしかないです。星子ちゃんがスッチーをやったように貴方のこまづかいではありません。自分のミスでしょ・・と言いたいですが言えないのが年功序列の悲しい所です。ヘタに団塊を怒らせると大変ですから・・。宙太さんみたいに人間ができていないので顔で謝り心で
怒り・・。あと2年・・。頑張ります。宙太さんのつぶやき楽しみに
してます。

2010/10/16(土) 午前 10:32 [ みかん ]

顔アイコン

あまりにも決算が悪いので今日も会議でした。休日でしたが。貸借対照表から見直しです。
2009年に国からいただいた雇用調整助成金はきれ・・円高が進み・・

経営者は赤字の責任をとって辞任したりありました2009年から一年
全然見通しがつかず・・。深刻です。円高だけは企業ではどうしようもできないですから・・・。キャッシュフロー(現金の流れ)も見直したりしました今日一日でした。

小説とってもおもしろいです。右京さんどうしてるかな〜。気になります。それにしても宙太さんって優しいです。家事をしてくれるなんて・・。山のようにたまった洗濯を明日こそどうにかしなければ・・

1人暮らしは誰もしてくれないですから・・。ああ・・乾燥機買おうかな?でもスペースとるから・・。考え中です。

2010/10/16(土) 午後 6:01 [ まほ ]

顔アイコン

こんばんわ

>「あ、その他人行儀ないいかた、やめないかな。せめて、この家にいる間だけは、ハニィ、ダーリンって呼び合おうよ」

や〜〜ん(><)気持分かるけど一応偽星子さんなんだから控えて欲しかったな。
めっちゃ尽くして良い人なのに『お調子者で浮気モノ』という自己紹介になっちゃう。

山浦先生、皆さまが愛と豊かさに包まれてます、ように。

2010/10/16(土) 午後 11:39 [ 田島なせ ]

顔アイコン

バラバラになるくらい、頑張るって……キャッ(///▽///)(←私が照れてどーする)

いつもの宙太さんや春ちゃんの明るい雰囲気が伝わってきてワクワクします。
「たわいないよね。オトコなんて。」照れ笑いの宙太さんにキュン。

そして謎だらけのラストにハラハラドキドキしてます。
更新、待ちきれませんっ(><)

『ストレートは涙の花嫁人形』読み返しました。
私も奈良へ恋仏を見つけに行きたくなりました。^^
それにしても、意地っ張りで負けん気が強くて、でも情にもろい星子さん…可愛いなぁ〜(*^^*)
子供の頃は「もっと素直になればいいのにー」なんて思ってたけど、今読むと「うふふ…愛い子じゃのう♪」とニヤけてしまいます。
女の私ですらそう思うんだから、宙太さんはもっと星子さんのこと可愛くて可愛くて仕方ないっ…て思っていたはず。
結婚まで一線を越えずに我慢(?)した宙太さんはえらいなぁ。
でも我慢しなくてよかったのにー(←オイ)

2010/10/17(日) 午前 0:25 [ ゆず ]

顔アイコン

おはようございます。

「バラバラになるくらい・・」とか「シアワセにしてあげて・・」
とか・・宙太さんの星子さんに対する気持ちがあふれていて、読んでいてこっちも照れまくりデス。
ゆずさんのおっしゃるとおり、結婚まで一線を超えなかった宙太さんはえらいなぁって、わたしも思っちゃいました。
(でも、自分の気持ちを抑えきれない荒々しい?宙太さんもみてみたかったなあ・・と年を重ねた今、思っちゃいました。←ちょっといじわる?(笑))

早く本物星子さん、でてこないかなー?
やっぱり、違う時空に行っちゃってるのかな?
半年前に春ちゃんにかかってきた電話は、たまたま、本物春ちゃん?
に話ができた瞬間?だったのかな?とも想像しつつ、更新をマイペースで待っていますね。

2010/10/17(日) 午前 6:36 [ ちびすけ ]

顔アイコン

PS オハナシが「 新星子一人旅「長崎恋旅は魔女特急」につながってしまっているみたいです。
できたら、「おかえりママに薔薇のキス」につなげていただけたらうれしいです。

2010/10/17(日) 午前 6:40 [ ちびすけ ]

顔アイコン

東京から帰り直行して仕事場に行き今かえりました。
銀座ではSala AMABILE という所で食事をしました。ソムリエがいて
ワインを飲みつつピアノを聴きながらゆっくり食事のできる所でした
最初に言われた言葉が

久しぶりです。お元気そうでなにより・・
変わらないですね。この2年20代で係長になったそうで・・
修猷館の友人からメールできいてましたよ。終身雇用の日本企業で
頑張られたのですね・・と
恐るべし・・修猷館のネットワーク・・と思いました。
その後いろいろ話1人息子で期待をされ父親が仕事人として目標でもあり超える事のできない大きな存在だったと言った事・・。

食事が終わり芝パークホテルにタクシーで送ってくれ・・
私は 良かったらお茶でも・・送ってくれたお礼に と言ったのですがおさそいはありがたいが今日は帰ります・・と
振り向きもしない・・最後に もう会えないと思っていたから会えて
ずっと貴方のこと考えてばかり・・心の中でなんで会えたのだろう・
でも会って分かったのは・・3秒だけ抱きしめてくれ・・

風邪をひきますよ。早く入らないと・・の一言で・

2010/10/17(日) 午後 5:21 [ N A ]

顔アイコン

すっと帰りました。自分で私何を期待してたのやら・・と思い
朝早い便で羽田から福岡に戻り仕事に行きました。

そしたら課長がきていました。N君残業つけていいからね・・と
ああ・・現実ってこうゆうものなのか・・と課長を見て思い・・。
モクモクと仕事をしていました。やっぱりこのプロジェクトにかける
課長を思い仕事をしました。宙太さんはいきなりキスなのに・・・
年上の私は何をしているのだろう・・。冷めた彼の状況と仕事の板ばさみ。近いうちに出張はいるのかな?担当者だし・・。でも外資系は
もっと厳しいのだろうな・・とも思い・・。もう水曜日にNYに帰ると
言ってましたね・・。宙太さんの行動って羨ましいです。現実はこうでした・・。がく・・。

2010/10/17(日) 午後 5:31 [ N A ]


.
星子&宙太yyy
星子&宙太yyy
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

Yahoo!からのお知らせ

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事