|
1―7
スクリーンに、当時の新聞記事。『幸徳秋水、大逆事件』。号外売りが、走っていく。
T「明治四十四年・大逆事件」
号外売り「号外! 号外! 天皇陛下のお命を狙った連中が捕まったよ!」
伍三郎と星子、宙太。
宙太「大逆事件、幸徳秋水ね。たしか、平民新聞とかで、平和とか自由民権を主張したとか……」
伍三郎「うむ、爆弾テロに関係したとして、仲間と一緒に死刑になったんだ。今では、大逆事件はでっち上げだ、という説が強いが、当時の人たちはお上のいうことを信じて従うことしか出来なかった。いや、そういう国民をつくるためにこの事件が利用されたのかもな……」
暗闇の中に、寒風が吹きすさぶ音。悲鳴や絶叫が、途切れ途切れに聞こえてくる。
黒い葬列の合唱隊。労働歌っぽい歌をハミングをしながら通る。
宙太「……怖い時代だね……」
伍三郎「いや、その先に待っていたのは、もっともっと恐ろしい時代さ。皆何となく感じ始めていたが、口にするのもはばかれるってヤツさ……」
星子「それで、伍三郎さんはどうなったの?」
伍三郎「どうもこうも、情けない話さ。世直しを唱える主義者の仲間だろう、平民新聞の連中の仲間だろうって、手ひどい扱いを受けてな、頑丈な俺もさすがにまいったぜ」
星子「……」
伍三郎「でも、結局はチンピラの雑魚扱い。しばらく監獄にぶちこまれたあと、娑婆に放り出されてさ」
宙太「世直し大英雄も、カタなしっていうわけか」
星子「宙太サンったら! で、そのあと、どうしたわけ?」
伍三郎「カミサマはまだ俺を見離していなかったんだな、運よく知り合いが声をかけてくれて、浅草オペラにデビュゥだ」
宙太「ほんと!」
星子「ということは、そこで、夢乃さんに会ったってわけね」
伍三郎「(頷く)」
合唱隊、登場。続きを歌う。
合唱「〽あたたかい光のもとで あなたに逢いたい
花の嵐にまかれて あなたと歌いたい
歌はわたしのこころ 歌はあなたのこころ
愛を奏でる 夢をはぐくむ 未来がひろがる……」
(第二幕へつづく)
追記 「あきらめ唄は歌わない」第一幕が終わったところで、連載を止めます。この続きはスタジオで! なんてね。
9月には、「かげろう刑事」を登場させる予定です。よろしく!
本日、ファン会誌JOKERを送って頂きました。相変わらず、星子レギュラーの元気なこと。みなさん、ちょいとセクシー。まいった!
|