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「ううっ」
ほーりゅう、苦しそうにもがきながら、それでも、ロザリオをかざし、必死になってデスマドンナに向かっていく。
「呪われし者、悪魔の化身デスマドンナ! この世から、消えうせろ!」
ほーりゅうの叫び声が、あたりに響き渡る。
なんて、すごい根性なんだろう。その姿を見ていて、星子、胸が熱くなり、涙が出てきた。
ほーりゅうには、信念ってものがあるんだ。この世を、邪悪なものから守ろうとする信念が……わたしには、とても出来ない……ほんとに、すごい子だ。
でも、青白い閃光がさらに激しく渦を巻きながら、ほーりゅうの体を包み込んだ。その閃光は、いつの間にか、幽鬼のような人のかたちになった。そうか、これが、恐山に漂う怨霊たちなんだ。
「殺せ! 殺してしまえ、幽鬼たちよ!」
デスマドンナ、冷笑しながら叫んだ。
ほーりゅうの顔が、いまにも死にそうなくらい、苦しそうに歪んでいく。
「ほ! ほーりゅう!……」
このままじゃ、ほーりゅうが死んじゃうわ! 早く助けないと!
星子、無我夢中でデスマドンナに掴みかかっていった。
でも、そのとたん。
幽鬼たちの青白い光りが、グワーツ!
氷のように冷たい光りだ。体が凍えて、身動きが出来ない。そこを、幽鬼たちが、恐ろしい口を開けて、噛み殺そうと迫ってきた。
「キャーッ」
もうダメ、殺される!
「……宙太さん……」
なぜか、宙太の名前を口にした……その時、だった。
ダダダッ、バシッ!
ものすごい銃声のようなものが聞こえたと思うと、幽鬼の渦がバラバラにはじけとんだ。
ん?
星子が目を開けると、
「おまっとうさん、ハニー!」
なんとも、耳障りのいい、おがなじみのセリフが……。
「宙太さんっ」
間違いないっ。
リボルバー拳銃をガンマンよろしくイキに構えて、近くにすくっと立っているのは、宙太だった。
「い、生きていたの、宙太さん!」
唖然となったのは、星子やマサル、春之助、ほーりゅう、だけじゃない。デスマドンナも、愕然と宙太を見た。
その宙太、にんまり笑うと、
「当たり前だい、殺したって死ぬようなタマじゃない。不老不死の宙太サマだ!
なんて、大きな口はきけないな。じつは、この少年に助けられたのさ」
宙太、そばに立つ小柄な少年を指差した。
メガネをかけた、ちょっとひ弱そうな感じだけど、頭が良さそうな顔だ。
すると、ほーりゅうが、少年を見て、
「ジプシー!」
と、叫んだ。
(つづく)
追記 今回で終わる予定でしたが、あと一回だけ、付き合ってもらいます! よろしく ね!
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