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俺は、ゴンベエ。知る人ぞ知る、ドラ猫だ。ご主人様っていうか、飼い主はあのどうしようもないお転婆でマイペース娘の星子サマだ。一宿一飯の恩義とやらで仕方なくっていえばカッコいいが、本音はマイペースで居候させてくれるんで、いつの間にやら長居をさせて貰っている。
時々、いい恋さがしの一人旅にガードマンとして付き合わされるのが面倒ではあるが、ま、好物のハンバーガーにつられてお供するわけだ。腹が膨れたら、リュックの中で寝てればいいしさ。
あ、色恋なんざ、およそカンケイない。雑種猫のうえこの雑種面。つまり、どうしようもないブ男猫とくれば、メス猫どもの侮蔑と嘲笑、無関心の対象にはなっても、恋の対象になれるわけがない。ルックスで恋のお相手を選ぶのは、人間だけじゃないってこと。
へん、色恋沙汰なんざ、ゲス猫のやることさ。おいらのような高邁な猫は、世を達観して、自由気ままなお気楽人生、おっと、猫生とくらぁ。
負け惜しみだろうって? それをいうなって。
そんなおいらが、今、死んでもいいと思っている、といったら、おたくさん、信じるかい?
はぁ、さては夢も希望もないドラ猫の一生に絶望して、死のうってことか。
そう思う?
へっ、浅はかなヤロウだぜ。絶望とか諦めとか、そういうマイナーな言葉には縁のない俺サマだぜ。
じゃ、なんで死にたくなったかって?
いいだろ、良く聞け。至福の時、天にも昇る思い、即ち、あまりにも幸せな気持ちにしっぽり包まれたからだぜ。
そういう時ってさ、ああ、この気持ち、この時間が永遠に消えないで欲しい、時間を止めたい、そのためなら死んでもいい、とまぁ、そういう恍惚陶然とした精神状態に、今、吾輩はいる。
なぜかって? どういうことかって?
それはな、おう、聞いて驚くなよ、じつはな、じつは……キティちゃんのように可愛いメス猫からこういわれたからだ。
「あなたって、美し過ぎるドラちゃんね」
このつづきは、また、明日だ。一度に話したんじゃモッタイないぜ。
追記 夜になって雨あしも強くなってきました。でも、まだ風は大したことはないです。嵐になるのは、夜半過ぎでしょう。吹き飛ばされないようにね。
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