|
側溝カバーや門扉盗難は高度経済成長をしている国の仕業 2006年12月12日 近年、ステンレス製の側溝カバーや一般家庭の門扉が盗まれるというような事件が相次いでいるという。他にも、表面だってはいないが、鉄製の公共物やペット・ボトルなどの廃材が盗難にあうケースが急増している。以前は、処理に困っていたような廃材ばかりが盗難にあい、不思議に思っていたら、ここにきて、廃材にとどまらず、街中に点在する公共物や私有物にまで被害が出だしている。犯人は捕まらない。しかし、犯人はハッキリしている。現在、驚異的な高度経済成長を続けている国の人々であることは間違いない。何故なら、まったく同じことが、日本の高度経済成長期、アメリカでも起こっていたからだ。 私がアメリカに住んでいた1980年代でさえ、既に高度経済成長期ではないにもかかわらず、日本の商社は廃材の中から金属資源を集めることに躍起になっていた。 サンフランシスコでのことであった。出会いがどのようにであったかは、もう覚えていない。しかし、彼とは半年ほど仕事、というかセカンド・ビジネスを一緒にした。彼は、パキスタン人であった。流暢な日本語を話し、頭の良い男であった。私が、何故そんなに日本語が上手なのかと尋ねると、日本の商社の外部スタッフとして働いていたからだと言っていた。仕事の内容を聞くと、彼は世界中から金属資源を買い付けることだと言っていた。そして、渡米したてで車も持っていなかった彼は、私に仕事を一緒にすることを求めてきた。不思議であり、興味深かったので、私は手伝ってみることにした。 仕事の内容は簡単であった。まず、電話帳等でジャンク・ヤードを探す。ジャンク・ヤードとは、文字通りポンコツ置き場即ち廃材取扱業者である。当然のことながら、サンフランシスコであったので、その近隣でである。正確に言えば、半径200〜300キロ以内というところであった。調べてみると、案外ジャンク・ヤードというのは多いことがわかった。サンフランシスコ近郊のいくつかのジャンク・ヤードをリスト・アップし、私達はそれらのジャンク・ヤードを一つずつ巡った。そして、それぞれのジャンク・ヤードで、ジャンク即ちポンコツ廃材を買い付けるのだ。それを、港でよく見かける積載用の長方形コンテナへ詰め込み、日本の商社へ売りつけるのだ。いや、売りつけるというよりも、日本の商社が、ノドから手をだして待っているのだ。ハッキリ言ってしまえば、彼は日本のある商社から依頼されてアメリカにきていたのだ。彼は、フリーランスだと言っていたが、私は彼がある日本の大手商社から派遣されてきていたと確信していた。何故なら、彼が買い付ける廃材は、ある日本の大手商社一社へと全てが買い取られていったからである。 流れは、簡単であった。ジャンク・ヤードで、重量で買い付け、それを港まで運ばせ、コンテナに詰め込み日本へと送る。サンフランシスコから日本へは、約2週間で到着する。それを繰り返すのだ。大体、2週間掛けてジャンク・ヤードを回り、その間に発送したコンテナは、日本へ到着する。到着すると、日本の商社側から金銭が送金されてくる。それを確認すると、次のコンテナを発送する。この繰り返しだ。 日本の大手商社は、隙間なく廃材が詰め込まれたコンテナを、1コンテナ$8000(当時)で買い取ってくれた。大体、廃材を買い付け、業者に港まで運ばせ、コンテナに詰め込み、コンテナを日本の大手輸送業者に日本へ輸出させると、全てで$4000〜$5500程度掛かった。要するに、その差額$2000〜$3000が、コンテナを送り出す1回当たりの純利益であった。ジャンク・ヤードを見回る際、足元が悪く泥だらけになったり、車が汚れたりするリスクを差っぴいても、決して悪い商売ではなかった。その上、エクストラの利益もあった。アメリカのジャンク・ヤードでは、金属の種類によってより分けはしておらず、目方で買い付ける。そんなアメリカ人の大雑把さが幸いするのだが、その廃材の中には、磁石でつく鉄材にまざってアルミニュームやステンレスの廃材が混ざっているのだ。このアルミニュームやステンレスが、当時は高値で売れた。当然のことながら、1コンテナ当たりの廃材の量から比べれば、その量は非常に少ない。ところが、アルミニュームやステンレス廃材は、コンテナ一杯分の鉄廃材より格段に高く売れたのだ。 彼に、こんなガラクタを何故日本の大手商社が買いあさるのだと尋ねてみると、彼はこう答えた。「ガラクタではなく、宝の山だよ。これらの廃材は、溶かして再製するのだから。金属資源が不足しているんだよ」 携帯電話メーカーが、ひっきりなしに新機種を売り出す。そすると、新しいモノ好き浪費癖のある日本人は、次から次へと携帯電話を買い換える。当然のことながら、古い携帯がジャンクになる。その多くが海外へと転売されるという。だが、ある東北の会社が、廃棄された携帯電話を買いあさり、莫大な利益を上げているという報道がなされたことは、皆様の記憶にも新しいと思う。携帯電話の中には、微量だが純金が使われているという。その純金を集めての商売だという。 また、NHKのドキュメンタリー番組では、ペット・ボトルや日本のジャンク・ヤードで中国人の廃材ブローカーが廃材を買いあさっているという物語を放送していた。日本の高度経済成長の比ではない勢いで急成長している中国は、金属資源も、天然資源も、あらゆる資源を渇望しているのだ。13億の民がいる分、日本の比ではない急成長なのだ。しかし、あまりにも、モラルを逸している気がする。東シナ海の海底ガス田の問題にしても、日本での公共物や私物の盗難に関しても、やってよいことと悪いことがあるのではないか。非常に大きな疑問を感じる。 日本の高度経済成長期でも、他人様のモノに手をだしてまでのことを、日本人はしなかった。確かに、買いあさりはしたが、他国に迷惑を掛けるような非道徳なことは決してしなかった。アメリカ人が、こんなことを言っていた。「中国人は、空のモノは飛行機以外、海のモノは潜水艦以外、何でも食べるよ。そして、中国人が通ると、電線も、線路も、切り取られてなくなってしまうんだよ。気付いた時には、既に溶かされ別のモノになっている。精製しなおされた鉄に、名前は書いてないからね(笑)」皮肉だが、的を得た言いようのような気がする。
|
全体表示
[ リスト ]


