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「そう、ジプシーっていうんだ、カレ。見かけよりもマッチョでさ、このリボルバーもカレが貸してくれたんだ。さすが、陰陽師の家系だけあって、妖怪や幽鬼どもに効めがあるぜ!」
宙太、リボルバーの銃口をふっと吹いてみせた。
なんと、このジプシーという少年、陰陽師の家系とは。
星子、もう、びっくりもいいとこ。
マサルも、感心したようにジプシーを見つめた。
春之助のほうは、もっと、強い反応が……もう、うっとり顔だ。あとが、コワイ。
「ついでにいうと、このデスマドンナも、陰陽師の末裔だそうだ」
「えっ」
「ジプシー君の話だと、かって、島原の乱で非業の死をとげたバテレン達の怨霊を集めて、天下大乱を企てた邪悪な陰陽師がいたそうだ。名前は、暗闇法師……」
「暗闇法師?」
「うん、そして、その末裔のデスマドンナが、世相乱れに乱れる今、一族の野望をかなえようと、日本全国の怨霊達を集めて、天下取りの勝負に出た! とまぁ、こういうことさ」
「!……」
星子、唖然呆然もいいとこ。だって、何度もいうけど、陰陽師とか怨霊とか、ほとんど、縁のない世界だったからね。
でも、ほーりゅうには、よくわかっていたらしい。
「ありがと、ジプシー。そこまで、調べてくれてたのね」
ほーりゅうがいうと、ジプシー、ちょっと、無愛想な顔でいった。
「やる気はなかったんだ。でも、こいつが僕をせつくんでね」
そういいながら、ジプシー、手にしたロザリオを見せた。ほーりゅうの持っているロザリオとそっくりだ。あとでわかったけど、なんでも、こちらはレプリカらしい。
「おのれ!」
ふいに、デスマドンナが声を荒げた。顔面は怒りで夜叉のようになり、全身から青白い焔が燃え上がった。
「よくも、邪魔をしてくれたな。皆殺しにしてくれるわ!」
デスマドンナ、サッと悪魔のロザリオを向けた。
でも、宙太、一瞬早く、リボルバーの引き金をしぼった。
ものすごい早撃ちだ。
バシッ!
悪魔のロザリオ、粉々に吹っ飛び、怨霊達の青白い閃光の渦は、恐ろしい咆哮を上げながら、ちりじりになって消え去った。
すかさず、ほーりゅうとジプシー、ロザリオをデスマドンナに向けた。
「消えうせろ、暗闇法師!」
「闇の冥界へ立ち去るんだ!」
二人のロザリオから放たれた金色の光りが、デスマドンナを包み込んだ。
「ギャーッ」
デスマドンナ、すさまじい悲鳴をあげると、その体は醜い一羽のカラスとなって、夕暮れの空へ舞い上がり、たちまち、見えなくなった。
○
……やったぁ……。
星子、体じゅうから力が抜けたような気分だ。あまりにも現実離れの出来事が続いたせいか、とても、歓声をあげるような気分にはなれない。
「ありがと、美空警部」
ほーりゅう、宙太に頭を下げた。
「いいんだよ、こっちこそ、君らの超能力のお陰で、ピンチを未然に防ぐことが出来たんだ。礼をいうぜ。な、マサル君よ」
「そういうこと。これからも、何かあったら、知らせてくれ」
「わかりました」
ジプシー、こっくんとうなづいた。
その姿に、春之助、さらにうっとり顔だ。
「じゃ、あたしたち、これで……星子さん、どこかで、また会えるといいね」
「うん!」
星子、ほーりゅう、しっかりと見つめ合った。短い間だったけど、ほーりゅうとの出会いは、永遠に忘れられない想い出になるだろう。
次の瞬間、ほーりゅうとジプシー、パッと金色の光に包まれた。そして、その光りの中から、二匹の猫があらわれ、たちまち、闇の中へ走り去っていく。
「あっ、待ってぇ、ジプシー!」
春之助、あわてて、あとを追った。
「ちょっと、春ちゃん……んもぅ!」
いい男を見ると、すぐ、あれなんだから。
肩をすくめる星子に、マサル、
「じゃ、俺、これで……」
「マサルさん……」
「警部、お先にな」
マサル、星子への未練を見せまいと、ひらり、体を翻して、立ち去った。
「きめやがって、あいつ」
宙太、軽い敬礼でマサルを見送った。
「……」
急に静けさが戻って、寂しいくらいだ。上ったばかりのお月様が、明るくあたりを照らしてくれる。
星子がボーッとしていると、宙太が、
「大丈夫かい、ハニィ?」
と、やさしく、肩を抱いた。
ダメ。介抱してェ。
なんて、こというわけないだろうが。
「うるさいっ」
宙太の手をパシッと払いのけて、
「さんざん、人を心配させて、どういうつもりよ!」
「ん、心配してくれてたんだ」
「当たり前じゃん。こんな手紙、春ちゃんにことづけたりして!」
星子、宙太の手紙を突きつけた。
「ワリイ。でも、これで、ボクチャンのこと、見直したろ。いざとなれば、オトコ宙太、大儀に生き大儀に死ぬ! それも、結局は、愛する星子さん、君のためなんだぜ!」
「ふん、調子いいんだから」
「とにかく、今度のことで、お互い、よく、わかったよな」
「なにがよ?」
「愛し合う者同士、いつどこで、命を賭けた戦いがあるか分からない。そのためにも、今のうちに、しっかりと……」
「しっかりと、なに?」
「別れのキッスを……」
宙太、ぐいっと顔を近づけてきた。月光を浴びた顔が、とっても、ステキ。
「……」
どうしようか、わたし、どうしたら……どうしたら……。
教えて、オツキサマ。
( おわり )
追記 なんとか、かたずけることができました。いろいろ、サデスチョンいただいてあ りがとうございます。僕も、楽しい時間を過ごさせてもらいました。それにして も、コラボは難しい! ゆうさん、ファンの皆さん、あらためて、おわびしま す! でも、もし、よかったら、また、いつか、一緒にアソボウネ! と、星子 と宙太が申しておりました。
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