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銀河のバトルレディズ・1
「宙美、昨夜はずいぶん遅かったみたいだね」
星丸、医学書のページをめくりながら、さりげなくいった。
「あ、うん」
宙美、あくびを呑み込みながら答えた。
「リツ子んとこ。期末も近いし、お勉強がんばらないと」
「そうか、髪の毛が焦げるほど、熱くなってるんだ、ベンキョウ」
「えっ」
あわてて鏡で確かめると、宙美の右の耳元の髪が少しだけ焦げてちじれている。
ヤ、ヤバッ。さては、昨夜のバトルで……相手の反撃もかなりきつかったしね。
「ママ、夜勤明けでもうじき帰ってくるよ。今のうちに直しとけば」
「う、うん」
病院勤めの星子ママ、深夜勤務でお疲れでもこういうことには目ざとい。宙美に甘い宙太パパのほうは、ここんところ仕事が忙しくて泊まり込みがつづいていた。
「あんがと」
宙美、髪を直すと星丸にウインクした。
星丸、相変わらず医学書に目を通しながら、軽く手を上げてこたえた。
「ま、ほどほどにな。よろしく」
「……う、うん……」
アニキ、知ってるんだ、わたしのこと。のほほんとしていても、カンがいいからね。
きっと、心の中では宙美のことをものすごく心配しているはずだ。宙美だって、心配させたくない。大好きな兄だから。いや、兄だけじゃない、もちろん、星子ママも宙太パパにもだ。
みんな、宙美にとっては大事な家族。ステキなファミリー。もし、宙美に万一のことでもあったら、どんなに悲しむことか。
わかっている、よくわかっている。でも、やらないわけにはいかない。あいつらを、わたしたちの住む星を支配しようと企む帝国連合の野望を打ち砕くために。
もちろん、政府のほうもそれなりに戦っている。宙太パパも、政府軍の参謀として戦闘艦に乗りこんでいる。でも、貴族院の騎士団との折り合いが悪く、共同作戦がうまく取れないので、あいつらに押されっぱなし。政府の一部には、降伏しようなんていう連中も出てきている。
冗談じゃない、降伏したらあいつらの奴隷にされるだけじゃないの。恋の奴隷なら我慢するけど、あいつらの奴隷には絶対になりたくない。
だったら、戦うしかない。まだティーンの女子高校生のわたしだけど、しっかりと戦ってみせる。
あらためて誓った時、ケータイが鳴った。メンバーから、あらたな仕事へのお誘いだ。昨夜の疲れが残ってるし、一眠りしたいところだけど、ま、お預けってことで。
「アニキ、ゴメン……」
そっとつぶやきながら、宙美、リュックを掴んだ。
「ゴン太、でかけるよっ」
リュックの中でイビキをかいていた子猫のゴン太……子猫といっても図体だけは一人前のデブ猫だけど……またかいな、ってな顔で宙美を見上げたけど、お構いなし。リュックを担ぎ裏口から外へ出ると、エアバイクにまたがって、そっと家を離れる。
「心配しないで、アニキ、今度もちゃんと無事に帰ってくるから」
そう、帰らなくては。
エアバイクをぶっ飛ばして森へ。朝霧が漂う木立を分け入ると、大きな彫像のようなものがいくつか幻影のように浮かび上がった。
近づくと、その彫像群は七体、高さ5メートルほどのロボットで、若い女の子を想像させる、セクシャルなスタイルにお揃いの華やかなカラーのバトル型タイプ・レディスロボだった。
すでに、六体のレディスロボの胸部にあるパイロットルームには六人の少女達が乗りこんでいる。全員、かなりの美少女で、セクシャルなバトルスーツがお似合いだった。
「ごめん、待たせて」
宙美がエアバイクから降りると、
「パスするかと思ったよ、お兄ちゃんっ子だしさ」
大柄な女の子のアリスが、冷やかすように笑った。他のメンバー達も笑っている。
みんな、宙美と同じで戦いに命を燃やす女の子たちだ。宙美を含めて、七人。自称、銀河のバトルレディズ。ダンスクラブで知り合った仲だった。
そのダンスクラブは、銀河系惑星の地球ではやっている可愛くてセクシャルな美少女達の歌って踊るチームに刺激されて結成された。
「こらっ」
宙美、軽く睨むとリュックから取り出した帽子をかぶった。瞬間、バトルスーツに変わって、宙美の体を覆った。そのあと、ジャンプして先頭のレディスロボのパイロットルームに乗りこむ。
「今回も厳しい戦いになると思うけど、チームワークでよろしく! バトルレディズ、発進! あ、その前に景気づけに一曲やろっ」
宙美が全員に合図すると、リズムが良くて明るいタッチの音楽が流れ出した。すると、レディスロボ・セブンは呼吸もぴったり、両手を広げ、体をアップテンポに、そしてセクシャルに動かしながら踊り始めた。
――愛する人に 愛する人に わたしのすべてを……
これから厳しい戦いがあるとは思えない、陽気で明るい女の子達だ。
最後のポーズをピタッときめて、いざ、発進という時だった。
パチパチパチと大きな拍手が聞こえて、木立がざわめいたと思うと、霧の中から三体のバトルロボが現れた。スタイリッシュでカッコいい、地球のジャニーズ系のようなタイプだ。乗っているのも、派手なバトルスーツを着た三人の若い男の子達 そう、先頭のだった。
キッと身構えた宙美、次の瞬間、アッと声を上げた。
「パパ?」
たしかに、バトルロボの一人、宙太パパにそっくりだ。
「やっぱりそうきましたかね。でも、顔はそっくりでも別人さ」
「別人?」
「そ、宙太ジュニアとでも呼んで貰おうかな」
宙太ジュニア、にんまりと笑った。たしかに、歳が違う。でも、たれ目の人なつこい顔はほんとパパそっくり。それに、パパのことも知ってるみたいだ。
「あ、紹介しておこう。こいつは、マサルジュニア、こっちは小次郎ジュニア。人呼んで、銀河ジュニア三銃士とござい」
「よろしく」
「オレ、小次郎ジュニア。今度一緒に踊ろうや!」
マサルジュニアは無愛想な顔で、小次郎ジュニアはちょっとキザっぽく構えながらいった。
銀河ジュニア三銃士ですか。ま、見た目はサマになってるけどね。
「で、何なの、あなた達?」
「まさか、ジャマしようっていうんじゃないだろうね!」
アリスが腰のサーベル銃に手をやると、メンバー達も一斉にサーベル銃を抜いた。
「とととっ」
宙太ジュニア、大げさにとびのいた。
「早まるなって。手伝うつもりだけさ」
「手伝う?」
「そ、おたくらだけじゃ、昨夜みたいに大ピンチになりかねないだろ」
知ってるんだ。
「もし、君らのような可愛い子ちゃん達に万一のことがあれば、まさに、国家の将来にとっても大損失だぜ。だから、俺ら銀河ジュニア三銃士でしっかりガードしようってわけ。おわかりかな?」
「ふん! ほっといてよ!」
宙美、キリリッと睨みつけた。調子のいいヤツ。星丸アニキとは大違いだ。
「あんた達の手なんか借りなくても、平気よ! 今度は軽くやっつけちゃうから!」
「でもさ……」
「うるさいったら! さぁ、みんな、いくわよ!」
宙美のレディスロボ、大きく両手を広げると、軽やかに舞い上がった。そのあとから、アリス達チーム宙美のレディスロボも一斉に飛び立っていく。
「カッコいい! ほれたぜ!」
「ホント、ホント」
宙太ジュニアと小次郎ジュニア、ニカッと見上げた。マサルジュニアだけは、心配そうに見送った。
(つづく)
追記1 猛暑も一段落。でも、かえって疲れが出てきて、まいってます。ところで、宙美クンから自分もたまには出してくれといわれて、宙美の真夏の夜の夢を再現してみました。なぜか、SFの夢なんですよね。宙太ジュニア達も登場。次回では、右京や左京、ゲンジロウ、タケル、リツコなどのジュニアも登場するとか。はたして、どういう展開になることやら、今から恐ろしいです。
追記2 星子花紀行、もちろん、進行中です。そのうち、お目にかけられると思います。
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すご〜い! さすが、かっとび宙美ちゃんですネ〜♪ SFチックな夢の中、銀河のバトルレディズなんて素敵だなぁ〜☆
二本立て同時進行だなんて、ファンにとっては嬉しい限りです〜!
先生も蒸し暑い日が続きますが、ご自愛くださいネ☆
2011/7/27(水) 午後 8:43
おはようございます♪
今回はSFなんですね♪
どんな戦い?が繰り広げられるのか、とっても楽しみです。
それに、星子ママ。。ってお勤めしていたんですね。
宙太さんのところに戻ってからも、ずっと専業主婦なのかと。。。
病院勤めで夜勤ということは、おかあさんと一緒で「看護師」さんなのでしょうか・・・。
またジュニアのみなさまの登場も楽しみでワクワクしています。
最後になりますが、くれぐれも無茶はしないでくださいね。
2011/7/28(木) 午前 6:09 [ ちびすけ ]
先生こんにちは^^
ゆうさんも言われてますが現代編&未来編の新作二本立て同時進行ということで…嬉しい悲鳴をあげてもいいですか?www
そしてちびすけさんが言われてるように私も星子さんはずっと専業主婦なのかと思ってましたが、よく考えてみればあの姫さまが家でじっとしてるはずは無いんですよね(^_^;)
宙太さんが星子さんには仕事で留守中に一人旅に出掛けられるよりも仕事してもらっていたほうが安心ってことなんでしょうか(^o^)?
さらに今回の新章で私が一番衝撃を受けたのが追記1でのネタバレでした。まさかJrさんが他にもいらしたとは!!Σ( ̄Д ̄;)特に左京さんとゲンジロウ兄さんの名前が挙がっているのには工工工エエエエエエェェェェェェΣ(゜ Д゜;)ェェェェェェエエエエエエ工工!!!とリアルに動揺してしまいましたよ。ああっ!!!続編が気になりますー(>_<;)
2011/7/28(木) 午後 3:09 [ ゆうきあおい ]
連続投稿ですみません(^_^;)
本日は右京先生のお誕生日ですね!
右京先生、お誕生日おめでとうございます ( ^∇^)/*。・゚・*。・゚・*。・*。・゚*。・゚*\(^∇^ )
今も、そしてこれからも好きです。大好きです+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚
今夜は予約しているバースデーケーキを食べながらお祝いさせていただきます!
2011/7/28(木) 午後 3:17 [ ゆうきあおい ]
先生こんばんは。
ちょうど 土潤溽暑の頃、ホント蒸し暑いですね。
ちびすけさん、ゆうきさんも言われていますが、星子さん お仕事されていたのですね(^^)今まで、星子さんが看護師さんって考えたことなかったのですが、星子さんは、明るくて強くて そして優くて、なんかぴったりかな。って思いました。
先生、お忙しい中 新しいお話を始めてくださってありがとうございます。無理せず 更新なさってくださいね♪
2011/7/29(金) 午後 9:45 [ じゃすみん ]