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ええっ、今日が僕のバースディだって? そんな! そんなはずはない! だって、当然でしょう。僕には誕生日なんてないんだから。僕は星子や宙太達と同じです。永遠に歳は取らないのだ! すごい、ミステリーの世界に住んでいるんだ! 不老不死、永遠の命を天から授かったんだから!
わかったかい!
へん、ザマミロってんだ!
……。
ああぁ、ムダなテイコウしているよね、今夜の僕は。
ス、スミマセン、確かに、今日は僕の誕生日。
いくつになったかって?
いわゆる、コキであります!
わかるかな、コキの意味。
人生の荒海を、コキコキ漕いで、沈没寸前状態ながら、なんとか、嵐の海原を漂っております。そう、まさに、漂っている、という状態だよね、今の僕は。
なんて、違うだろ、コキは古希と書く。
昔の人は、滅多にその歳まで生きられなかった。だから、「稀」マレという字にちなんで、古希となずけた。
もっとも、今では、マレではなくなった。たしかに、櫛の歯が欠けるように、僕の周りでも古希年齢で永遠の旅に出かけるヒトが……でも、大多数はまだまだゲンキだ。
この僕だって、真実の恋を求めて、星子や宙太と旅を続けるつもり。その旅に、年齢は関係ナイ!
と、意気込んでも、やはり、もう、旅の終わりが、その足音がヒタヒタと……。
サヨナラ、ミナサン。
サヨナラ!
……なんて、くだらねぇ感傷にひたってないの。
とにかく、これからは、一年一年、1日1日を、貴重な時間として、噛み締めて生きていかねば。
人生最終章。テーマは、もちろん、カッコよく生き、カッコよく死んで、カッコいいエンドマークをつけること。
昔のフランス映画「勝手にしやがれ」の主人公のように……。
でも、一人で旅立つのはいやだ。可愛いあの子の膝枕で……なんて、すぐそれだぜ、オイ!
ま、そんな思いで、一人、書斎でウィスキーのグラスを傾ける僕です。
いつもの、おさわがせ。
オヤスミ!
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