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日本経済は、長引くデフレ経済に陥って、全く活力のない国になっている。デフレ経済から抜け出すことが政府の最重要課題であるにも拘らず、効果的な政策を打ち出すことが未だ出来ないでいる。デフレ対策はどうすれば効果があるのか、久しぶりに全く違った視点の本を読むことが出来た。
デフレ経済とは、需要に対して供給(生産)が上回っている状態、即ち物余り社会を言うのである。一方インフレ経済とは、この真逆で需要に対して生産が追いつかない状態を言うのである。戦後の日本は、10年前まではずーとインフレ経済で来た。だからデフレ対策が分からないのかもしれない。
今、政府がしなければならないのはデフレ対策であって、インフレ対策ではない。しかし、この本が指摘するように、政府が行っている経済対策は、インフレ対策に効果があるのであって、デフレ対策には逆効果であると指摘している。
デフレ経済の下では、兎にも角にも物があまって、あまってしょうがないわけですから、何とかして売るために、否応がでも価格破壊が起こる。その結果、企業収益が落ち、賃金が下がり、消費能力はさらに低下していく。
デフレを食い止めるには、解決策は二つの方法しかない。
(A)売れないのであれば生産調整をして必要な量だけ作る。(需給バランスの確保)
(B)消費拡大政策をとって、兎に角需要を高める。このどちらかしか解決の方法はない。
(A)を選択した場合はどうなるのか。今言われていることは、需要と供給のギャップは大よそ40兆円と試算されている。仮に40兆円相当の生産を中止するとすれば、おそらく300〜400万人のリストラを余儀なくされることになる。失業率は10%を超えることになり、これこそ大不況になる。
(B)を選択した場合はどうなるのか。消費拡大をするには、国が借金をして国あるいは地方公共団体が直接消費をするか、個人が借金をしてでも思い切って消費をするかのどちらかである。
しかし、今の政府の考え方はどうかというと、「規制緩和」「民営化」「生産性の向上」「ムダの削減」「財政健全化」「消費税アップ」等である。本で指摘するように、「規制緩和」、「民営化」「生産性の向上」は、供給を拡大したい時にとるべき政策(インフレ政策)であって、物が過剰に余っているときには全く逆効果である。生産の効率をよくすれば、さらに物が余ってくることは素人でも分かる。
「ムダの削減」「財政健全化」はどうかというと、ムダとは政府支出のことであって、公共投資を削減せよという話である。しかし、不況で個人が消費を控えているこの時期に、政府までもが消費を控えたら、益々デフレは拡大し一歩間違えば恐慌にすらなりかねない。
財政健全化については、あくまでも好景気の「結果」であって、目的化するべきものではないという。「消費税アップ」についても、物が売れないで困っている時に、物を買うとペナルティー(10%)を課しますよと言われて、物を買う人が果たして増えるだろうか。
よく言われるのは、国の借金が800兆円もあって、このままでは国は破綻するという考えであるが、国からすれば800兆円は借金であるが、個人や企業からすれば800兆円の資産である。ギリシャのように外国人や外貨建てで国が借金しているのとは全く事情が違う。
結論からすれば、デフレ経済から本当に抜け出すつもりであるのであれば、思い切って財政出動をして、新たな需要を政府が作らなければ、本当に取り返しの付かないことになる。今それをやったからといって、ギリシャのように国家財政破綻は起こらない。日本とギリシャとでは、あらゆることの根本が違うのである。
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