星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

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 ゴ、ゴンベエが死んだぁ!
 星子、半泣きで非常階段を駆け下りた。エレベーターなんか待っている余裕はゼロだ。
 ああ、ゴンベエ! なんで、死んじゃったのよ!
 もちろん、まだ、死んだかどうか確認はしていませんけどね、あの高さからデブのドラネコが墜ちて、助かるわけがない。絶対にない!
 すっかりそう思い込んだまま、というより、もともと、思い込みの激しい性格だからして……とくに、恋が、それが一番問題なんだけど……ま、ともかく、星子、つんのめるようにして、マンションのエントランスから外へ飛び出した。
 ゴンベエの墜ちたのは、確か、このあたりだ。ツツジの植込みを調べると、枝がバサッと無惨に折れていて、そこに、ゴンベエの姿が……ん?……。
いない?
 違ったのかな、と、思って、あたりを探したけど、やっぱり、見当たらない。
まさか、アタマにワッカを光らせて天国へ旅立ったんじゃ……なんてこと、あるわけないよネ。 
おかしいな、と、首をひねった時、遠くで、フニャーゴ……まさか、ゴンベエの鳴き声? じゃ、生きてる? そんな、まさか!
星子、ふたたびダッシュして鳴き声のあとを追いかけた。
公園を突っ切って、オシャレな駅前タウン通りへでたところで、
あっ、いたっ!
ハンバーガーショップの脇で、ゴンベエがどっかりと坐りこんでいるじゃないですか。
「ゴンベエ! よかった、無事だったのね!」
 駆け寄った星子、もう、涙ウルウルでゴンベエをヨッコラショと抱き上げた。
 どこも怪我していないようだ。まさに、奇跡ネコじゃん。
 それにしても、こんなところにいたなんて。さっき、マンションの八階のベランダから飛び降りたのも、ハンバーガーの誘惑に負けたからなんだ。いかにも、ゴンベエだよね。
 星子、クスッと笑うと、
「しょうがない、ちょっとお待ち」
 ゴンベエを地面に降ろしてハンバーガーショップへ入り、ダブルバーガーを買って戻ると、「ハイ、お食べ」。
 ところがですよ、ゴンベエ、見向きもしない。ん、ゴンベエの大好物なのに。どうしたんだろう。
 相変わらず、せつなさそうな鳴き声をあげ、熱っぽい目でじっと一点を見つめている。
 ボケたのか、それとも、どこか具合でも悪いのかな、と、思いながら、ゴンベエの目線の先を追うと、あららっ。
 招き猫チャンじゃないですか。
 ハンバーガーショップの隣りに一台のミニバンが、駐車していて、そのフロントガラスの内側に、ピンク色の招き猫が、ちょこんと坐り、右手で「おいで、おいで」している。
大きさは普通のネコぐらいかな、まんまるオメメのカワイイ顔だ。
そう、わたしに似てるかも、なんちゃって、ふふふっ。
 あっ!
一瞬、ひらめいた。そうか、ゴンベエ、この招き猫チャンにラブラブしているんだ。
「そうなんだね、ゴンベエ?」
 星子がひやかすようにいうと、ゴンベエ、真っ赤になった……なんてことあるわけないか。毛むくじゃらのミケドラじゃ、真っ赤になってもわかりません。でも、自慢のヒゲをデレッと下げた顔が何よりの証拠だ。
 そうか、招き猫チャンに恋しちゃったのか。普段のゴンベエ、およそ、メス猫には興味がない、いや、ほんとはキョウミがあるけど、相手してくれない、つまり、まったく、モテない、哀しいロンリーキャットなんだよね。
 そのゴンベエが、本気で恋しちゃったのが、あのピンクの招き猫だったなんて。
 星子、プッと吹き出しかけたけど、ふと、ゴンベエがいじらしくなってきた。
そういえば、ピンクの招き猫は恋を招くとか。まさに、ゴンベエに恋を招いてくれたわけ。
 ちなみに、白色の招き猫は幸せを招き、金色の招き猫は金運を招く、赤色の招き猫は健康を、そして、黒色の招き猫は強運を招く、とか。
 わたしは、何色の招き猫がいいかな。一々、いうまでもありません。ピンク色にきまってるでしょ。
 だけど、このミニバン、どうして、招き猫なんかフロントに飾っているんだろう。ドライバーは、縁起かつぎの好きな人かな。
そう思いながら見ていると、ん、サイドドアに張り紙が、「恋占いの小部屋」って書いてある。
 どうやら、占い師さんがこのミニバンで移動占いをやっているらしい。
でも、恋は占いなんかじゃきまらないよ。やっぱり、自分の手と足と頭でキャッチしなきゃ。
 星子が、自分にいって聞かせた時だ。
 ミニバンのスライドドアが開くと、中から若い女の人が降りてきた。黒いスーツの制服姿で、夢見るようなトロンとした顔だ。恋占いをして貰ったのかな。女の人、そのまま、近くの宝石店へ入ると、お店の人に挨拶して、ショーケースの向こうに立った。
なんだ、宝石店の店員さんだったのか。仕事中に恋占いを見てもらうなんて、あまり、感心出来ないよね。
 星子、やれやれという顔で歩きかけた。
 すると、一羽の金色の蝶がヒラリと星子の鼻先を舞い、じきの、一枚のカードに変わって、地面に落ちた。
 ん、タロットカードじゃないですか。
 どこからこんなものが、と、思った星子の背後から、
「キミも、恋占いしてあげようか?」
 まろやかな若い男の声が、聞こえてきた。
「あ、ケッコウですから」
そういおうと、星子、振り向いた。
「わわっ」
 ミニバンの車内からタキシード姿の若い男が降りると、笑顔を星子に向けた。それも、ただの笑顔じゃない。
 ほら、とろけるような笑顔っていいかたがあるでしょ。まさに、あれよ。
 ……んもぅ、なんていいオトコなの……シ、シビレル……。
 甘さと精悍さ、知性と感性、気品が程よくミックスされて、超美形の型枠にはめて出来上がった、トップモデルのような若者だ。金髪の長い髪が、エキゾチックな彫りの深い顔にかかり、その髪の間から、やさしそうな眼差しがやわらかな光りを放っていた。

                             (つづく)



追記  この展開じゃゴンベエがちょっと可哀想かな。カンニンな、ゴンベエ。超美形登場で、星子、とんだことになるかも……。このオトコ、この短編が終わった後も、星子や宙太を悩ます存在になりそうです。では、よい週末を!

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