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「んもぅ、また、あらわれたのね」
星子、不機嫌そのものといった顔でいった。
でも、受け取るものだけは、ちゃんと、あ、鳥釜飯のこと、だけどね。
メッチャうまいし、これって。
「あ、お茶」
宙太、すかさず、ペットポトルのお茶を鳥釜飯に添えて、気がついたときには、もう、星子の隣りにしっかりと座っていた。
「そうか、信州には、そんなにいいオトコがいるわけか」
「え?」
「だってさ、ついこの前、春休みに善光寺サンや杏の里あたりを旅したばかりなのに、また、長野新幹線でおでかけとくる」
「いいじゃん」
「どんなオトコかな、姫の心をここまで虜にした相手は。さては、ボクチャンのような知性と教養にあふれた美形タイプだったりして」
「長生きするわ、あなた」
「そう、長生きして、うんと愛をかわしたいね、セイコ姫と」
宙太、タレ目でやんわりとウインクだ。
もう、かなわんわ。
「とにかく、いいから、ほっといて。お願い」
星子、鳥飯をほうばりながら、いった。
「いちいち、監視されたんじゃ、いい迷惑よっ」
「監視?」
「そ、わたし、のんびりと一人旅をしたいの。ほっといて欲しいんだ」
「どうぞどうぞ」
「え?」
「ボクチャン、今回はハニィのガードをゴンベエくんにおまかせ」
「ウソ」
「いや、これホント」
「じゃ、なんで、この新幹線に乗っているわけ?」
「よくぞ聞いてくれました。じつは、仕事で長野へいくところなんだ」
「仕事? どんな?」
「それは、捜査上のヒミツ」
「たくぅ、調子のいいこといって」
「ま、とにかく、そういうわけなんで、道中ヨロシク」
「なにが、ヨロシクよっ」
星子、むくれたとたん、ゴハンをのどに詰まらせ、目をシロクロ。宙太に背中を叩いてもらうはめになり、うーっ、自己嫌悪じゃっ。
でも、ほんとは、宙太さんと一緒の旅、嫌なんかじゃない。こんなわがままムスメのわたしをやさしく受け止めてくれるし、すっごく、楽しい。いい恋さがしの一人旅なのに、いつも、宙太さんがあらわれるのを、期待している。
でも、今回は、ちょっとね。仮の名前の天川光さん、なにか、わけありのようだし、へたに宙太さんに首を突っ込まれると、ごちゃごちゃしそうだ。手術まであまり時間もないし、早くあの赤いリボンの女の子を見つけないと。
星子、鳥飯をパクつきながら、しっかりと、誓った。でも、まさか、天川光サンと宙太さんが一本の線でつながっているとは、知る由もなかった……。
(つづく)
追記 今日で四月は終わりですね。今月は公私共にほんとにいろいろなことがありました。五月はどうなるのかな。とにかく、1日一日を噛み締めながら生きていくだけです。そうそう、今月買ったブルージーンズ、どうにか、馴染んできたと思ったら、この暑さで、もう、ムリ。ザンネン!
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