星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

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 ――あ、やめて、そ、そんなことしないで、宙太さん……わたし、人妻よ、れっきとした華道花陰流の家元の妻なのよ……ダメだったら……こ、このぉ、ダメといってるのが、わからないのかい、このタレ目のドスケベ男! これでもくらえ!
「いたいっ」
 聞こえたのは、春之介の悲鳴だ。
 ん? 目を開けると、春之介が頬を押さえて立っている。
「春ちゃん……」
「ひどいわ、いきなり、叩くなんて」
 春之介、軽く睨んだ。
「ご、ごめん、宙太さんと間違えちゃった……」
「宙太さんと? どうかしたの?」
「あ、別に……」
 やだ、夢だったんだ。それにしても、なんか、くすぐったい夢でしたけどね。
「さ、起きて起きて」
 そういいながら、春之介、窓のカーテンを開けた。 
まぶしい光がさしこんでくる。春ちゃん、昨夜は舞妓さんのかっこうしてたけど、今朝は、ん、きちっとした羽織袴姿じゃないですか。
すごく、よく似合っている。まさに、華道の御曹司という感じだ。
昨夜、春之介に助けられたあと、京都市内のペットオーケーのこのホテルに一緒に泊まった。あ、一緒といっても、部屋は別々だ。春之介のほうから、そうしたいといった。
「近頃、わたし、男系のほうがモーレツに強くなる時があるの。もしものことでもあると、困るし……わたし、星子ちゃんと結婚するまでは、ドウテ、あ、純潔でいたいのよ」
 ですって。
 その時は、春ちゃん、春の目覚め、かな。
 と、思ったけど、このりりしい姿を見ていると、一緒の部屋でなくて良かった、ヤバイもんね。
「ちょっと、星子ちゃん、なにぼんやりしてるの」
 格好はりりしくても、言葉づかいは、アチラ系だ。
「さ、早く、支度して!」
「え?」
「見つかったのよ、女雛さんが!」
「うそっ」
 星子、ベッドからはね起きた。
 華道花陰流のネットワーク、半信半疑だったけど、ちゃんと、働いてくれたんだ。
 春之介の話だと、
「名前は、白峰百合子、十八歳、京都のしにせ旅館のお嬢さんで、市内の名門女子校の三年生なんだって」
「そう」
 白峰百合子さんか。美しい女雛にふさわしい、ロマンチックな名前よね。しかも、京都の名門女子校の三年生とは。星子は今高校二年だし、一級上ってことになる。ま、同じ高校生なら、話もしやすいかもね。
 とにかく、急いでいってみよう。ほんとは、朝ごはん食べていきたいけど、のんびりしている場合じゃない。星子、あわただしく支度すると、春之介のあとから、部屋を飛び出した。ゴンベエ、朝飯にありつけずに、リュックの中で仏頂面だ。
 文句いうな。一日や二日、食べなくても死にはしないよっ。
 春之介の運転するレンタカー、鴨川を渡ると、南禅寺の方向へ。じきに、鬱蒼とした木立ちと竹林に囲まれた大きな門構えの旅館に到着だ。
 うわぁ、なんて立派な旅館なんだろう。いかにも、京都のしにせ旅館といった佇まいで、さすがの星子も、ちょっと、すくんでしまうほどだ。
 でも、深呼吸して気持ちを落ち着かせると、番頭さんに、
「ごめん下さい、百合子さんはいらっしゃいますか」
「はい、どちら様で?」
 番頭さん、うさん臭そうに星子を見た。
 星子、自分の名前をいったけど、番頭さん、用件を聞かせてくれ、と、うるさいのなんの。どうやら、百合子さんは、箱入り娘のようだ。
 まいったな、と、思った時、春之介が、やおら、進み出て、名刺を差し出した。
「こういう者ですが、お取次ぎ頂けますか」
「あ、こ、これは、花陰流家元の……シ、失礼しました!」
 番頭さん、あわてて、奥へ走った。
 さすが、家元御曹司の肩書きは大したものよね。これで、春ちゃんが羽織袴姿になったわけもわかった。女装の御曹司じゃ、信用されないもんね。
 じきに、番頭さんの案内で、中庭へ。そこには、等身大の京人形が……と、見まごうばかりに美しくて上品な少女が、星子と春之介を出迎えた。
「百合子です」
 挨拶した声も、ほんとうに、きれいだ。
 もう、星子、すっかり、自分がみじめに……同じ女の子でありながら、どうしてこうも造りが違うのかしらね。カミサマのいじわる。
 こんなに素敵な人に励まされたら、きっと、天川光サンの手術も成功するに違いない。よかった。
 そう思いながら、星子、「じつは、お見せしたいものがあるんです」と、ラブレターを差し出して、事情を話した。
「天川光さんに会いにいってくれますか? くれますよね?」
 星子、当然、「はい」という返事をもらえると期待した。
 ところが、百合子は、涼やかな笑みを浮かべたまま、静かにいった。
「お断りします」


                                 (つづく)



追記  僕が京都で一番好きな所は、やっぱり、南禅寺界隈です。秋の頃なんか、最高ですね。南禅寺からインクラインを登っていくあたりを、あの人と二人であるいたっけ。もう遠い昔の話になってしまった。心も体も疲れ果て、病んで、人は人生の旅を終えるのだろうか。
 今回の追記は、ちと、さびしくなりました。どうも、躁鬱の度合いが年と共に強くなるようですね。明日は、陽気に元気になるぞ!

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