星子&宙太yyy

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装甲戦士・星子

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装甲戦士・星子1

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「よう、星子さんっ」
 ケータイの画面に、ちょっとバツの悪そうな笑顔が浮かんだ。
「小次郎クン!」
 そう、テレビ電話をかけてきた相手は、小次郎だった。少年っぽさが残った美形顔だ。といっても、画面は乱れがちで、時々、ハレーションまで起こしてしまう。
ここは、トウキョウのど真ん中・銀座。電波の受信状態はいいはずなのにね。
「なによ、小次郎クン、連絡待ってたのに。ずっとよっ」
 星子、唇をとがらせながら、小次郎の顔を見つめた。
 もう、半月前になる。久しぶりにみんなで集まってわいわいやらないか、ということになったけど、小次郎だけはどうしても連絡がつかなかった。
「留守電、聞かなかったの?」
「ワリイワリイ、ちょっとケータイがおかしくなっちゃってさ」
「でも、半月も連絡くれないなんて、どういうわけ!」
 ほんと、いつもなら、うるさいくらい電話やメールをくれたくせに。時には授業中にまでかけてきて、先生に睨まれることもあった。
「ほんとに、ごめん。お詫びはキスでどうかな? おっと、これって、宙太兄ぃのセリフだよね」
 小次郎、いたずらっぽく笑った。
「んもぅ! で、どうなの、みんなで集まるの明日なんだけど、もちろん、きてくれるわよね?」
「うん、でもさ、せっかくだけど……」
「え?」
「無理なんだ、帰るのがさ……」
「無理って、今、遠くにいるわけ? どこ?」
「うん、ちょっとね……」
「じゃ、都合つく? 宙太さん達に頼んでみるから」
「あ、いや、ほんと、無理だから。これから先ずっと……っていうか、もう、会えないんだ、二度と……」
 小次郎の顔が、ふいにくしゃくしゃになった。
「会えない? 二度と?」
 星子、けげんそうに見た。
「なに、バカいってるの。そんなわけないじゃん、わたし達。仲間なんだから。そうでしょ?」
「星子さん……」
 小次郎、顔を伏せた。まるで、涙を見せないように
 何か、よほどの理由がありそうだ。
「とにかく、わけをいって。ね、小次郎さん、お願いよ」
「……」
 小次郎、再び笑顔を浮かべて星子を見た。
「とにかく、うれしいよ、オレ、星子さんの笑顔を見れて。見おさめってわけかな」
「え?」
「メール送っといたから、あとで見て。じゃね、星子さん……オレ、ほんとは君を……おっと、そこまで」
 小次郎、唇に指を当てると、ぎこちなく笑顔を作った。その直後、電話は切れて、小次郎の顔も画面から消えた。
「……」
 なんだか、様子がおかしい。只事じゃないって感じだ。
 星子、大急ぎでメールボックスを開けて、小次郎からのメールを読んだ。
『星子さん。これは、僕の最初にして最後となる、君へのラブレターだ。』
「!……」
 いきなり、ショッキングな出だしのメールだ。
『もちろん、愛を告白しても、片想いで終わることはよくわかっているさ。君が探し求めている恋人は、僕とは違う。他にいる。今にきっと、その人と出会う時がくるだろう。だから、君への想いは、ずっと僕の胸に閉じ込めておくつもりだった。でも、僕の命の灯があとわずかだと思うと、想いをせめて遺書代わりのこのメールにしたためておきたかった。』
「……遺書?……」
『星子さん、じつは、今から三時間後、僕は義勇軍のバトル・マシンに乗って出撃する。相手は無敵艦隊だ。ほぼ百パーセント帰還出来ない、特攻作戦ってヤツさ。』
「!……」
『あ、義勇軍とか、バトル・マシンとか、無敵艦隊とか、アニメの話みたいだけど、そうじゃない、ほんとのことさ。ひょんなことから、ひょんなことになりましてね。ハイ。ま、カッコ良くいえば、男の子の意地ってヤツを見せたかったのかな。それに、ほっておけば、君の住む東京もヤバくなるしさ。』
「?……」
『じゃ、星子さん、これでお別れだ。お幸せに。もう、思い残すこともない。せいぜい、派手に暴れて散って見せるからな。最後に、もう一度だけ、カッコ良くきめさせてくれ。好きだぜ、愛してるよ、星子さん。』 
「!……」
 な、なんなの、このメール。 
からかってるんだ、小次郎クン、きっとそうだ。自分でもいってるように、アニメの世界の話だよね。空想、妄想が大好きなカレだし。
 そう、そういうことだよね。
 星子、なんとか自分を納得させようとした。でも、不安感が苦い塊となって、ぐんぐん突き上げてくる。息が苦しくなるくらい。
<宙太さんに、相談してみますか。笑いだすだろうけどね。>
 星子、肩をすくめながら宙太にケータイをかけ、小次郎からのメールも転送した。
 じきに、宙太から電話がかかってきた。思った通り、宙太はケラケラと笑い飛ばした……と思ったら、大違い。
「ハニィ、小次郎クンのメールに書いてあること、ほんとのことかもな」
 宙太の声、いつになく深刻だった。
「え? そんなぁ」
「ま、いいから、聞いてくれよ。じつはね、NPOの或る組織がひそかに義勇兵を募集しているという情報は、警視庁のほうでも察知しているんだ。僕もその調査を命じられたばかりでさ」
「う、うそっ」
 星子、唖然となった。
「で、なんなの、そのNPOとか義勇軍って?」
「くわしい実態は、まだ掴めていないんだ。でも、おととい、都内の救急病院に収容された男が、自分は義勇軍とやらに参加していたって……」
「!……」
「今さっき、その男に会ってきたんだけど、ひどい怪我で危篤状態なんだ。それに、ほぼ錯乱状態でさ、うわ言で東京は地獄だ、おしまいだとか、皆殺しになるとか……小次郎君のメールにも、書かれているよね、ほっておくと、星子さんの住む東京もヤバくなるって」
「ええ……でも……」
 今、星子の目に映る街の景色は平和そのものだ。青空が広がる銀座の街は、休日ということもあって、大変な賑わいだった。
「たしかに、実感はないよね。でも、小次郎君のこのメールの内容はおふざけじゃないぜ。愛を告白する時に、ウソや冗談をいう男はいないからな。もちろん、この僕も含めてさ」
 ケータイに映る宙太、軽くウインクしてみせた。
 どうしても、キザっぽくなるのよね、こういう時の宙太さんって。宙太さん、現在、わたしに求婚中だけど、今一つ、決心がつかない状態。だって、わたし、恋多き女だもん。
 なんてこと、いってる場合かっ。
「ね、宙太さん、もし、もしもほんとだとしたら……小次郎さん……」
 急に怖くなって、声が続かない。
「うん、たしかにヤバイよね」
 宙太、頷きながらいった。「メールでいってる特攻作戦となると、生きて帰ることをはじめからあきらめてるらしい」
「そ、そんな!」
 星子、ギュッと心臓を掴まれたように喘いだ。あと三時間後に小次郎が死ぬなんて、考えられない。あっては、ならないことだった。
「わ、わたし、小次郎さんに会いにいく! そんなことやめさせるから! ね、どこへいけば会えるの? 教えて、宙太さん! おねがい!」
 星子、半分泣きながら叫んだ。

                           (つづく)


追記 またもや、大脱線、あらたな番外編です。ま、いろいろとチャレンジしてるわけで、ご容赦下さい。今回は、ガラリと趣向を変えて、SFバトルものです。好きだけど、慣れない土俵だし、果たしてどこまで続くやら、とにかく、やってみます。
 なお、今回のシチュエーションでは、時代は現代で、星子はまだ独身ということで。

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