星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

ハートレターは悪魔の切手で

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                2

 ああ、なんというシアワセ。大好きなイチゴフラッペを、ずらっとテーブルに並べられたような、気分だよね。
 このわたしが、ラブレターを貰うなんて。
 ケータイのメールとか、電話とかの恋の告白と違って、ラブレターっていうと、どことなく、小説の世界っていうか、こっちも文学少女っぽいイメージになれるじゃん。
 え? なれるわけない?
 てめぇ、ブッコロス!
 なんていうわけないざぁましょ。
 それにしても、このラブレターをくれた天川光って人、どういう男の子なんだろ。今のところ、思い当たるヒトがいない。もちろん、わたしに恋するからには、わたしにふさわしい貴公子、あ、もちろん、リッチでイケメンでアタマが良くて。そういう超ステキな男の子に決まってると思うけど。
 うふっ。
 とにかく、ラブレターの続きを読んで見ますか。
「恋というのは、不思議な力が、そう、まるで、万能の神のような力を持っている。暗闇の中で、生きる力も意志も失っていた僕に、命の息吹きを与えてくれたんだから。
君のお陰で、僕は自分を賭けてみようという気持ちになった」
 賭ける? 何に賭けるのかいな。
「じつは、僕は、重い病気にかかっていて、手術を受けないと、助からないんだ。でも、その手術の成功率はわずかなものらしい」
「!……」
 星子の手紙を持つ手が、こわばった。
 ロマンチックなラブレターを想像していたのに、中身はかなりハードじゃないですか。
「僕は、恐怖と絶望で、半ば、自暴自棄になった。暗闇の中で、身じろぎも出来ず、どうせ、手術をしても無駄だと思い、立ちすくんでいるしかなかった。
 そんな僕に、希望の光を与えてくれたのが、あなただった。あなたが、僕に勇気と力を与えてくれたんだ。
 ありがとう、星子さん。本当に、有難う。
 その君に、こんなことをお願いしてはいけないと思いつつ、こうして、手紙を書きました。手術の前に、もう一度、君に会いたい。一目だけでもいいから、会いたいんです」
「!……」

                        (つづく)

   ハートレターは悪魔の切手で

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「ド。ド、ドヒャーッ!」
 星子、すっとんきょうな声をあげながら、目をまん丸に開けた。
「こ、これって、ラブレターじゃん! ね、そうだよね、ゴンベエ!」
 ゴンベエ、鼻先にグイッと手紙を突きつけられたけど、わかるわけないだろ、てな顔で大あくび。
 ま、当たり前だよね。猫の世界に、手紙とかは存在しないんだから。でも、お義理でもいいから、うなずけっていうの。このムダ飯食いが。
 それはともかく、星子が手にしているのは、まぎれもなく、ラブレター、恋文であった。
 ことのはじまりは、土曜の昼下がり。
ほんとは赤点貰った数学のオベンキョウをしなくちゃいけないんだけど、心はいつしか旅の空、今度はどちらへいいオトコさがしの旅にでかけますか。
 時刻表をめくりつつ、あれこれ考えているところへ、郵便屋サンのバイクの音。
「ゴンベエ、とってきて。ハンバーガー、食べたくないのかな。あ、そう」
 なんて脅迫めいたこといわれて、ゴンベエも仕方なくメールボックスへ。くわえてきた手紙の中に、一通の封書があった。
 宛名は、『流星子様』。つまり、星子宛だ。丁寧な文字で書かれている。
「はて、誰からだろ」
 と、差出人の名前を見ると、住所とか郵便番号はなく、名前だけが、
『天川 光』
 アマノガワ ヒカル、さんと読むのかな。
 聞いたことのない名前だ。
 しかも、住所も、書いていないなんて、アヤシイ。気持ち悪い。
 最近、ヘンなヤツが多いからね、ほんと。
 で、そのまま、屑篭に捨てようとしたけど、
待ってよ。天川光という名前、なんか、わざとらしい。わたしの名前にひっかけた感じもする。そうよ、きっと。
こういうキザな小細工をするヤツといえば、
はい、いましたよ、そうです、美空宙太サンです。
じつは、宙太さんからケータイにしつこくデートの誘いがあるんだ。ここんとこ、期末テストや学校の行事でわたし、一人旅に出られないでしょ。だから、宙太さん、わたしに会うチャンスが無いってわけ。
こっちは、そのほうが助かる。だって、カレ、キャラが濃過ぎるし、うるさい。もう、ほっといてくれって感じ。だから、デートの誘い、すべて、カット。
え? ほんとは、さびしいんじゃないの、って? 
う、うるさいっ。
とにかくよ、この手紙、宙太さんがケータイの代わりに、偽名を使って送ってきた可能性が。多分、そうかもね。
星子、そう確信して封筒を開けた。
中には、便箋の手紙が何枚か。間には、押し花が挟まれている。
ふーん、押し花とは、宙太さん、あれで案外ロマンチストなんだ。ま、せっかくだし、読んであげますか。
星子、手紙を読み始めた。
「暗闇の中で、突然、炎が立ち昇ったら、まばゆい光が闇を切り裂いたとしたら、こんな衝撃的なことはないでしょう。あの時の僕がそうでした。どうしようもない絶望の闇の中で立ちすくんでいた僕。その僕の心の中で、突然、炎が光明となってきらめいたのです。その光明を与えてくれたのが、星子さん、あなただったんです。」
「ド、ド、ドヒャーッ」
 星子、オメメをまん丸くした。
 これって、ラブレターじゃないですか。
 宙太さんからの、ラブレターなんだ。
 暗闇だ、炎だ、光明だ、なんて、オーバーなフレーズを並べちゃって。宙太さんたら、もう。
 だけど、あのC調オトコが、こんなマジメな切り出しの文章を書くなんて。ケータイのメールとは、まるで、違う。もっと、おふざけの、冗談ぽい、カルいタッチなのにね。そういえば、筆跡も宙太さんの字とは違うような……押し花だって、宙太さんの柄じゃないよね。
 星子、ちょっと首をかしげながら、続きを読み始めた。
 じきに、星子の顔がこわばってきた。
 ち、違う。この手紙は宙太さんが書いたものじゃない。
 別の人だ。別の人が、星子に書いたラブレターなんだ。


                               (つづく)




追記   ということで、キリ番の番外短編、一応、開始です。この先、どういう展開になりますやら。オタノシミに。

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