星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

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「ちょ、ちょっと待った」
 宙太、あわてていった。
「ヤバイよ、それって」
「え? どうして?」
「だってさ、ここにいる星子さんは、つまりその、ニセモノっていうか……な、星子さん?」
「え、ええ、わたし、ほんとはね……」
 星子も懸命に事情を説明しようとした。でも、春之介、
「うふふふっ、ニセモノならどうしてラブラブしてるわけ?」
「あ、いや、あれはね……」
「愛に弁解はいらないの。双子チャンたちもね、保育園にいく時、ママが帰ってきたって大喜びしてたわよ。それでも、まだ、文句あるわけ?」
「う、う……な、ない……」
 宙太、そう答えるしかない。星子も、仕方なくうなづいた。
 春之介、当然といった顔で、
「じゃ、星子ちゃん、さっそくだけど、マサコにいってきて」
「マサコ?」
「あら、やだ。忘れたの? 自由が丘のケーキ屋さん。あなた、よく買いにいってたじゃないの」
「そ、そうだっけ」
「なにネボケたこといってるのよ。双子チャンね、あのお店のショートケーキ、大好きなの。お祝いのデコレーションケーキもね。マサルさん達も食べるから、しっかりと注文してきて。わかった?」
「え、ええ」
「あ、春ちゃん、僕がいってくるから」
「ダメダメ、星子ちゃん、ママ業をずっとサボってたんだから。当分、こき使わないとね」
「そんな……」
「ちょっと、宙太さん、男はやさしいだけじゃだめよッ。叱る時は、しっかりとしかること。それが、ほんとの愛情なの。わかった?」
 春之介、顔に似合わず、なんとも厳しいことをいう。
 ま、仕方ない。星子、いわれたとおりに自由が丘のケーキ屋さんへと向かった。
 やれやれ、パーティですか。みんな、わたしのこと、星子ママと思い込んでる。双子チャンもいることだし、一生懸命、演技するしかないだろう。
 それにしても、アルバムの一件といい、おかしなことばかりだ。どういうことなのか、さっぱり見当がつかない。
 星子、ため息をつきながら歩いていった。自由が丘は田園調布の隣り街だし、歩いていける距離だ。東横線沿いの道を歩いていくと、じきにオシャレな街並みに吸い込まれる。
 さて、マサコというケーキ屋さんはどこだろう。
 星子があたりを見回していると、背後からポンと肩を叩かれた。
 誰だろう、と、振り向くと、宙太がニカッと笑いながら立っている。
「宙太さんっ」
「よっ、星子姫。ゴブサタ」
やだ、もう。さっきまで一緒だったのに、ご無沙汰はないでしょ。
「あ、大丈夫」
「なにが?」
「ケーキ屋さん、自分で探すから」
「おや、ケーキ屋さんを探してるのかい。ボクチャン、てっきり、ステキな恋さがしの真っ最中かと思ったぜ」
「はい?」
 なに、とんちんかんなこといってるわけ。
「もう、からかわないで。早く注文しないと。パーティに間に合わないわ」
「パーティ? なんのこと?」
 宙太、けげんそうにいったあとで、パチンと指を鳴らした。
「そうか、ボクチャンと姫の再会を祝おうってわけね。フムフム」
「いい加減にして!」
 星子、キッと睨みつけた。
 さっきまでの宙太とは、まるで別人じゃないですか。悪ふざけもいいところだ。
「わたし、双子ちゃんのために頑張ってるのよ。宙太さんとも、そう約束したじゃない!だから、変にからかうのはやめて!」
「は? 双子チャン? 約束?」
 宙太、きょとんとなった。
「どういうこと? さっぱりわからないけど、え、姫……」
「んもぅ!」
 星子、思わずゲンコツで殴ろうとして、ふと、手を止めた。
「姫?」
「そう、キミは僕チャンの大事なお姫さまだもんな」
「……」
 さっきまで、わたしのこと、ハニィって呼んでたくせに。なんか、ヘン。
 そういえば、服装だってオシャレなグレー色のコートに、派手な色のネクタイ、耳にイヤリングなんかしている。さっきの宙太、イヤリングなんかしていなかった。
 ということは、いったい……。
「……あ、あなた、だれ? 誰なの?……」
 星子、恐る恐る宙太を見つめた。
 
                      (つづく)
 
 
追記 5000字を超えたので、一回では入りきれませんでした。すいませんです。所で、最後に出てきた宙太、いったい、どうなってるんですかね。ま、次回をお楽しみに。
 
 
                    5
 
 ――流星子という名前の生徒は、昔の生徒名簿には載っていない。載っているのは、今のわたしの名前だけ……。
 リツ子の電話の声が、星子の頭の中でぐるぐる回っている。リツ子、ウソと赤点は一生関係ないヒトだ。わたしと違って。
 流星子は、正真正銘、このわたし。ここにいるわたしだけ。
つまり、宙太さんや双子チャンが帰りを待ちわびている星子ママは、わたしの名前を使い、わたしになりすましている偽星子だ。
なぜ、わたしになりすますの?
わたしは、まだ、高校二年生の十七歳。双子チャンは今三歳っていうし、もし、わたしが産んだとすると……えーと……ヒ、ヒェーッ、中学三年の時じゃないの。
そりゃ、たしかに産める体にはなっていましたよ。自慢じゃないけどさ。
だけど、あり得ない。中三の頃のわたしなんて、男の子をいじめたり、からかったりしていたオテンバのガキ大将だった。好きな男の子なんかいなかったし、ましてや、エッチなんて無縁の世界、考えたこともなかった。いわゆる春の目覚めとやらは、高二から。まさに、突然変異デシタ。
そんなわたしのこと知らずに名前をかたってるわけ? それとも、知っていて流星子になりすましているの?
星子、だんだん腹が立ってきた。
いったい、ワレ、どこのどいつなんじゃい!
なんか、探る手がかりはないだろうか。そう、手紙とか写真とかグッズとか、なんでもいいからあたってみよう。
ということで、星子、急いで部屋へ戻ると、宙太に、
「ね、ね、あの、ちょっと!」
「ん、コーヒーね」
 宙太、コーヒーを淹れながら軽くウインクした。
「今、淹れてるとこ。愛情たっぷりの甘―いカフェオレ!」
「そうじゃなくって……」
「ん、ブラックがいいわけ? にがい恋の味がお好みとは」
「違います! コーヒーじゃなくて、星子ママのことで……」
「ん?」
「写真とか、手紙とか、あったら見せてくれますか?」
「くれますかって、他人行儀ないいかたはなし。ここにいる間はハニィとダーリンの仲の約束だろ」
「え、ええ」
「で、もちろんあるけど、どうして?」
「どうしてって、つまり、わたし、そんなに星子ママに似てるのかなって……」
「確認したいわけか。ナルホド。じゃ、見せてあげる」
 宙太、星子を促すと、奥の部屋へ向かった。
「星子ママのお部屋だよ」
ドアを開けると、狭いけど明るくて小奇麗な部屋だ。星座模様のカーテン、星の刺繍のレースカーテン、机や本棚の上には日本各地の木彫りの人形とかガラス細工とか、観光地のポスターとか、旅で集めたらしいグッズがたくさん……中には、変わった形の流木とか、石とか、解体された列車のパーツとかが所狭しと飾ってある。
ふーん、あんまり女の子っぽい雰囲気じゃないけど、いい感じ、わたしの趣味と同じ……って、ちょっと、待って。
この部屋、今、シモキタのマンションの星子の部屋にそっくりじゃないですか。もっとも、ここまで片づけてはいないけどね。
「どう、旅少女・星子ってイメージにふさわしい部屋だろ。ただし、カノジョが使ってた時は、こんなに綺麗じゃなかったけどね。整理整頓は苦手だってさ」
 うへっ、そんなとこまで真似してるのかい。
「星丸も宙美もこの部屋が大好きでさ、いつも入りびたっているんだ。きっと、ママの匂いとかぬくもりを感じるのかな。あ、僕もだけどね……」
 宙太、ちょっと照れ笑いを浮かべた。
 わかるな、それって。わたし、カギっこだったから、ママが夜勤でいない時なんか、ママのベッドにもぐりこんでいたものね。
「そうそう、写真だったね」
 宙太、机に飾ってある写真立てを手に取り、星子に差し出した。
 双子チャンがまだ赤ん坊の頃に撮った写真で、宙太と星子が赤ん坊を一人づつ抱いて映っている。
「僕が抱いてるのが宙美で、カノジョが抱いてるのが星丸さ」
「かわいいっ」
 もう、幸せいっぱいといった顔だ。だけど、返ってつらくなり、星子は写真を机に戻した。
「こっちなんか、どうかな」
 次に宙太が差し出した写真には、ウエディングドレス姿の星子と、モーニング姿の宙太が映っている。なんとも、ステキなカップルだ。
「わぁ、きれい」
 思わず、ため息が出てしまう。
「うん、日本一、いいや、世界一きれいな花嫁さんさ」
 そうつぶやく宙太の目に、キラッと光るものが。
 これも、見ていてつらくなる写真だ。目をそらした星子、隣りに飾られた写真を手に取った。結婚式のあとに撮ったのか、宙太と星子を囲んで友達らしい人達が映っている。
「あ、僕とカノジョの仲間達さ。この真面目くさった顔の男がマサルくん、となりでおどけているのが、僕と父親違いの兄弟でゲンジロウ……」
「そういえば、似てる」
「とんだ迷惑だよな。で、この生意気顔が小次郎くんで、隣りで気取っているのが左京くん。その隣りの美女が……」
「春之介さんね」
「そう、みんな、楽しくていいヤツさ。もちろん、ケンカとかするけどな。ま、じゃれあってるようなもんさ」
「いいなぁ、そういうのって。あ、この人は?」
 星子、皆と離れて立つ若い男を指差した。
「カッコイイッ」
 スラッとした長身で、長い髪が彫りの深い顔にかかり、ちょっと悲しげな双眸がなんとも印象的だ。
「この人も、仲間?」
「う、うん……」
 宙太、顔を曇らせた。
「……十文字右京くんだ……」
「えっ」
 星子、ドキッとなった。
 ――この人が、右京さん……星子ママが、あとを追った相手……。
 そうか、仲間の一人だったのか。宙太が紹介をためらった理由もよくわかるような気がする。そして、宙太の哀しさ、つらさも……。
「ごめんなさい、この人のこと、カッコいいなんて……」
 わたしって、ほんとにバカ。
 すると、宙太、首を振り、
「いいのいいの、カッコいいのは事実だしさ。ボクチャンなんか、足元にもおよばない、礼儀正しい青年紳士で正義感が強く、弱きを助け強きをくじく、まさに男の中の男ってヤツさ。僕も右京くんが好きだ。尊敬さえしている。だから、余計つらいっていうか……あ、でも、違うよな、右京くんがカノジョを奪ったんじゃない、カノジョがあとをおっていった、そういうことなんだ……右京くんを恨むのは逆恨みだよな。だけどさ、だけど、やっぱり……」
「……」
「ワリイ、こんな辛気臭い話、聞きたくないよな。僕だって、他の人間には、たとえ友達だろうと、絶対にいえないことだけどさ。弱みを見せたくないのかな、やっぱり」
宙太、肩をすくめると、
「でもさ、君といると、つい……ごめん、ごめん、あやまる。ソーリー・ダーリン」
「……」
 ――いいのに、わたしで良ければ、もっと聞いてあげたい。少しでも宙太さんが楽になれるのなら……。
 ふと、そんな気持ちになってくる。でも、ダメ。立ち入り禁止。入るべからず。
 宙太も、気持ちをふっ切るように、
「そうだ、高校の頃の写真も見てみるかい?」
「ええ、ぜひ!」
 そうよ、それが一番問題なんだ。
 宙太、机の引き出しを開けて、中からアルバムを取り出した。
「このアルバムが、そうだよ。高校時代のカノジョが映っているんだ」
 ふん、どこの高校だか。リツ子の話じゃ、名簿には載っていないわけだし。宙太さんにはウチの学校の名前をいってるけど、実際は違うはずよ。
 化けの皮を、はぐっ。
「見せて下さいっ」
 星子、ひったくるように受け取ると、ページをめくった。
 『二年A組』と書かれたページには、クラス全員が担任教師と一緒に撮った大判の写真が貼ってある。
 二年A組といえば、わたしと同じクラスの名前だ。
「ほら、ここにカノジョがいるだろ」
 宙太が写真の真ん中近くを指差した。たしかに、星子にそっくりの女の子が映っている。制服は、ウチの学校にそっくり。
ん、担任教師の顔も見覚えが……なによ、うちらの担任の赤田センセイにそっくりじゃないの。そして、その隣り、一番目立つ中心の位置には、リツ子そっくりな子がいる。
 うふっ、ホンモノのリツ子も、いつも一番目立つ所にいるもんね。
 一旦はクスッとなった星子、次の瞬間、あんぐりとなった。
 ちょ、ちょっと待って。他にも似ている子が、ゆうこ、カズコ、きな子、あけの、やすえ、まいこ、ひゃあ、どいつもこいつもそっくり!
 よくもまァ、ここまでそっくりな子をそろえ……られるわけないよ。そうじゃなくて、うちらのクラスの写真を、そっくり使っているんだ。
 あわててページをめくると、間違いない、運動会や学園祭、遠足、どの写真を見ても、わたしのアルバムと同じ写真が貼ってある。
 なによっ、これは!
 完全に、わたしになりすましているじゃないですか。
 もう、腹が立って、頭の中が真っ白。
「どうしたい、ハニィ? 星子さん?」
 宙太が心配そうに星子の顔を覗き込んだ。
「どうもこうも、ありません!」
 星子、目を釣り上げて叫んだ。
「このアルバムの写真、全部、わたしのです! 映ってる子も、担任の先生も全部、わたしのクラスのヒトよっ!」
「はぁ?」
「それに、わたし、友達に調べて貰ったけど、ウチの学校の昔の生徒名簿には流星子の名前はないの! あとにも先にも流星子はこのわたし一人なんです!」
「……」
「ちょっと、宙太さん! 聞いているわけ!」
「もちろん。ちゃんと、聞いてるさ」
 宙太、余裕の顔でいうと、ニッコリと笑った。
「な、なにがおかしいのっ」
「ごめん、ごめん。だってさ、キミがそこまで星子ママになりきるとはね」
「なりきる?」
「だってさ、僕は会ってるんだよ、担任の赤田先生に。君との結婚のことでね」
「ええっ、い、いつ?」
「三年前さ」
「えっ」
「その時、クラスの子たちにもね。あ、もちろん、結婚のことは話さなかったけどさ。リツ子さん、ゆうこさん、キナコさん、他のみんなにも」
「う、う、う……うそーっ……」
 星子、完全に頭の中がマッサラ。
 あ、ありえない。そんなバカなことって、絶対にありえない。
 宙太さん、アタマがおかしい。どうかしちゃってるよ。でも、だったら、赤田先生やリツ子達の名前、どうして知ってるわけ?
 どういうこと? どういう……あれこれ考えているうちに、フワーッとなって、倒れかかった。
「あ、星子さん、ハニィ、どうしたい?」
 宙太、素早く抱きとめると、そばのソファに星子を寝かせた。
「大丈夫かい?」
「ええ、ちょっと、フラッとしちゃって……」
「きっと、気を使い過ぎたんだよ。よし、マッサージしてあげようか」
「マッサージ?」
「星子ママにも、してあげたんだ。とてもよく効くってさ」
 そういいながら、宙太、星子の首から肩にかけてマッサージをはじめた。
 ――気持ち、イイ……。
 アルバムのことは後回し。しばし、オヤスミタイム。
 うっとりとしていると、ふいに、
「あららっ、オアツイこと」
 春之介の声がした。
 目を開けると、いつの間にか春之介が近くに立っている。
「春ちゃんか」
宙太、びっくり顔で振り仰いだ。星子も、あわてて起き上がった。
「ごめんあそばせ、オジャマしちゃって」
 ニヤリと笑った春之介に、宙太、
「違う違う、そんなんじゃないったら」
「いいのいいの、ほんとに久しぶりなんだもの。求め合って当然よ。ね、星子ちゃん」
「あ、う、いえ……」
 星子、何て答えていいのか、困ってしまう。
「こんな時になんだけど、宙太さん、今夜はパーティよっ」
「パーティ?」
「そ、星子ちゃんの無事帰還を祝ってね。マサルさんやゲンジロウさん、小次郎さん、左京さん、タケルさん達もくるって。みんな、あたしがメール入れたら、大感激! 星子ちゃんに会いたいって、もう、ウルウルよっ!」
「!……」
 
追記  全部入りきれなかったので、二回にわけます。よろしく!
 
 
 

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