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「う、うそーっ」
星子、それでなくても大きなまん丸オメメを、さらに、大きくした。
「春ちゃんが? そ、そんなっ……」
星子だけじゃない。右京も左京も、ゲンジロウにタケル、おっと、ゴンベエまでもが、「シンジラレナーイ」ってな顔で宙太を見た。
「だろ?」
宙太、コックンとうなずきながら、いった。
「春之介クンといえば、典型的な美形のミスターレディ、ニューハーフちゃんだ。そんじょそこいらの女の子たちよりずっと女の子っぽい。ましてや、星子姫とくらべたら、もう……とととっ」
宙太、あわてて、口を押さえた。
「もう、なによっ」
星子がにらみつけると、すかさず、宙太、
「ううっ、その顔、たまらなくセクシー!」
なんて、ごまかすなっ。
思わずにっこりの右京たち、星子にジロリとにらまれ、これまた、あわてて、咳払いだ。
「それにしても、今、評判の桜吹雪の剣士があの春之介くんとはな」
右京がつぶやくと、左京が、
「ムリムリ、悪党退治なんて、とても、柄じゃないぜ」
「そうや、オトコ殺しなら、春ちゃん、お得意やろうけどな」
ゲンジロウが調子を合わせ、タケルも、
「オンナ殺しなら、オレにまかせろ、かい?」
「さいでがんす」
ククッと笑うゲンジロウとタケルだ。
「ほんとに、もう、品がないんだからっ」
星子、唇をとがらすと、
「とにかく、春ちゃんに会って、たしかめてみようよ。ね?」
「そう、それがいい。そうしよう」
「サンセイ」
右京たちも、星子に同調した。
すると、宙太、肩をすぼめながら、
「もちろん、こっちもそう思ったけどさ、かんじんの春ちゃんの居所がさっぱり、わからないとくる」
「ん? たしか、六本木の近くで水晶占いの店を開いているとか……だろう、星子さん?」
右京にいわれて、星子、
「ええ、そう聞いていたけど……」
「ところが、そんな店はないんだ」
宙太、首を振って見せた。
「ない?」
「ウ、ウソッ」
「オレの捜査班で調べてみたんだから、たしかさ」
「じゃ、春ちゃん、あたしにウソをついていたってわけ」
「かもな」
「でも、どうして、そんなウソを……」
星子、そっと歯噛みした。
春之介とは、ほんとの友達として付き合っていたつもりなのに。それだけに、余計、口惜しい気持ちがする。
「たぶん、星子ちゃんにもいえないような出生の秘密とやらがあるんじゃないのか」と、左京がいった。
「そう、たとえば、大悪党の息子とか」と、タケル。
「大悪党の息子が悪党退治なんかやらかすかいな。もっと、ワケありの子かもしれんで」と、ゲンジロウ。
「わけありって?」
「そこが問題や。とにかく、星子ちゃんにウソをつくってことは、よっぽどのことやで。たとえば、オオカミ少年だとか!」
「んもぅ、よしてよっ」
「よせよ、ゲンジロウ」
宙太、ゲンジロウをたしなめると、
「とにかく、マサルくんにも、独自のルートから調べてもらっているから、もうじき……ん、噂をすればなんとやらだ」
宙太が目をやった方向から、一台のナナハンがすっとんできた。
じきに、キキッと停まったナナハンから、マサルがひらりと降り立った。
「警部! わかったぜ!」
「ん!」
「春之介くんは、今、華道花陰流の家元の屋敷にいるんだ」
「華道花陰流?」
「その家元のお屋敷に?」
「なんでまた、そんなところにいるわけ?」
「それがね、星子さん……」
マサル、息を整えながらいった。
「春之介くんは、家元の……御曹司なんだ」
「ええっ」
星子、ぽかんと口を開けた。
(つづく)
追記 今日は、ほんと、寒い1日でした。暖め合いたいですね、身も心も。とととっ、身はやばいか。どうも、です!
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