星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

星子のショートホラー

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――なんとも寝覚めの悪い朝なんだよね……。
 元健康優良児の星子、ほとんど毎日、バタンキュウ、寝床に入ったらすぐ爆睡状態。たとえ、どんなにハードな恋に悩んでいても、だった。
 ところが、今回だけはダメ。まるで眠れない。ベッドの中で宙太にしがみついていても、明かりをつけていても、テレビをつけっぱなしにしていても、やっぱりダメ。
部屋のどこかから、あの半透明の不気味な二人の子供の影が、吊り上がった真っ白に光る眼でこっちを見ているんじゃないか、そう思うと震えが止まらないし、恐怖で胃がおかしくなる。
 あ、もちろん、宙太さんにはいいましたよ。「ほら、そこにいる! 子供が二人、そこにいる!」って。
 でも、「え? どこに? いないよ、そんなもの」と、宙太、けげんそうに首をかしげた。
「なにいってんの! ほら、そこだったら! ケタケタ、フフフッて男の子と女の子が笑ってるじゃない!」
 星子がいくら必死に叫んでも、宙太にはわからない。そのうち、騒ぎを聞いて心配になったのか、二階から星丸と宙美が降りてきた。
「ね、あなた達には見えるわよね! そうでしょ?」と、星子。
 懸命に二人に訴えたけど、これもダメ。やっぱり、見えないみたい。二つの影もいつの間にか消えてしまい、家に中にはいつもの穏やかな静けさが戻った。
「やだ、ママったら。ホラー映画の見過ぎよね」
「この家に他の人間が住んでるわけがないさ」
「疲れてるんじゃないのかな。今度、休みが取れたら、気晴らしに温泉にでも行こうか」
「うん、それがいいね。でも、その前に一度、病院で見て貰ったら」
「ママ、明日の朝ごはん、あたしが支度するから、のんびり朝寝でもして」
 等など、宙太も星丸も宙美も、やさしく星子をいたわってくれた。家族って、ほんと有難い、なんて感涙にむせんでる余裕はないんです。
 でもって、結局、一睡も出来ずに夜が明けて、いつものように朝御飯の支度をはじめた。「あたしがやる」っていった宙美も、起きてこないしね。ま、そんなところだろうとは思っていたけど。
ああ、いつまたあの子供達の影があらわれるか、不気味な笑い声が聞こえるかわからない。そう思っただけで、気持ちがおかしくなってくる。
 朝ごはんの時も、「ね、宙太さん、星丸くん、宙美ちゃん、誰でもいいから、お願い、今日はママと一緒にいて。お願い」って、頼み込もうか、と思った。
 情けなや。あのカットビ少女の星子サン、意地と度胸とパワーで押しまくってきた星子姐がこの姿とは。
 しっかりせい、星子! ぬしは、この家を預かる主婦だろうが。一国一城の姫君様なんじゃ。オバケか、ユウレイか、ボルダーガイストか知らんが、ここから追い出さんか。わかったかいな!
だいいち、相手はたかが子供の亡霊じゃないの。こっちには、ゴンベエという頼りになるボディガードもいることだしね。
 そうしっかりと自分にいい聞かせると、どうにか気持ちも落ち着いてきた。
ということで、星子、
「いってらっしゃい、星丸くん」。「ママ、もう大丈夫よ、宙美ちゃん」。「愛してるわ、ダーリン」と、いつものように、双子ちゃんと宙太パパを送り出して、
「いざ、決戦モードじゃ!」
 エイエイオゥ,と、気合いを入れた時だ。
 二階で、フギャァ、ギャギャッ、と、ゴンベエの切り裂くような鳴き声が聞こえた。
 なんだろ? どうした、ゴンベエ?
 星子が気になって覗いたところへ、階段から何かがごろごろと転げ落ちてきた。一瞬、サッカーボールかと思ったけど、どてんと床に叩きつけられたのは、なんと、ゴンベエじゃないですか。
 それも、なんとも無残な姿……頭はトラ刈り、髭を切られ、目の回りには黒く墨が。ボディは真っ赤な色で塗りたぐられ、尻尾には洗濯ばさみがたくさん挟まれている。
「ゴ、ゴンベエ!」
 星子、あわてて抱き上げた。
「可哀想に、なんてひどいことを……」
 ゴンベエ、ぐったりして、見るからに哀れな姿だ。
「だ、誰がこんな……ね、ゴンベエ、誰にやられたの?」
 星子がゴンベエに聞いていると、頭上でキキキッ、ケケケッと笑い声がした。ハッと見上げると……、
い、いる!
半透明の男の子と女の子が……二階の薄暗い階段の手すりにまたがって、白く光る不気味な目でにやにや笑っている。
 星子、ゾーッとなったが、なんとか気合いを入れて、睨みつけた。
「あ、あんた達ね、ゴンベエをこんな目にあわせたのは! そうなのね!」
 すると、男の子と女の子がゆっくりと口を開いた。
「ああ、そうさ。だから、どうした」
「こんどは、あんたの番だよ」
 なんとも不気味な二人の声、それも子供の声じゃなくて、しわがれた老人の声だ。
 じきに、半透明の影は次第にはっきりとなって、マネキン人形のように可愛い顔の男の子と女の子の姿がボーっと暗がりに浮かび上がった。
二人とも、幼稚園のような紺色の制服を着て、赤いベレー帽をちょこんとかぶっている。
 でも、白い目はらんらんと異様に光り、真っ赤に開いた口の中には鋭い犬歯が二本づつギラッ、ギラッと光っていた。
その顔で、二人は低く笑いだした。
「フフフッ」
「ヒヒヒッ」
 その笑い声も、しわがれた老人の薄気味悪い声だ。
「!……」
 星子の背筋を、氷のように冷たいものが走り、汗が全身から噴き出した。
<……こ、殺される!……>
 一瞬、星子の体が翻った。それこそ無我夢中で玄関へ走った。
 殺される、わたし! 殺される!
 でも、途中で足がもつれて体がつんのめり、泳いだところを前方からガシッと押さえられた。
「キャッ」
 殺される! 助けて!
 叫んだつもりが、声にならない。
 もう、ダメ。星子、頭の中が真っ白状態で気を失いかけた。
その瞬間、「しっかりして、星子ちゃん!」と、叫ぶ声が……もしかして、その声は、春ちゃん?
 星子が目を見開くと、たしかに、春之介の顔があった。
「春ちゃんっ……」


                     (つづく)


追記1  いよいよ、春之介、おっと、春がやってまいりました。春風に乗って大空高く舞い上がろう! という気持ちはあるのですが、お天気と同じでうまく離陸できないでいます。ショートホラーのほうは、小出しみたいですいません。近頃、また目の調子が良くなくて、パソコンに長く向き合うことが苦痛になりまして。ま、そういうわけで、ぼちぼちやらせて貰います。


追記2  本日、web星子第6話「魔女特急はQの罠」が発信されました。以後、スケジュール通り、「デジよみ」より第一と第三木曜日に一話ずつ発信されます。他社のほうは、主に第三木曜日に発信されるはずです。今後とも、よろしく御贔屓の程を。

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おはようございます(*^_^*)

心の中で「春ちゃんはやく〜〜」って叫んじゃいました(笑)

ホラー物 いいですねぇ・・ドキドキ

先生目のほうもご自愛くださいね!

2012/3/2(金) 午前 8:22 [ まりも ]


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