星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

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 星子が行方不明に……しかも、星子が乗っていた女性専用車で、殺人事件が!
 わたしは、茫然としたまま、もつれるような足取りで宙太のあとを追った。
 夜行の急行「はまなす」は、電気機関車に引っ張られる七両の客車で編成されている。私が乗っていたのは、1号車のB寝台車で、函館寄り、つまり、先頭の客車だ。2号車もB寝台車で、3号車は宙太が乗っていた自由席。4号車はカーペットを敷いた指定席のドリームカー。中二階式で床暖房が入っている。5号車はリクライニングのドリームカーで、函館よりにはミニラウンジ。中央が座席指定席。そして、青森寄りの左右6席づつが女性専用のシートだ。都会の通勤電車のように、丸ごと一両が女性専用車というわけではない。6号車もミニラウンジのついたリクライニングシートの座席指定車。最後部の7号車が自由席になっている。
 すでに、時計は真夜中の十二時半を過ぎていたが、乗客の大半が起きている。あと三十分ほどで函館に着くからだろう。車窓には夜の函館湾が広がり、漁火や貨物船の灯が光っている。遠くに見える赤や黄色、青などの光は函館の街だろうか。
 だが、今のわたしにはその美しい景色も目に入らなかった。星子の身に万一のことでもあったら、どうする。星子はわたしにとって、特別な存在だ。わたしが創り出した小説の主人公というだけではない。星子には、あの人の面影が映されている。明るく知的で、好奇心と正義感が強く、気風のいい女だった。自由奔放だが、思いやりとやさしさにあふれる、熱いハートの持ち主でもあった。
 そんなあの人のイーメージをもとに、星子という主人公が生まれたのだ。そう、星子はあの人の分身といっても過言ではなかった。
「さ、早く!」
 宙太にせかされ、わたしは息を切らせながら5号車のデッキにたどりついた。ドアを開けて車内へ入ると、そこは女性専用のシートが並んでいる。
「ここだよ、星子さんの席は」
 宙太は、右側の二番目の窓側の空席を指差した。
「確かなんだね?」
「もちろん。オレ、この目でしっかりとチェックしてたから。どんなに邪険にされても、ガードするのがオレの使命だもんね」
「じゃ、なぜ、星子が席を離れた時、気がつかなかったんだ?」
「だってさ、星子さんのそばにいるわけにもいかないだろ。それで、デッキに立ってたわけ」
 惚れた弱みというか、宙太、星子にはかなり気を使っているようだ。
「でも、5分ごとに覗いてたしかめてたんだぜ」
「その5分の間にいなくなったわけか。時間は?」
「今から十五分ほど前、つまり、真夜中の0時15分頃かな。星子さんがいないのに気づいて、オレ、前の車両へ走ったんだ」
 宙太は、わたしを促して、5号車を通り抜け、函館よりのデッキに出た。
 そこにはトイレと洗面台があって、トイレの前には若い車掌が緊張した顔で立っている。
「どうも」
 宙太は車掌に会釈すると、トイレを指差した。
「この中に、コロシの死体があるんだ」
「!……」
「もちろん、鉄道警察には連絡済みだぜ。函館まで現場を保存しとかないとね」
 さすが、警視庁のキャリア捜査官だ。ぬかりはない。
「星子さんを探して飛び出した時、細目にドアが開いていて、死体が見えたわけ。そばには、これが落ちていたんだ」
 宙太は、ポケットからハンカチの包みを取り出して、広げた。
 鈴のついた猫の首輪だ。
 どこかで見たような……わたしは、ハッとなった。
「ゴンベエのだ!」

                              (つづく)



追記  なんだか、ますます、トラベルミステリーっぽくなってきちゃって。とんだ恋旅ガイドになりそうだ。やれやれ。ま、ガマンして付き合ってください。

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