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二階に誰かいる! それも、子供だ!
星子が、頭にカーッと血が上った状態で階段を駆け上がりかけた、その瞬間、いきなり、階段の上から何かが落ちてきて、星子の額にゴーンと強くぶつかった。
「キャッ」
危うく足を踏み外しかけて、何とか、手すりに掴まった。おでこをさすりながら見ると、サッカーボールが階段の途中でくるくる回っている。宙美のサッカーボールだ。部活で女子サッカーをやっていて、自宅での練習用に自分の部屋に置いてある。
「まったく、もぅ!」
ちゃんと片付けるように、いつもうるさくいってるのに。はずみで階段から落ちたら、ただじゃすまないでしょ。
それにしても、なぜ、サッカーが落ちてきたんだろう。それも、かなり勢いがあった。まるで、誰か投げつけたみたいな……そうか、二階にいる子供が星子めがけて投げつけたんだ。
ゆ、許せないっ。
さらに頭に血が上った星子、
「誰、いたずらしたのは! 出てきなさい!」と、叫びながら二階の踊り場へ。二階には星丸の宙美の個室、それに、客間がある。ちなみに、星子と宙太の愛の巣ともいうべき寝室、そして宙太の書斎は階下にあった。
で、星子、「どこ! どこに隠れてるの! 出てこい! 出ろ!」と怒鳴りつつ、星丸と宙美の部屋、それに、客間を覗いてみた。でも、人影は見当たらない。押し入れや納戸、トイレ、ベランダも調べてみたけど、同じだった。
――おかしいな、たしかに子供の声が聞こえたような気がしたけど……それこそ、気のせいかな。
イマイチ納得しないまま戻りかけると、ゴンベエが廊下をうろうろと動き回っている。近頃はお歳のせいか、ほとんど昼間は寝ているのに、今日に限ってどういうわけ。
「ゴンベエ、どうした? なにやってんの?」
星子が声をかけても、知らん顔というか、うわの空、気もそぞろ。
「どうしちゃったの、ゴンベエ、まさか、認知症?」
そりゃ、猫だって犬だって、歳を取ればありうる。でも、ゴンベエ、まだ、そこまでふけこんでいるとも思えないけどね。
とにかく、その場は何となく収まった感じで、夕方遅く、宙美が部活を終えて帰宅。星丸も今日は自宅で受験勉強とかで早めに帰宅した。
さぁ、晩ご飯の支度を急がなきゃ、と、腕まくりしたとたん、
「ママ! ひどい!」と、叫びながら宙美が飛び込んできた。その直後、星丸も入って、「ママ、困るよ!」と、いつなく憮然とした顔でいった。
「ん? どうしたの?」と、星子が聞くと、
「どうもこうもないわ。ちょっと、きて!」
「きてくれよ、ママ」
二人に腕を掴まれて、二階へ。
まずはじめに宙美の部屋に入って、「ええーっ、なにこれ!」状態に。だって、部屋の中が一変している。サッカーのポスターとか選手の写真、エンブレム、サイン入りのボールやユニフォーム等など、サッカーおたくの宙美らしい飾り付けだったのに、なんとまぁ、ピンクのカーテンに花模様のベッドカバー、コスチューム、お人形等など、中学時代に夢中になっていたアキバ系少女趣味の飾り付けに変わっているのだ。
「ど、どうしたわけ、宙美ちゃん?」
呆気にとられた星子を、宙美、キリリッと睨みつけた。
「ふん、こっちがいいたいの。ママったら、あたしが学校へいってる間に勝手にお部屋の模様替えしたんでしょ! きっと、そうよ!」
「そんな、ママがそんなことするわけが……」
「あるある! だって、ママ、あたしがサッカーの部活やるようになってから、男っぽくなった、可愛くない、昔のように女の子っぽくなって欲しいって、いつもいってるじゃん!」
「そりゃね、あなたのサッカーおたく、ちょっと行き過ぎだし。将来、ママ以上のお転婆になったらタイヘンでしょ」
そういうことデス。
「でも、だからって勝手にあなたのお部屋の模様替えまでは……」
「してるしてる、間違いない!」
「宙美ちゃん……」
「ちょっと、ママ、その調子で僕の部屋の模様替えやったんだね」
「はぁ?」
「とぼけてもダメ、ダメ」
星丸、星子の腕を掴むと、自分の部屋へ連れていった。
「あ、な、なに、これ?」
またもや、びっくり顔の星子だ。
医学関係の書籍とか、人体模型とか、白衣とか、医者関係のもので飾られていた部屋が、なんと、スポーツジムのようなトレーニング・マシンやポスター、アメフトのコスチューム、剣道着や柔道着等など、以前、星子が買ってやったものが所狭しと飾られている。
「ママ、いってたよね。星丸は勉強ばかり、体に良くない、スポーツで体を鍛え直しなさいって」
「ええ、確かにね。あなたのそのひ弱そうな体では、将来が心配ですもん。パパみたいな男になって欲しいわ」
そう、宙太パパって今でもカッコいいし。
「でもね、だからって、あなたに断りもなくこんな飾り付けをしたりはしないから」
「ほんとかな」
「ほんとに、ほんとだったら。絶対に、ママじゃない。それだけは、信じて。お願い! 星丸、宙美ちゃん!」
星子、哀願するように二人を見た。
「じゃ、だったら誰がこんなことしたんだい?」
「そうよ、朝出かける時には何ともなかったのよ。誰がやったの!」
「し、知らないわ。もしかしたら、他の誰かが勝手にこの家に……」
「それは無理さ。パパもいってたけど、この家のセキュリティは万全なんだし。他人が侵入すれば、すぐわかるさ」
「そうよ、やっぱり、ママなんだ」
「宙美ちゃん、星丸くん……」
星子、溜息をついた。どう話しても、言い逃れとしか見て貰えない。星丸と宙美、プイと背中を向けると、自分の部屋の様子を元の状態へ戻しはじめた。取り付く島は、まったくない。
――一体、どうなってるんだろう、他の誰かがやったとしか思えない。でも、誰もこの家に入った形跡はないのだ。
妙なことは、それだけじゃなかった。な、なんと、その夜遅く、星子と宙太のラブラブなベッドルームでも起きたのだった……。
(つづく)
追記 なんだか、そういえば、僕の家にも誰かが住んでいるような気がして きて……おたくはどうですか?
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こんにちは〜(*^_^*)
ちょっとオカルト的な〜♪いいですねぇ どきどきしますねぇ
私 小さいときに何度か見えないものを感じたときがありましたが。。
先生のおすまい かわいい座敷わらしちゃんとかだと ほのぼのですね(*^_^*)
2012/2/28(火) 午前 10:48 [ まりも ]
山浦先生・みなさんへ
私の宙太さんとマサルさんの兄弟についての質問に答えてくださってありがとうございます。
質問した直後に身内に不幸がありお礼が遅くなり申し訳ありません。
前回質問したのは弟妹で話を作っていただけないかという淡い期待と
その後、本編に絡んでいないけどもネット配信が始まり読者が
混乱する登場人物なので、その一文をサクッと削除しても気づかれないように
内緒投稿にしました。
それが、まさかいろんな方を巻き込んでしまい焦りました。
先生、みなさん丁寧なお返事をいただきありがとうございます。
2012/2/28(火) 午後 0:26 [ hou*a1 ]