星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

別れのキッスはハート色

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 ビューイン!
 東北新幹線「はやて」の車窓を、秋の色に染まり始めた北国の山々の景色が飛んでいく。
 もぅ、サイコー! セイコ、しあわせーっ! 
って、叫びたいところだけど、今回ばかりはそんな気分じゃない。
隣りの座席には、ほーりゅうが体をうずめている。顔色もさえないし、まだ、具合が悪そうだ。
でも、油断はならない。この子、超能力を使うし、いつまた、襲ってくるか、わからない。春之助も、向かい側の席にすわり、警戒の目で見ている。あ、ゴンベエもっていいたいけど、リュックの中で高いびきだ。ほんと、頼りにならないヤツ。
え? そんなことより、なんで、新幹線に乗っているのかって?
おっと、そうでした、肝心のことをいってなかったよね。
じつは、東京駅でほーりゅうが急におかしくなって、春之助は「こんなヤツ、ほっておこうよ」っていったけど、星子、そうもいかなくって。たとえ、不愉快な相手でも、こういう時、見捨てるわけにはいかない。ま、ようするに、損な性格なんだよね。
でもって、介抱してやろうとしたら、ほーりゅう、星子の手を払いのけ、もうじき、発車する東北新幹線「はやて」に乗ろうと……足元がよろけて、とても、それどころじゃないのに。
「は、はなして……宙太さんが……」
「宙太さんがどうしたのっ?」
「……」
 ほーりゅう、あとはいわずに、必死になって乗ろうとしているのよね。
もしかして、宙太のあとを追うつもりかも……そうよ、きっと、そう。だったら、ますます、ほっておけない。
というわけで、星子と春之助、ほーりゅうを抱きかかえるようにして、「はやて」に乗り込んだわけ。ほーりゅうはっていうと、座席に座って間もなく、ぐったりと寝込んでしまった。
病気じゃないけど、何か、体にダメージを受けているようだ。
それにしても、ほーりゅう、どこへいくつもりなんだろう。聞いたところで答えそうもないし……と思っていたら、春之助、さりげなく、ほーりゅうのポケットからチケットを抜き取って調べた。
春ちゃんって、すごく、手先が器用なんだ。もしかして……おっと、そんなことはどうでもいい。それより、行き先だけど、なんと「下北」だ。
下北といえば、たしか、霊山・恐山で有名な下北半島にある最果ての駅じゃないですか。
「春ちゃんのトランプ占いじゃ、宙太さん、北海道へいったのよね」
 星子に聞かれて、春之助、
「ええ、そうだけど……」
 と、ちょっと自信なさそうに答えた。
 じゃ、宙太さんとはカンケイないのかな。ううん、ほーりゅうって子が宙太さんを追いかけているのは間違いない。
 宙太さんは、きっと、下北にいるんだ。
 だけど、なぜ、宙太さんは、ほーりゅうって子のために、命を賭けているんだろう。ほーりゅうも、必死に宙太さんのもとへいこうとしている。
 なぜ?
 二人の間には、一体、なにがあるのよ?
 今までの宙太、いつも、星子につきまとい、星子のことばかり、気にかけてくれていた。星子も、そんな状況になれて、宙太を自分の忠実な騎士のように思いこみ、甘えていた。
 ところが、その宙太が他の女の子のために、命を……なぜよ?
 なぜなの!
 星子のほーりゅうを見る目には、嫉妬の火がちらちら……。
……こんな気分になるなんて……わたしが探し求めている人は宙太さんみたいな男じゃないのに……もっと、ステキな人なのに!
もぅ、自己嫌悪!
そう思った時、ほーりゅうが星子をみつめながら、ぽつりといった。
「……あなた、宙太さんを愛しているのね……」
「え? そ、そんな、まさかぁ……」
 あわてて、首を振る星子に、
「ごまかしても、あたしには、あなたの本当の心がはっきりと見えるわ。それに、あなた、東京駅であたしにいったじゃない、宙太さんは大事な人だ、もしものことがあったらただじゃおかないって……」
「いったっけ、そんなこと……」
 覚えていない。でも、春之助の顔を見ると、たしかにいったみたいだ。
 まいったな、もう。
 肩をすくめた星子に、ほーりゅう、
「大丈夫よ、星子さん。あたしと宙太さん、あなたの考えているような仲じゃないから」
「え?」
 星子、キョトンとなった。
「でも、宙太さん、あなたのために命を賭けたわけでしょ?」
「それは、恋や愛とは関係ないわ」
「じゃ、なんのためなの?」
「あたしの超能力を、悪魔のロザリオから守るためよ」
「あなたの超能力を?」
「そうよ、もし、宙太さんが負けたら……恐ろしいことが起きるわ」
「えっ」
「大勢の人が死に、街は火に焼かれる……この世は地獄に……」
「!……」
 星子、愕然とほーりゅうを見つめた。
 

                    (つづく)

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               3

 ――ほーりゅう?……。
 なんとも、めずらしい名前じゃないの。
 一瞬、リスのような目をパチクリさせた星子に、
「あたしの苗字。宝の龍って書くの。名前は紫織……」
 そういいながら、ほーりゅう、星子を見据えた。まるで、水晶のような透明で深い瞳だ。じっと見つめられると、吸い込まれそうになる。
 その瞳に負けまいと、星子、ほーりゅうを睨みつけた。
「わたしは流星子、流星の子って書くんだ」
 ほーりゅうの目に、冷ややかな笑みが浮かんだ。
「なにが、おかしいわけ?」
「流れ星のように消えていく、あなたの恋も……」
「なんですって!」
「あたしには、見えるのよ、あなたの運命が。むくわれない恋に苦しむ、あなたの姿が……」
「ちょっとォ!」
「ふざけやがって、こいつ! よくも、星子ちゃんを!……ブッコロス!」
 春之助、男言葉でいきり立つと、ほーりゅうに飛びかかった。
 そのとたん、ほーりゅうの手がサッと突き出された。
「わっ」
一瞬、春之助の体はドーンと突き飛ばされたようにひっくり返った。脳震盪でも起こしたのか、春之助、起き上がれない。
「!……」
 なんてこと。ほーりゅうには、とんでもない超能力があるんだ。
 茫然とすくんだ星子に、ほーりゅう、いった。
「とにかく、宙太さんのあとは追わないこと。さもないと、大怪我をするわよ」
「ちょ、ちょっと! あなた、宙太さんのこと……」
 星子、気持ちを落ち着かせようと、大きく息を吸った。
「宙太さんを、知ってるわけ?」
「ええ、もちろん」
 ほーりゅう、静かに答えた。
「宙太さんはね、あたしのために北海道へ向かったのよ」
「えっ、あなたのために?……」
「そうよ、あたしの命を救うために……命を賭けて、悪魔のロザリオを……」
「悪魔の……ロザリオ?……」
 星子、唖然となった。
「なんのこと? くわしく話してよ!」
「関係ないわ、あなたには……」
「そうはいわせないわ! あなた、今、宙太さんが命を賭けているっていったでしょ! 宙太さんは、わたしにとって大事な人よ。宙太さんにもしものことがあったら、わたし、ただじゃおかないから! ちょっと、聞いているの!」
 星子、それこそ、噛みつかんばかりに詰め寄った。
 その瞬間、だった。
 ほーりゅう、急にうめき声をあげると、胸を押さえてうずくまった。
「!……」


(つづく)





追伸  ほーりゅうファンの皆様へ。イメージを壊してごめんなさい。「ゆう」さんからお許しが出たので、僕なりに話を進めていくつもりです。よろしく!
)
 

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            2

 手紙? 宙太さんから?
 星子、一瞬、ポカンと……だって、あの口から先に生まれたようなオシャベリ男が、お手紙だなんて、柄じゃないとはこのことだよね。
 ま、読んでやりますか。
 ナニナニ?
「わがいとしのハニィ、最愛の人、この世に二つとないダイヤモンドの姫君! マイハート、星子さんへ!」
 ったくぅ、毎度ながら、よくもまぁ、こんなに歯の浮くような言葉を並べたりして。早く、用件をいえよっ。
「君を守り、幸せにすることは、僕の使命だと……」
 勝手にそう思いこんでいるだけだろうが。
「でも、わけあって、その使命を果たすことが出来なくなってしまった。ああ、悲しや、悲しのボクチャンです」
 ん? 
「まさか、こんなふうに君との別れがくるなんて、思ってもいませんでした。別れは人生につきものとはいえ、最愛の人との別れは、死ねというのに等しいことです。そうです、君のためなら、命さえ惜しくないボクチャンなのに、その君と別れて旅立たなくてはいけないとは。運命のカミサマをいくら恨んでも恨みきれません。でも、僕はいかなくてはならない。男宙太、どうしても、行かなくてはならないのだ。さよなら、星子さん。君の面影を胸にしっかりと焼きつけて、僕は旅立ちます。さよなら。さよなら、星子さん」
「……」
 星子、手紙を手にしたまま、茫然と立っていた。
 あの宙太が、こんな手紙一本残して、自分のもとから去っていくとは、とても、信じられない。現実感がないわけ。
 そうか、私の気を引こうと、お芝居しているんだ。んもぅ、見え見えだよ。まるで、だだっこのオコチャマみたい。だから、ま、カワイイんだけどね。
 星子がクスッと笑ったとたん、
「笑っている場合じゃないわよ、星子ちゃん!」
 春之助、いきなり、星子の背中をどやしつけた。
「宙太さんは、本気よ。本当に、星子ちゃんのもとから去っていくつもりよ。
あたしのトランプ占いでもハッキリとでているのよっ」
 いつの間にか春之助の手にトランプが、ザーッと、宙に舞ったと思うと、ジョーカーがヒラリと星子の足元に落ちた。
「何度占っても、このジョーカーがあらわれるの。きっと、こいつが宙太さんをそそのかして、地獄へ送り込もうとしているのよ」
「そんなぁ、ただのトランプじゃん」
「とんでもない! 現実にいるのよ!」
「どこに? どんなヤツ?」
「まだ、わからないわ。でも、いることはたしかよ! そいつのお陰で、宙太さんは死ぬかも……もう、二度と宙太さんには会えなくなるかもよ……」
 そういっているうちに、春之助の目から涙がポロポロとこぼれてきた。
「宙太さんがいなくなったら、あたし……あたし、生きていけない……死んじゃう……死ぬわ、あたし……」
 春之助、星子にワァーッと泣きすがった。
「ちょ、ちょっと、春ちゃん」
 星子、春之助の濃い香水に辟易しながらいった。
「いいわ、とにかく、宙太さんをさがそうよ。そして、どういうことか、くわしく聞いてみようじゃん。わたしも、気になるしさ、ね、春ちゃん?」
「ええ、いいわ、そうしましょ!」
 春之助、涙をぬぐってうなずいた。
「で、宙太さんの行き先はわかるの?」
「それがね、多分、北海道かも……」
「ほんと?」
「あたしのトランプ占いを信用しないの、星子ちゃんっ!」
 春之助の目、ヒステリックに吊り上がった。
 こわっ。下手に逆らわないほうがいい。
「わかった、信じる、信じるから。さ、早くいこ!」
「ええ!」
 北海道となると、京都とは反対方向だ。星子、春之助をうながして、東北新幹線のホームへ歩きかけた、そのとたん・
 シュパッ!
 いきなり、近くの自販機の蓋が開いたかと思うと、セットされていたペットポトルが次々と速射砲のように飛び出して、星子めがけて飛んできた。
「あぶない!」
 春之助、星子をかばいながら、横っ飛びにかわした。
 だが、ペットポトルはまるでミサイルのように襲いかかってくる。
 すかさず、春之助、トランプを手裏剣のように飛ばして、ペットポトルを次々と叩き落した。
 ふむ、春ちゃん、いつの間にか、宙太さんの得意技を身につけていたわけね。
 それにしても、なぜ、こんなことが……。
「誰かが、テレパシーを使ったみたいよ」
 春之助、緊張した顔でいった。
「テレパシーを?……」
ということは、超能力者のしわざ……なんか、薄気味悪い……星子が思わず身震いした時、ゴンベエ、フーッと唸り声を上げながら、近くの柱の方を睨んだ。
 誰かがいる……それも、凄い殺気を発散しながら……。
 じきに、柱の影から、一人の女の子があらわれた。
 セーラー服を着た女子高校生だ。かなり長身で、雛人形のような美少女だけど、切れ長の澄んだ眼には、険しい敵意のような光りが漂っている。
「あ、あなたなの? あなたがやったのね!」
 美少女、紅い唇に不敵な笑みを浮かべながら、ゆっくりとうなずいた。
「あなた、誰よ!」
 美少女がパッと投げたのは、ジョーカーの札だ。
「ジョーカー!」
「えっ」
 春之助、キッと睨んだ。
「あんたが、ジョーカーかい!」
「カッコつけないで、本当の名前をいいなさいよ!」
 詰め寄った星子を、美少女は冷ややかに見つめながらいった。
「……ほーりゅう……」
 
 
(つづく)



 (おことわり)
 ちょっと事情がありまして、明日から二三日留守にします。申し訳ありませんが、作品の続きは、週明けから再開しますので、どうか、ご勘弁下さい。

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(はじめに、口上を申し上げます。前後賞に当たった「ゆう」さんは、ご自分のブログでいくつも小説を発表していらして、かなりの人気です。なんせ、イラストがいい。ブログのアクセスも、僕よりはるかに多いんです。今回は、せっかくの機会ですし、その「ゆう」さんの作品のメインキャラの一人と勝手にコラボレーション、つまり、ゲスト出演して貰いました。キャラのイメージが違うって、「ゆう」さんやファンの人達から叱られそうだけど、そこはそれ、オトナのオアソビだと思って、どうか、ごカンベン下さい。)



    星子シリーズ番外編
「別れのキッスはハート色」

          1 

 おかしい。
 なんか、ヘン。
 だって、三日前から、まったく、音沙汰なし。
 姿は見せないし、メールも、電話も、全然、なしだ。
 え? 誰がって?
 きまってるじゃん、宙太さんよ。
 え? 宙太のこと、気にするなんて、それこそ、おかしい?
 いつも、図々しくつきまとって、調子のいいこといったり、余計なおせっかいやいたり、とにかく、星子のいい恋さがしの旅を邪魔してばかりいる。
 いいかげん、アタマにきていたんじゃないの、え、星子さん?
 そうよ、だから、かえって、急に姿を消されて気になるってわけ。
 な、ゴンベエ、あんたもそうでしょ?
「おい、こら、ゴンベエ、聞こえんのかい!」
 ハイハイ、ダンナサマ。リュックの中でハンバーガーを平らげていたゴンベエ、うるさいね、まったく、と、顔をしかめながらうなずいた。
 ま、いいか、どうでも。
 いい恋さがしの旅のおともは、恋のカミサマ、ミューズさまだけでたくさんだ。宙太のことなんか、知ったことじゃない。
 さ、いこいこ、タイム イズ ラブですよ。
 星子、リュックを背負い直すと、東京駅のコンコースを歩き出した。
 今回の旅の目的地は、京都。
 恋の都、京都をもう一度、旅してみようと……何事も、初心に帰れっていうじゃないですか。今度こそ、ホントの恋が見つかるかもね。
 でもって、いざ、新幹線ホームのエスカレーターを上がろうとした時だ。
「星子ちゃーん! 待ってーっ」
 と、背後から金切り声が……。
ん? あの声は、もしかして、春ちゃん?
振り向くと、やっぱり、春之助だった。
ハァハァと息を切らし、巨乳?を、大きくゆすっている。
「どうしたの、春ちゃん?」
「どうもこうも、宙太さんの手紙よっ」
「手紙? 宙太さんから?」
「そうよ、あたし、ことづかってきたの、星子ちゃんに渡してくれって」
「え?」
 星子、けげんそうに、春之助が握った手紙を見つめた。



                   (つづく)

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