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(その十三) 遠火事
[遠火事や少年の日の向こう傷
(ぼく《乱暴者》の ぼくです
どうしてぼくを乱暴者というのかよくわかりません
体育館の倉庫の中を目茶苦茶にしたときだってみんないっしょだったし
屋上から雪だるまを落したときもみんなで協力しあってやったのでした
でも今日は卒業式ですから 何もいいません
水に流します
掃除当番のときのように
バケツを蹴飛ばして水に流します
階下(した)の職員室に漏ったってしりません
将来ほ遠くに行きます
ロビンソンのように遠い島へ行きます
もともとぼくは五年生のときに
小さな島から転校して釆たのでした
入学したのはこの学校だったから
また転校して帰って来たわけです
あのときはみんなびっくりしていましたね
入学した頃の餓鬼大将が帰って来たからって
また餓鬼大将にされてしまったけれど
ほんにんはとても困りました
だってぼくはそういう素質がないもの
将来はほんとうに遠くへ行きます
船で行きます
先生といっしょになってぼくを乱暴者だという女の子がいないところ
クラス会の通知なんか届かないところです
中学もみんなと別の学校へ行くことになったのでお別れをいいます
さようなら)
夏
夏木立少年の尿(いばり)遠くまで ]
☆
貨物船こと、詩人辻征夫は
本当に面白い
何故 面白いかというと
同時代を生きてきたという
そういう 仲間意識と
「そうだ そうだ そういう
ことが あった・・・」
と、何か 「ほっと」する
そういう 世界を
確かに 言葉に綴っている
そして
遠い 遠い 遠火事のように
その遠い思い出が
蘇って来る
夏
夏木立皆尿(いばり)して笑ったナ (不遜)
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