ある内科医の嘆息

30代内科医-うつろいゆく医療行政の狭間に漂う

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自己革新組織の原則

 組織が継続的に環境に適応していくためには、組織は主体的にその戦略・組織を環境の変化に適合するように変化させなければならない。このようなことができる、すなわち主体的に進化する能力のある組織が自己革新組織である。最近の進化論の有力な考え方の一つは、進化の普遍的な原則をこの自己革新という考え方に求めている。

1.不均衡の創造
 適応力のある組織は、環境を利用して絶えず組織内に変異、緊張、危機感を発生させている。別の言葉で換言するならば、組織は進化するためには、それ自体を絶えず不均衡状態にしておかなければならない。完全な均衡状態にあると言うことは適応の最終状態であって、自己革新組織の死を意味する。逆説的ではあるが適応は適応能力を閉め出すのである。

2.自律性の確保
 自律性を確保しつつ全体としての適応を計るためには、組織はその構成要素の自律性を確保できるように組織の単位を柔構造にしておかなければならない。

3.創造的破壊による突出
 既述のように組織が絶えず内部で揺らぎ続け、揺らぎが内部で増幅され一定のクリティカルラインを超えれば、システムは不安定域を超えて新しい構造へと飛躍する。そのためには漸進的変化だけでは不十分で、時には突然変異のような突発的な変化が必要である。したがって進化は、創造的破壊を伴う「自己超越」現象でもある。つまり自己革新組織は、絶えずシステムの限界を超えたところに到達しようと自己否定を行うのである。進化は創造的なものであって、単なる適応的なものではないのである。自己革新組織は不断に現状の創造的破壊を行い、本質的にシステムをその物理的・精神的限界を超えたところに到達させる原理をうちに含んでいるのである。

4.異端・偶然との共存
 およそ革新という出来事は異質な人、情報、偶然を取り込むところに始まる。官僚制とはあらゆる異端・偶然の要素を徹底的に排除した組織である。その点において自己革新的な組織とは官僚制と本質的に相容れないものである。

5.知識の淘汰と蓄積
 組織は進化するためには新しい情報を知識として組織化しなければならない。つまり進化する組織は学習する組織でなければならない。組織は環境との相互作用を通じて生存に必要な知識を選択淘汰し、それらを蓄積する。

6.統合的価値の共有
 自己革新組織はその構成要素に方向性を与え、その協働を確保するために統合的な価値、あるいはビジョンを持たなければならない。自己革新組織は、組織内の構成要素の自律性を高めるとともに、その構成単位がバラバラになることなく統合力を発揮するために、全体組織がいかなる方向に進むべきかを全員に理解させなければならない。組織構成員の間で基本的な価値が共有され信頼関係が確立されている場合には、見解の差異や葛藤があってもそれらを肯定的に受容し、学習や自己否定を通してより高いレベルでの統合が可能となる。

 旧日本軍が特定のパラダイムに固執し、変化する環境への適応能力を失った点は、現在「革新的」といわれる一部の政党や報道機関にそのまま継承されているようである。全ての事象を特定の信奉するパラダイムのみで一元的に解釈し、そのパラダイムで説明できないような事象はすべて喜捨する頑なさは、まさに適応しすぎて特殊化した旧日本軍を見ているようですらある。さらに日本の官公庁について言えば、縦割りの独立した省庁が割拠し旧日本軍同様に統合機能を欠いている。細かく分断された組織が、権限を分割させて持つと、その組織のみにおける利益の追求を求め始め、そもそも組織全体の目的が何であったか、と言った根元的な目的を失う傾向にある。本来、国民のための官公庁であるべきはずが、ともすれば官公庁のための政策をとりかねないような状況を生み出しつつある。このような日本の政治・行政組織は今後の課題でもある。

 組織がその健全性を保つために、自己革新的な側面を持ち続ける必要があるとするならば、官僚制は本質的に、健全性を保ち得ない組織といえる。人類の歴史において、一つとして永続した官僚組織の存在しないことが、その傍証といえる。
 国家が成熟していくためには、その本質に程度の差こそあれ官僚制を包含していくことが必然である。しかし同時にその官僚制の形成が組織の健全性を損ない、自己革新性を否定しているとするならば、その組織の永続的な発展をその形成初期から否定していることになるのは自己矛盾を包含しているようにも思われる。しかし国家として永続したものが皆無であることが歴史的事実である以上、それは普遍的な真理を含んでいるのだと思われる。

閉じる コメント(7)

自己革新できない組織は、改革させる。それをするのは誰だ?それが分かれば前に進めると思うのですが。論ずるより行動を起こす事が大事です。

2006/11/20(月) 午後 4:56 瑞山

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私は「組織論」というものに興味を持っています。座右の書に「失敗の本質」という本があり、上の文章はその本を自分なりに要約した文章です。行動を起こす、大切ですね。私は既に行動を起こしていますよ(^_-)。

2006/11/20(月) 午後 9:58 seita

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難しいですね。国家の根幹を成す組織が私利私欲に駆られているようでは成熟など程遠い話と思います。

2006/11/20(月) 午後 10:16 [ jun ]

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「組織論」ですか、私は以前流通業界におりまして、流通業界の「組織論」というのを少し勉強しました。その当時はダイエーがダントツの一位でしたが、今は、イオングループですよね。世の中の流れに合う組織がその時期の一番になるわけですよね。常にニーズに合うことを前提にするのか?医療・福祉は患者さんのニーズに合わせて行きたいが、国の意志で方向が変わってしまう。難しいですね。

2006/11/20(月) 午後 10:32 瑞山

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Junさんコメント有り難うございます。そうですね、厚労省も文科省も、なんとなく省益というものを考えているように見えてしまうんですよね…。本当の自分たちの存在意義をさしおいて…。

2006/11/21(火) 午前 9:49 seita

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瑞山さん…流通業界も入れ替わりが激しいようですね。この「組織論」はどういう組織が生き残る組織か、ということを検証するもので、どうすれば生き残られるか、を検証するものではありませんでした。もちろん、後者のように現場に生かせればベストではありますが…。進化の中における生物のように、あるがままを受け入れるより他無いのか、と…。

2006/11/21(火) 午前 9:52 seita

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日頃なんとなく感じていた事を文章で表して頂き、興味をもって
読ませて頂ました。何回も読みなおしすることになりそうです。

2012/7/10(火) 午後 4:35 [ genki ]

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