星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

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「亜利沙さんっ」
「亜利沙!」
 星子も右京も、ハッとなった。
 でも、宙太は相変わらず平静な顔だ。
「おっと、似合わないな、そういうスタイルは。見なかったことにするから、ピストルはバックに戻した方がいいと思うけどね」
「いいえ、出来ないわ!」
 亜利沙、声を震わせた。拳銃を持つ手も、小刻みに震えている。宙太が何とか落ち着かせようとしても、効き目はないようだった。
 ああ、もう、大変なことになりそう。星子が茫然と立ちすくんでいると、
「星子さん、お願いがあるの」
「え?」
 亜利沙、拳銃を宙太に向けたままで星子にいった。
「右京さんを連れて逃げて」
「えっ」
 いきなり、なに、って感じ。
「亜利沙っ」
 右京も、愕然と亜利沙を見た。
「バカなことをいうな!」
「ううん、あなたのためよ。星子さんなら、きっと、あなたの病気を……でも、このままじゃ、あなたはあたしをかばった罪で捕まるわ、きっと!」
「でも、ここにいるのは、三年前の星子さんなんだ! 僕の知っている星子さんは、光る壁の中に閉じ込められたままだって、さっき、星子さんから聞いたばかりじゃないか!」
「でも、星子さんに変わりはないわ。時間がたてば、同じ星子さんになれるわ!」
「いや、それはないよ! 僕が愛したのは、あくまで、別の星子さんだ。なんとか、光る壁の中から助けてやらないと!……なんとかして……」
 右京、苦しそうに息を吐きながら、それでも、必死の思いを顔に浮かべた。
「でも、僕のためじゃない、星子さんを……美空刑事と子供達のところへ帰してやりたい!そのためなんだよ!……」
「右京さんっ」
「なぁ、警部……」
 右京、何度か咳込んだあとで、宙太を見た。
「すまなかった、本当に……星子さんのことで、君を苦しめて。ずいぶん、僕を恨んだだろうな……」
「あ、いや……」
 宙太、当惑したようにいった。
「そりゃ、正直いって、いい気持はしなかったけどさ。星子さんのハートをとりこにされたわけだし。でも、君はぎりぎりのところでこらえてくれたじゃないか。今さら、君を恨むとか責めるとか、そういう話じゃないぜ」
「警部……でも、それじゃ、僕の気持ちがすまないんだ。お詫びというわけじゃないが、星子さんを光る壁の中から何とか助け出して見せるから……」
「いや、無理だよ、君のその体では。それに、今さっき君があんなに必死になって演奏しても、星子さんは姿を見せなかったじゃないか」
「いや、今度こそ、きっとな! 僕の命に代えても必ず!……」
 そういいながら、右京、もう一度、ピアノに向かおうとしたが、再び激しく咳込むと、苦しそうにソファに座りこんだ。
「右京さん……」
 星子、つらくて見ていられない。
 亜利沙も、拳銃を構えたまま、唇を噛みしめている。
 すると、宙太がつかつかとピアノに近づくと、椅子に座り、鍵盤の上に手を置いた。
「宙太さん?」
 唖然と見た星子に、
「右京君のようにうまく弾けないけどさ、一応、ピアノの練習はしていたんだ。星丸と宙美に聞かせてやりたくてね」
「双子ちゃんに?」
「星子ママの代わりさ。カノジョ、二人によく弾いて聞かせていたからね」
「ほんと? でも、わたし、ピアノは小さい頃習っただけで、途中でやめちゃったけど……」
「それがさ、二人に子守唄を聞かせてやるんだって、一生懸命に練習したわけ」
 そうだったのか。
「あの時の子守唄、もしかしたら、双子ちゃんだけじゃなくて、カノジョにも届くかも知れない。そう思って、僕も練習したってわけさ」
 宙太、微笑むと、鍵盤を叩きはじめた。
 ……あ……。
 昔、ピアノを習った時、弾いた曲だ。たしか、アニメ映画の中で歌われた子守唄で、なんとか頑張って覚えたけど、発表会で失敗して、そのせいでピアノのレッスンをやめてしまったっけ。
 あの時の子守唄を、星子ママ、双子ちゃんに弾いて聞かせていたんだ。そして、星子ママがいなくなったあと、宙太さんが双子ちゃんに……なんだか、ジーンときちゃう。
 宙太の演奏、はじめはなんとなくたどたどしかったけど、繰り返すうちに気持ちのこもった演奏になった。
 穏やかで暖かい、我が子を思う母の気持ちがじんわりと伝わってくる。
 右京の弾く超技巧の華麗なピアノ曲とは違う、しみじみとした演奏で、宙太の思い、やさしさがあふれている。
 双子ちゃん達も、宙太のピアノの子守唄を聞くことで、ママのいない寂しさを忘れてお眠り出来たんだろうな……。
 そんなことを思うと、もう、胸が一杯になって、涙がこぼれそう。
 そっと目頭を押さえた時だった。
 部屋の片隅の暗がりから、一条の光りがあらわれ、次第に広がりはじめた。
「!……」
 星子だけじゃない、右京と亜利沙もハッとその光へ目をやった。
 やがて、一段とまばゆくなった光の中に、人影のようなものが……星子ママだ、間違いない、星子ママの姿が浮かび上がった。
 宙太の気持ちが、子守唄のピアノ演奏に乗って星子ママの心に届き、星子ママを呼び寄せたのだ。
 もう少し、もう少しで星子ママは光の壁から出てこられる。宙太もそう思ったのか、気持ちを一段と強く込めてピアノを弾いていく。
「がんばって、星子ママ! もう少しよ!」
 星子、光の壁に近づいて手を差し伸べた。
「さぁ、つかまって! わたしの手につかまるのよ!」
 そういいながら、光の壁に手を突っ込もうとした時だった。いきなり、背後から腕を掴まれ、引っ張られた。
 ハッと振り向くと、そこには、春之介が立っている。
「は、春ちゃん!」
 いつの間にか、春之介もここへきていたのだ。その春之介、真剣な顔で星子を見つめた。
「星子ちゃん、ダメよ。星子ママに手を触れては、いけないわ!」
「えっ」
「それだけじゃないの、直接っていうか、同じ時間と場所で顔を会わせてもダメ! ぜったいにね!」
「どうして? ね?」
「それはね、あなたが……ううん、あなただけじゃない、星子ママもね。二人とも、この世から……消えてなくなるから……」
「ええっ」
 一瞬、星子の息がとまった。


                         (つづく)


追記 文字数がオーバーしてしまい、一回では送れませんでした。すいません。いよいよ、次回は最終回かな。泣ける話になるといいけど、でも、ちょっとコワイ話も……お楽しみに。
 ご心配かけましたが、家内が退院しました。でも、これからが大変。連日のリハビリ通いが当分続きそうです。、

閉じる コメント(3)

そうか、同じ空間に同じ人間がいたらだめなんだ。どうするの? 星子ママを助けるには、どうすればいいんだ〜?! 次回で最終回〜(T^T)
奥様、退院おめでとうございます〜。無理をなさらぬように、しっかり養生なさってください〜☆

2011/2/18(金) 午後 9:44 くにざわゆう

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同じ空間に居るのはダメ…
そんな事言われても好奇心旺盛な星子さんのことだから見ちゃいそうだな

良い結果になるといいのに

退院おめでとうございます
奥さんは精神的にもダメージがあるので心の支えにもなってあげて下さいね

よーし!今から星子さんシリーズ読みなおそうっと
ではでは

楽しみにしています

2011/2/19(土) 午後 1:27 [ サクランボ ]

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おはようございます。

奥様、退院おめでとうございます。
長いリハビリが始まりますね。
心に無理をすることなく、過ごすことができますように。

星子ママが宙太さんの演奏で、戻ってきつつありますね。
・・星子ママ、いっぱいいっぱい苦しんで・・宙太さんを想う気持ちがあって、宙太さんと気持ちが寄り添えたから・・でてこられそうなのかもしれない・・って感じました。
星子ママの足取りを聞いた宙太さんが、星子さんに対する想いを想うと、せつなくなって・・戻ってきた後・・どんな関係になるのか・・不安になってきます。
星子さんにとってつらい結末・・。
こわい話・・って・・・。
どんなことになるのでしょう・・・。

じゃすみんさんと同じで、コバルトで宙太さんの元をとびだしてから、もうずっと・・宙太さんのところに、家族の元に帰ってくるのを
待ち続けているのです・・。
最終回・・読むのが、今、不安でドキドキしています。

2011/2/21(月) 午前 5:35 [ ちびすけ ]


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