星子&宙太yyy

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花舞いは恋の必殺剣6

                 6

「やめて!」
 星子、無我夢中でとびだした。
 宙太と春之介が戦うなんて、それも、春之介は仕込み剣を抜き放ち、宙太を斬ろうとしている。
 絶対に、あってはいけないことだ。何が何でも、止めなくては。
「せ、星子さんっ」
「危ない、ハニィ!」
 宙太も春之介も、身構えたまま、ハッとなって星子を見た。
「やめて! お願い! やめないと、もう、絶交よ! 二度と会わないから!二度とね!」
「星子さん……」
「ハニィ……」
 宙太と春之介、困惑した顔で立ちつくした。
 その時、ふいに、ザーッっと音を立てて竹林が揺れ始めた。
かなり強い風が吹きつけてきて、大きな竹がしなり、枝がざわめき、恐いくらいだ。
 星子、足もとがよろけて、あわてて、竹に掴まった。でも、さらに、強い風が巻き起こり、星子、しなった竹にはじき飛ばされた。
「キャーッ」
「ハニィ!」
「星子さんっ」
 宙太と春之介の声が、突風に巻かれながら、どこかへとんでいく。
 星子、急に頭の中が真っ白になって、そのまま、意識を失った。
              ○
「ハーイ、ハニィ! おまっとうさん!」
 宙太、新幹線のぞみ号の座席に、駅弁を二つ置いた。
 一つは、定番の幕の内。もう一つは、専門店の名物カツサンドだ。どちらも、旅のお供には、申し分ない。もちろん、ゴンベエへのハンバーガーもしっかりと買ってきてくれている。さすがは宙太、ぬかりがない。
「ありがと」
 星子、素直にお礼をいった。こういうことには、つっぱりハニィの星子チャンも、格別、素直になるってわけ。
「でも、ほんま、よかった、星子ちゃんが、また、旅にでかけられるようになって」
 ゲンジロウ、嬉しそうな顔でいった。
「ほんと、ほんと」
 マサル、右京や左京、タケルや小次郎も、うなづいた。星子のあらたな旅立ちに、仲間達がみんなで見送りにきてくれたのだ。
「竹林で突風に飛ばされて気を失った星子ちゃん、ぐったりしてたからな。もう、ダメかと思ったぜ」と、宙太。
「おさわがせレディも、ジ・エンド。これで、俺達も安心して暮らせるってわけ」と、タケル。
「よくいうぜ」
 大笑いの宙太達だ。
 日頃は生真面目な顔が目立つ右京も、静かに微笑んでいる。その右京が、ふと、いった。
「それはそうと、春之介君はどうなったんだ?」
「竹林から姿を消したきりさ」
 宙太、肩をすくめた。
「突風に吹かれて、どこへいったやら。マサル君と手分けして探しているけど、今のところ、手がかりナシだ」
「どかで、また、悪党狩りでもはじめるんじゃないのかな」と、小次郎。
「あくまで、男の義、男の道を貫こうってわけか」と、右京。
「星子ちゃんの愛を獲得するためにかい。殊勝な心がけだっていいたいけど、すでに、勝負あり。オレの勝ちや」と、ゲンジロウ。
「とんでもない! 星子ちゃんが相手にするわけないって。んな、星子ちゃん?」と、左京。
「そうそう、勝者はこのボクチャンでーす!」
 と、タケル。
「もう、みんな、いい加減にしろよ。星子さんは、もう一度、ほんとの恋、ほんとの愛を探しに旅立つんだ。静かに見送ってやろうや」と、右京、たしなめるようにいった。
「そう、その通りだ」と、マサル。
はしゃいでいたゲンジロウたちも、シュンとなった。
と、宙太が、
「ま、そうだけどさ、ほんとはみんな、さびしいんだよな。星子さんが、また、一人旅に出かけてしまうのがさ」
 ちょっと気まずくなりかけた雰囲気を、和らげるようにいった。
「もしかすると、旅先でほんとの恋を見つけて、もう、二度と戻ってこないかも……そんな思いが、みんな、あ、もちろん、俺にもさ……」
 宙太の顔に、不安と心配、それに、悲しそうな翳が流れた。
「……」
 右京達、黙ったまま、目を伏せている。
「でも、それはそれ、その時は仕方ないさ。星子さんが、ほんとの恋を見つけたんなら、素直に祝ってあげようぜ。俺達みんな、星子さんの幸せを願っているんだしさ。な、そうだろ?」
 宙太が見つめると、右京達もじきにうなずいた。
「そうや、宙太のいうとおりや」
「星子さん、ほんとの恋をしっかりさがしてこいよ」
「今度こそ、見つけるだぜ」
「いいな、星子ちゃん」
「!……」
 星子、微笑んだ。同時に、熱いものがこみ上げてきた。
「ありがと、みんな、ほんとに……ありがとう……」
 なんてステキな仲間達なんだろう。このまま、皆とずっと一緒にいたい。でも、そうもいかない。本当の恋、真実の愛を探して、わたしは、今、旅立つ。旅立たなくては。
それが、わたしにとって、生きるってことなんだから。
 発車ベルが鳴りだした。
 いよいよ、新しい旅が始まる。
「じゃ、いってきます!」
 星子、気持ちを振り切るように明るい顔を作りデッキに乗り込んだ。
 その時、「待って、星子ちゃん!」
 そう叫びながら、ホームに駆けつけてきたのは……ん、春ちゃんじゃ!
 それも、着流し姿ではなくて、オシャレなレディ・スタイルにド派手なお化粧顔だ。
 ということは、いつもの、春之介ってことだ。
「お、おい!」
「は、春ちゃん!」
 宙太達も、ビックリ、唖然となった。
「よかったわ、間に合って! はい、星子ちゃん、お餞別のかわり!」
 春之介、星子に包装箱を差し出した。
「あたしの手作りクッキーよ。旅のお供にどうぞ」
「ありがと、春ちゃん……」
「星子ちゃん、ステキな恋を見つけてきてね。あたしは、今まで通り宙太さん命! 宙太さん一筋よ!」
 そういって、キョーレツなウインクを宙太にバシッ。
「う、うわっ」
 宙太、悲鳴をあげた。
「マサルくん、逮捕! 春ちゃんを逮捕しろ!」
「無理だな。俺たちが追っているのは、あくまで、悪党狩りの男・伊集院春之介だ。ミス・アンド・レディの春ちゃんじゃないぜ」
「そ、そんなぁ」
 宙太がガクッとなった時、デッキのドアが閉まった。
 いよいよ、発車だ。
「今度こそほんとにいってきます!」 
 星子、ガラス窓越しに手を振った。
「いってらっしゃい!」
「いいオトコ、見つけるなよ!」
「あとから追いかけるからな!」
 もう、皆、勝手なことばかりいってるよね。
 でも、とにかく、
 わたし、旅立ちます!
 いい恋さがし、幸せさがしの新しい旅に!
 いってきまーす!



                     (おわり)



追記  どうにか、完結しました。星子さん、あらたな恋さがしの一人旅に出発したわけですが、はたして、この先、どうなりますやら。作者の僕にも、まったく、わかりません。春ちゃんもダブル・キャラで登場するのかな。その新しい旅については、また、機会があったら、お目にかけたいと思います。それまで、しばらく、留守にします。皆さんも、どうか、お元気でね。

 では、星子の新しい旅立ちに、カンパイ! 


 

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