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――愛の契りナノダ――
「ウ、ヒ、ヒヒェーッ」
星子、この世の終わりのような悲鳴をあげた。
だって、宙太と抱き合った状態で、ベッドに横になっている。そばに、『星子』の姿はない。ということは、星子、狙い通りに『星子』と合体できたってわけだ。
やったね!
ホッとなったあとで、星子、ハッとなった。だって、宙太はほとんどギリシャ彫刻のアポロン像の状態、つまり、限りなく裸に近い姿。そして、星子はというと、同じギリシャ彫刻のビーナス像に近い姿。つまり、二人ともほぼフルヌード状態だ。
こういう状態だってことは、まさか、まっさか、ド、ドッキング状態なんじゃ!
ヒ、ヒ、ヒェーツ!
あらたまて悲鳴を上げながら、確認を……わわわっ……。
よ、よかった、無事でした。抱き合った状態のままでした。
え? ザンネンだって?
そうよね、わたしだって……もう、そろそろ……なんて、いわせるなっ、今はそれどころじゃないのっ。
とにかく、この状況から脱出しなければ。
星子、ベッドから起き上がろうとした。でも、宙太の腕はしっかりとからみついたままだ。
「宙太さん……ね、ちょっと……」
いくらもがいても、ダメだ。
「ね、お願い、離して! 離してったら!」
さらにもがこうとして、星子、ふと、手を止めた。
宙太の様子が、おかしい。そういえば、さっきから一言も口をきいていないし、星子を抱きしめたままで、それ以上のことはしない。まるで、そう、抱っこちゃん人形みたい。
どうしたんだろ、と、宙太の顔を覗き込むと、ん、なんかおかしい。
それでなくても、エッチっぽいタレメ顔が、さらにワンランクアップでれっとしている。目も焦点が定まらなくて、楽しい夢でも見ているように微笑んでいる。そう、以前テレビで見た夢遊病者のような恍惚とした表情だ。
「宙太さん、ね、どうしたの? 宙太さんったら?」
星子、宙太の頬をつまんで呼びかけた。でも、相変わらず宙太はでれっとした顔で、にたにた、へらへらと笑っている。
駄目だぁ、これは。きっと、『星子』にとりつかれて、催眠状態に入ってしまったに違いない。あとは、催眠状態から自然と目が覚めるのを待つだけだ。でも、目が覚めたら覚めたで、照れくさいというか、恥ずかしいというか、まともに宙太と顔を合わせたくない。
いられない、ここには。宙太が目覚める前に、早く帰ろう。
もし、あとで宙太から連絡があっても、「夢見てたんでしょ」って、とぼけるしかないよね。
星子、大急ぎで身支度すると、逃げるように飛び出した。
『星子』のほうは、なんとか、わたしの中に押し込めたようだし、もう二度と悩まされることもない。っていうか、そうなって欲しい。
わたし、清らかに美しく、本当の恋を求めて旅人生を送りたいんだから。
ハイ。
なんて、カッコつけちゃって。でも、ほんとに大丈夫かな。いんらん女『星子』、いつまた、わたしの体から抜け出て、男達にとりつくかもね。
それはそれで、面白いかもよ。
クスッと肩をすぼめた星子の目に、湾岸の美しい夜景がいっぱいに広がった。
(おわり)
追記 今回で一応エンドです。でも、いんらん大好きの誰かさんだし、いつまた、あらわれて大暴れするかもね。乞う、ご期待を! なんてね。もうじき、ワールドカップがはじまる。星子や宙太たちとしっかり応援します!
次回は、ミニスカデカか、銀河巡礼か、どちらかをやってみるつもりです。事情がありまして、時間がかかるかもしれません。ご容赦を!
いよいよ、熱い夏本番、くれぐれもご自愛下さい。
星子シリーズは、永遠に不滅です!
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2010年06月29日
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