星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

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 ――わたしが、勇気と力を与えてくれた……手術の前に、もう一度、わたしに会いたい……わたしに……。
 なんとも、ドラマチックな内容じゃないですか。
 星子、しばし、茫然。ドラマの主人公になったような気分でフーッと吐息をついた。
 それにしても、成功率がほんの僅かの手術だなんて。いったい、天川光って人、どんな病気にかかっているんだろう。
 星子、再び、手紙に目をやった。
「もちろん、君に会えたからといって、手術が成功するとは限らないだろう。でも、仮に万一のことがあっても、僕には悔いはない。君という素敵な人の面影と一緒に旅立てる。僕はもうひとりぽっちじゃないんだから」
 ううっ、泣かせることをいってくれるじゃないですか。
「もし、僕の身勝手な願いを聞いてくれるなら、来週の月曜日の午後四時に、日比谷公園の噴水の前に来て貰えないだろうか」
 日比谷公園の噴水の前、ですか。うん、知っている。都心の真ん中にある、素敵な公園だよね。来週の月曜日っていうと、あと、五日か。
「ほんとはもっと早く君に会いたい。でも、事情があって、出来ないんだ。じつは、天川光という名前は、僕の本当の名前じゃない」
 えっ。
「わけあって、本名は使えないんだ。でも、どうせ、偽名を使うなら、あなたの名前、流星子に少しでも近づきたかったから、天川光と……」
 ……んもぅ……。
 じゃ、差出人の住所が書いていないのも、やっぱり、わけがあるからなんだ。
 どういう、わけ?
 ロマンチックにふくらんだ気分に、ちょっと、冷たい風が吹き付けた。
「すまない、本当に申し訳ないと思う。でも、君には決して迷惑はかけないから。それだけは、信じて下さい。僕は、あくまで、もう一度、君の姿をスケッチしたいだけだ」
 スケッチ? 絵に描くってこと?
「そう、あの時のようにね」
 あの時? はて?
「今でも、はっきりと覚えているよ。君が千曲川のほとりで杏の花をつんでいる姿を。まるで、童話に登場するお姫様のように美しい姿だった。僕は急いでスケッチしようとしたけど、君に気づかれてさ、その拍子に、君のかぶっていた赤いリボンの帽子が風に飛ばされて、ころころと転がって……あわてて拾った時の君の真っ赤な顔の可愛かったことったら……」
 ちょ、ちょっと、待って。
 これって、おかしいよ。
 わたし、赤いリボンの帽子なんか、持っていない。それに、千曲川で杏の花をつんだこともない。もっと、肝心なこと、わたしは童話のお姫様のようにきれいじゃない。
 どうやら、そう、人違いしているんじゃ。
 星子、茫然と手紙を見つめた。


                         (つづく)



追記  いよいよ連休の始まりだそうで。ま、僕には関係のない話ですがね。昔からですが。みなさんは、いかがですか。ま、暇があったら、今回の作品でも読んでみてください。とりあえず、三回つづけましたが、目の休養をかねて、とりあえず、明日は休憩します。あしからず。

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