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――マサル、炎上――
「そ、そんな……ちょっと、待って……」
星子、こんがらかった頭の中を整理しようと深呼吸した。
「それって、ヘン……おかしいよ」
「なにが?」
「だって、わたし、ここんとこ、マサルさん達には会ってないもん」
「会っていない?」
「そうよ、期末テストで学校と自宅の往復ばっかり。寄り道なんか、全然していなから」
「ナルホド」
宙太、ニタニタと笑った。
「嘘をつくんなら、もうちっとマシな嘘をつかなきゃ」
「ウソ?」
「そ、期末テストで忙しいなんて、君にはまったく縁のない話だしさ。星子さんにとってゲジゲジの次に嫌いなのが、オベンキョウだもんね。ウシシッ」
宙太、ちゃんとお見通しだ。
だけど、今回ばかりはそうもいっていられなかった。赤点ギリギリ、頑張らないと、留年ってなことになりかねない。でもって、星子としては、いつになく、お勉強を頑張ったつもりだった。
「じゃ、この一週間、どこへも遊びに行っていないっていうわけ?」
「もちろん」
「昨日の夕方も?」
「しつこいな。いってないったら!」
星子、きっぱりといった。
「そうなると、マサルくんの一件はどうなっちゃうのかな」
宙太、肩をすくめながらいった。
「じつはね、マサルくん、昨日の夕方、君と会ってるんだ」
「わたしと?」
「場所は、シブヤのパルコ前を通りかかった時、いきなり、後ろから抱きつかれた。で、びっくりして振り向くと、なんと、相手は君だった……」
「ウ、ウソッ」
星子、ムッと頬っぺたをふくらませた。
「わたしが、そんなことするわけないわ! 第一、わたし、昨日の夕方はウチで勉強してたんだ。そうだよね、ゴンベエ? はっきり答えなったら!」
キリリッと睨まれて、ゴンベエ、リュックの中から顔を出して、フニャァと頷いた。
「それによ、わたし、マサルさんに抱きつくわけが……そんなこと、絶対にしないから!」
「僕だって、そう思ったさ。いつものハニィからは、考えられないしな。でも、マサルくんは真剣な顔でいったんだ。嘘や冗談じゃない、ホントのことだって。星子さんはオレに抱きついたまま、マサルくんの耳元でこう囁いたって……あなたの汗のにおいって、サイコー。しびれる……」
「そ、そんなぁ!」
星子、思わず目をむいた。
そりゃ、マサルさんの汗のにおい、きっと、素敵かもね。嗅いでみたぁい!
なんて、そう思っても、絶対に口に出すことなんかありえない。
「いう、いうわけない! ぜったいにない!」
「そう思いたいさ。マサルくんも、当然、耳を疑ったそうだ。ところが、そのあとのハニィのウインク・キッスの威力はキョウレツ、熱く濡れた眼差しをまともにくらって、はい、マサルくん炎上とござい!」
「!……」
「お陰で、マサルくん、とんだチョンボ」
「え?」
「じつは、カレ、その時は強盗事件のホシを尾行中でさ、キミのウインクキッスでボーッとしている間に、ホシを見失ってしまったんだ」
「!……」
(つづく)
追記 昨日、日比谷公園のビール祭りにいってきました。物凄い人、人、人! おかげで、本場ドイツのビールにもソーセージにもありつけず、ザンネン。銀座へいってみたけど、ホコテンもこれまた人、人、人!
こんなに平和でいいのかな。バチが当たらないといいけど。
なんてほざいてるオレは、どうなんだ?
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2010年05月23日
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