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宙太、まだ、信じられないといった顔で星子を見つめた。
「じゃ、君には、別の時空での暮らしがあったわけか……その時空に帰れば、また、その人たちに会えるんだな?」
「ええ」
「会いたいかい?」
「もちろんよっ」
そういっただけで、涙が目にあふれてくる。
会いたい! みんなに、会いたい!
「そういえば、キミ、オレにあった時、宙太さんってオレの名前を呼んたっけな。初対面なのに、よく名前を知っているなって思ったけど、ほんとは……君の住んでいた時空には、オレとそっくりの宙太って男がいるんじゃないのかい?」
「ええ、そうよ……」
「やっぱりか! で、どういうカンケイ? 友達? それとも、恋人? あ、きっと、恋人だよな、オレと君、相性がすごくいいしさ。な、そうだろ?」
宙太、ニカッと笑った。
「だったら、いまさら、もとの世界なんかへ帰ることないじゃん。宙太クンならここにいるぜ。こっちの宙太クンのほうが、もっと、愛情が強くて深いかもな! うん、間違いない!」
「……」
「さ、その切符をカレに返せよ、な、星子さん!」
「……」
星子、首を横に振った。
「星子さんっ」
「ごめんなさい、あなたは、宙太さんじゃない。そっくりだけど、やっぱり、違うの。ほんとの宙太さんは、ここにはいないのよ……ここには……」
「星子さん……」
宙太、顔を曇らせた。
ほんとに、ごめんなさい。あなたは、宙太さんよ。きっと、本物の宙太さんだ。でも、わたしには、過去の世界、時空の違う世界にいる宙太さんが、どうしても、本物に思えてしまう。
どうしてもね……。
「さ、いこう、星子さん。もうじき、発車するよ!」
涼、星子を促した。
「……さよなら、宙太さん……」
まともに宙太の顔を見れずに歩き出した星子の背後から、
「星子さん……いっちゃうのかぁ?」
宙太の未練ありそうな声が、追ってくる。
「そうか、いっちゃうのか……ま、しゃあないか、男と女、出会いがあり、別れがある……これ、浮世のならい、だもんな。うん、アリガトーッ! ステキでたのしい出会いをありがとうさ―ん!」
宙太の声、最後の方は泣いているように聞こえる。だから、振り返りたくなかった。ううん、振り返れなかった……。
列車の最後部、車掌専用のドアが近づいてくる。そのドアは手動式で、そのドアだけが開いていて、デッキがついていた。
星子、涼のあとからデッキの手すりを掴もうとした。
と、列車を包み込んだ光彩を割って、人影があらわれた。
誰だろう。まぶしそうに見つめた星子、ハッとなった。
茜、だった。
(つづく)
追記 ひどい嵐でしたね。被害はなかったですか? やっと雨も収まってきたようだし、明日はステキな休日になりそうですね。でも、ブログ連載のほおうがむうじき終わりそうだし、僕には、ちょっと寂しい休日になりそうです。
ところで、いつの間にか、ハローウインも終わってしまい、キリ番や前後賞の短編どうなった、って、叱られそう。もうしばらく待ってください。すいません。
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