星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

              8

「おんや、また、お会いしましたね、ハニィ。やっぱり、ボクチャンとハニィは、一本の糸で結ばれているんだ」
 ニッコリとウインクした宙太に、
「ふん、よくいうわね、わたしのあとをつけてきたくせに」
 星子、キュートな唇をとがらせた。
「とんでもない、仕事でここへきただけさ」
「なにが、仕事よっ」
「ほんと、ほんと。マサルくんと一緒なのが、何よりの証拠さ。んな、マサルくんよ」
「――」
 マサル、研ぎ澄まされた精悍な顔でうなずいてみせた。
「俺たち、殺しのホシを追っているんだ」
「コ、コロシ?」
 星子、背筋がゾーッ。
「そ、その犯人が、ここへ……」
 宙太、うなずいた。
「うん、目撃者があらわれてさ、あんず祭りの頃、稲荷山の蔵屋敷で見かけたって。丁度、ここで雛人形展をやっていた時だそうだ」
「そう……」
「ハニィも、その頃、ここへきているんだろ。ひょっとして、見かけたかもしれないな」
「わたしが? でも、別にそんなこわそうな人は見かけなかったと思うけど……」
「あ、殺しのホシだからって、ゾンビや狼男のような顔をしているわけじゃないぜ。とくに、このホシは、光源氏も顔負けの美形とくる」
 宙太、そういいながら、ジャケットのポケットから一枚の写真を取り出して、星子に見せた。
「名前は、宮本竜也。二十三歳。横浜のクラブのバンドでギターを弾いているんだ」
 ふーん、バンドのギターリストですか。コロシという言葉には、縁のない仕事だよね、と、思いながら、その写真を見たとたん、星子、頭の中がクラクラッ。
 なるほど、まさに、美形そのものじゃないですか。鼻筋の通ったうりざね顔に、愁いを帯びた切れ長の目。りりしい唇。しかもですよ、単なる美形ではなく、知性と教養にあふれた顔立ちだ。
 こ、こんな美形のギターリストにラブソングなんか弾かれたら、もう、ダメ、即、昇天しちゃいそう。
「こ、この人、ほんとに、人殺しなの?」
 星子が、うわずった声で聞くと、
「うん、それも、わけありのね」
「わけあり?」
「半年ほど前の話だけどさ、この男の妹がレイプされた挙句、殺されたんだ。まだ、十六歳の女子高生だった。この男にとって、妹はたった一人の肉親でさ、三年前、交通事故で亡くなった両親に代わって苦労しながら育ててきたんだ。その妹を殺したのは、なんと、バンドの仲間だった。怒り狂った彼は、その仲間を……」
「殺したのね……」
「うん」
 つらい話だよね、ほんと。
「こういうホシを捕まえるのは、しんどい仕事だけどさ、罪は罪だ。それに、早く捕まえないと、自殺の恐れが……」
「自殺?」
「じつは、彼、重い心臓病にかかっているんだ」
「心臓病に……」
「手術しても、ほとんど、助かる見込みはないらしい。それで、やけを起こして、自殺する可能性が高いわけさ」
「……」
 星子の顔から、スーッと血の気が引いていった。
 もしかして、この美形のギタリストは、ラブレターをくれた天川光という人では……。そうよ、きっと。


                            (つづく)



追記  なんだか、さえない連休を過ごしております。このつづきは、連休明けということで、よろしく!

全1ページ

[1]


.
星子&宙太yyy
星子&宙太yyy
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

Yahoo!からのお知らせ


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事