星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

新星子一人旅「長崎恋旅は魔女特急

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第一幕


1―1
             

華やかな夕暮れ時の駅前付近。
騒音、若者達の嬌声、中高年女性達の喧しい会話等が入り混じる。
コンコ─スの片隅。ストリートミュージシャンの若い娘(星子)、覇気のない顔でギターを弾きながら自作のフォークソングを歌っている。だが、足を止めて聞いてくれる通行人はいない。
星子「〽(オリジナル曲・わたし、なにを歌えばいいの。)」
     恋の旅立ちは いつも春 花咲き乱れ 風薫る春
     恋の夏は花火 激しく炎を燃やし 髪をからませる夏
     恋の秋はじきに訪れ 早くも吹く木枯らし
     なぜそんなに急いで旅は終わるの……」 

ふいに、すぐ近くのビルの陰から、「あきらめ節」のハモニカ演奏が聞こえてくる。
星子「うるさいな、もう」
咎めるように、目をやる星子。
くたびれた作務衣姿の白髪の老人・伍三郎が、酔いでふらつきながらハモニカを吹く。
星子、我慢できずに伍三郎のほうへ。
星子「あの、ね、ちょっと……すいませんけど……」
伍三郎、ハモニカを吹き終え、歌い出す。
伍三郎「〽あきらめなされ……〽(あきらめ節)」
星子「(カッとなり)やめて下さい! お願いします!」
伍三郎、歌を中断する。
星子「それって、皮肉ですか? それとも、嫌み?」
酔眼を向ける伍三郎。
星子「んもぅ、とぼけちゃって! あきらめろ、あきらめろって……わたしの歌のこと? そんなにひどいですか!」
伍三郎「……」
次の瞬間、ハッとなる伍三郎。
伍三郎「ゆ、夢乃っ……」
星子「え?」
伍三郎「夢乃!」
星子に抱きすがろうとして、よろける伍三郎。
星子、悲鳴を上げて逃げる。その直後、駆け寄った若い男(宙太)の胸に飛び込む。
宙太「どうした、星子さん!」
星子「あっ」
星子、あわてて宙太の胸からとびのく。
星子「ご、ごめんなさい」
宙太「俺は別にいいけどね。で、何があったわけ? 悲鳴なんか上げちゃってさ」
星子「ゆ、夢乃って……」
宙太「夢乃?」
星子「お爺さんがね、わたしのこと、そう呼んで抱きつこうと……」
宙太「なにっ」
星子「そこ、すぐそこよっ」
星子、ビルの影を指差す。
宙太「ふっ、お爺ちゃんの痴漢か。ウチの施設にも、似たようなのがいるよ。ボケたふりしちゃってさ(笑)。どらどら、お説教してやるか」
宙太、ビルの影へ。だが、伍三郎の姿はない。
宙太「いないぜ」
星子「え?」
宙太「逃げたのかな」
あたりを見回す宙太、近くでチラシ配りをする若者(号外売りも兼ねる)に尋ねると戻ってきて、
宙太「そんなお爺さんはいないってさ」
星子「いない?」
宙太「君が一人で勝手にわめいていたって」
星子「そんな! ほんとよ、嘘じゃないわ……あそこにハモニカを吹くお爺さんがいて、わたしがうるさいっていったら、あきらめなされって歌いだして……」
宙太「あきらめなされ?」
星子「人を馬鹿にしたような変な歌詩。聞いたこともない歌だった」
宙太「あきらめなされ、ね……君、体調は?」
星子「別に、ふつうよ」
宙太「近頃、幻聴とか、幻覚とかは?」
星子「ない、ぜんぜん」
宙太「認知症、なわけないよな」
星子「あたりまでしょ」
宙太、いきなり星子の腕を掴み、
宙太「ちょっと、いこ」
星子「どこ?」
宙太「いいから、ついてくるべし」
星子「でも、まだ歌の途中だし……」
宙太「どうせ、誰も聞いちゃくれないよ。この俺以外はね!」
宙太、半ば強引に星子をつれていく。
星子の声「そう、いつも聞いてくれるのは宙太さんだけ。この近くの介護施設で働いているそうだけど、明るくて楽しくて、わたしには癒し系のいいお友達、それ以上でもないし、それ以下でもない……」


1―2

舞台下手奥に、カラオケスナックを想定した空間。カウンターの奥には、ママ。四人ほど客がいて、てんでにカラオケ全集をめくる。(客達の歌は演歌っぽい、ナツメロっぽい歌をオリジナルで。)
カウンター席に星子と宙太。。
宙太「(からおけ全集をめくる)あったあった。ちょいとシツレイ」
カラオケ番号をセットする、宙太。
ママ「あきらめ節ね。なつかしい」
星子「あきらめ節って?」
ママ「あたしが若い頃、ま、今でも十分若いけど、その頃、フォークソングの神様っていわれた人が歌ってたのよ。でも、元歌は古いみたいよ。明治とか大正とか」
宙太「作った人は、添田唖然坊か。(星子に)君が聞いたっていうのは、この歌かい?」
星子「ううん、歌詞は似てるけど、もっと、テンポが遅くて哀しそうだった……」
ママ「で、この歌をお年寄りが歌ってたわけね」
宙太「ところが、その爺さんを見たのはカノジョ以外誰もいないとくる。幻覚か幽霊か、それはさておき、君の人生への啓示、お導きと思って、あきらめなさることだね、歌姫になる夢は」
星子「いったでしょ。わたし、あきらめたりしないから。絶対に!」
宙太「でもさ、正直いうと、あ、怒るなよ、君の歌を聞いていても、伝わってくるものがないんだよな」
星子「なによっ」
ママ「宙太さんったら……」
宙太「あ、うん……ゴメン……」
星子「……わたしに才能がないのは、わたしが一番わかってる……一番……」
宙太もママも、しんみりとなる。
宙太「うん、まぁ、そう深刻に考えないでさ、今は懐メロでも歌って、すっきりと……」
星子「懐メロはきらいっ」
星子、泣き顔で睨みつけると、
星子「ママ、おトイレは……」
ママ「あ、奥よ。ドアの外」
星子「ありがと」
奥へ向かう星子、ドアを開ける仕草で出る。
星子「あっ」


(1−3へ、つづく)


追記 改訂稿です。今回は歌詞もきちんと書きこみ、劇団の仲間が作曲を引き受けてくれ、ちかじか、打ち合わせする予定です。かなり、楽しみです。


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