|
アメリカの手前勝手な提案書でしかない「イラク研究グループ」による報告書 (下) 2006年12月16日 あれだけの犠牲をはらいながら、アメリカは多くの自国民からも、イラク人からも、そして、中東諸国にとどまることなく世界中から非難され続けている。しかし、もしアメリカ軍をはじめ同盟国の派遣軍が即時前面撤退してしまったならば、イラクはどうなってしまうだろうか? それこそ、イラクは世界にとってテロの火種となり、非常に危機的な状況に陥ることは誰の目にも明らかである。それに、ここまでイラクの民主化のために尊い命を落としてきた人々の死が、全て意味をなさなくなってしまう。何事を為すにも、茨の道を抜けることは必要不可欠だ。「継続は力なり」というではないか。 このような複雑な状況下、周知のごとく、アメリカでは、超党派の「イラク研究グループ」によって、イラク問題の解決方法が模索された。そして、遂に今週、報告書が提出された。直後、ブッシュ大統領も含め、ホワイト・ハウスで、メンバー達と共に議論が交わされた。しかし、あれだけアメリカを批判し、早期撤退を叫んでいたイラク人達から、そして周辺の親米アラブ諸国からも、この「イラク研究グループ」による提案書へ対し、大きな反発の声が上がっている。その意思表示として、大型テロがバクダットでここ数日頻発し、イラク副大統領も暗殺されかけた。未遂で終わったが、危機一髪であった。 それでは、彼らが反発するのは何故か? 答えは、簡単である。また、同じ過ちを繰り返しているからである。同じ過ちとは? それは、アラブ人達の性質や文化をまったく無視し、西洋人的な発想で、アメリカの思惑に基づいての勝手な提案でしかないからだ。これは、嘗て、イギリス人が、大英帝国時代、アラブにおいて為した過ちを繰り返しているだけである。映画「アラビアのロレンス」の時代の繰り返しでしかないからだ。 中東問題の解決は、至難の業である。完全なる解決方法は、多分ないであろう。それは、アラブ人達の資質や性質や文化によるところが大きい。そのことを理解せずに、西洋人的な発想で解決しようとしても、結局火に油を注ぐだけのことになってしまう。今回の報告書に目を通してみると、まだネオコンといわれる、これまでのイラク政策をブッシュ政権下で推し進めてきた人々の方が、「イラク研究グループ」よりも、よりイラク人やアラブの人々のことを理解しているようにさえ思えた。 唯一の解決策は、タイム・スリップしかない。時計の針を、「アラビアのロレンス」の時代に戻し、全てを仕切りなおすしか方法はない。イギリス人将校 T.E.ロレンスは、結果としてアラブ人達を騙してしまうことになったことを亡くなるまで恥じ、自責の念にかられ続けたと聞く。その証拠に、アラブの英雄とさえ言われ、アラブ人達にも慕われ尊敬されたロレンスは、二度とアラブへ戻らなかったとも聞く。ロレンスの時代に、私利私欲でなした行為を改めない限り、本当の解決は有り得ない。しかし、時間を戻すなどということは、できるはずがない。 もともと、アラブ人というのは、部族単位で成り立っている民族である。そして、部族同士は、力によって優劣を決めるというのが、彼らの文化なのだ。部族間での、縄張り争いなども、全て力によって解決されていた。にもかかわらず、部族や部族のテリトリーを無視して、イギリス人達は、自分達の私利私欲、すなわち石油利権だけを念頭に、勝手に国境線を引き、部族を分断してしまったのだ。これが、今に続く中東におけるあらゆる問題の原点である。勝手に、お前はこっちの国、あんたはこっちの国と分けられても、同じ部族が分断されていれば、紛争が起きて当たり前である。自分の家族や仲間を取り戻そうとするのは、自然な感情だ。同時に、分断した西洋人に対して、恨みをもつのも自然な感情だ。このような複雑な状況がある上に、さらに複雑な問題をイギリス人は中東に残した。それは石油だ。 それまで、彼らアラブ人は、石油など知らなかった。いや、知ってはいたが、彼らは必要としていなかった。よって、石油絡みでの紛争など皆無であった。ところが、西洋人達が、石油の取り合いをすることを目の当たりにし、石油がお金になるということを知った。その結果、部族、宗教と複雑な問題が山積されている上に、石油の利権という金銭的な欲得問題までが加わり、中東問題は非常に複雑化してしまったのだ。それもこれも、元を糾せば、イギリス人をはじめとした西洋人の勝手な私利私欲に始まったことなのだ。そして、最後に、衰退し始めた大英帝国の尻拭いと欲目で、アメリカが出てきたのだ。これらの歴史的背景と、民族の特性を理解せずして、中東の問題は解決できない。 イラクの問題にしても、内戦状態の原因は、ハッキリと目に見える形で露呈しているではないか。北部のクルド人地区、南部のシーア派地区、そして、残りのスンニ派地区。結局のところが、部族単位、宗派単位での対立なのだ。北部のクルド人地区などは、クルド人達が自ら自治しているので、フセイン政権崩壊後、一度もテロ行為やテロの被害も受けず平和になっているというではないか。 イラクの問題も、中東全体の問題も、解決するには時間が掛かる。これだけ複雑な状況に中東地区がなるにも時間が掛かったのであるのだから。まず、今イラクで、アメリカはじめ同盟国がしなくてはならないことは、仲裁役に徹することである。イランに頼るのでも、シリアに頼るのでもなく、仲裁役に徹し、部族単位、宗派単位で分断し、独立させることである。多分、イラクは、三つの国に分断されるであろう。しかし、それが一番平和にイラクの紛争を解決する方法である。 当然のことながら、そうなれば今度は石油の問題が浮上する。北部のクルド人地区と南部のシーア派地区には、石油が豊富にある。しかし、西部のスンニ派地区にはほとんど石油がない。そして、このスンニ派が多くのテロを起こしている。ここをある程度納得させない限り、問題は解決しない。ならば、一定量の石油をクルド人地区とシーア派地区からスンニ派地区へ無償提供する条件の下、それぞれの独立を認めさせればよいのだ。そして、独立が承認された後は、それぞれの独立国として自治されればよいではないか。ただし、イランやシリアが、自国の国益に根ざし独立したシーア派地区やスンニ派地区を傀儡政権としないように、国連軍が監視すればよいのだ。このような解決方法しか、実際にはないように思う。結局のところ、十把一絡げで思想も、宗教も、民族も違う人々を無理矢理一緒にしているから、テロや紛争がおさまらないのだ。まずは、それぞれの関係国が、私利私欲を捨て、平和を第一義に、独立を模索し、その結果として私利私欲の部分である石油の配分という問題の解決策を模索すればよいのだ。そして、その全ては、ロレンスによって書かれた、「アラブ人操縦の27か条」を念頭におき、為されなければならない。間違っても、西洋人的発想で推し進めることのないように、為されなければならない。私は、そのように思う。
|
中東問題
[ リスト ]




「アラブ人操縦の27か条」それは 初耳でした、今 レバノンを発端として、スンニ派とシーア派が 揉めていますね、それと イラン大統領によるイラン国内のユダヤ教社による反イスラエル活動?といい イランとアメリカ、イスラエルこれらの関係が 石油問題も混じって 今後の展開が すごく心配です、いずれにした アメリカがイランを攻めるのは時間の問題とは思うが、世論と『その後』のあるべき姿が 見えないと 世界が納得しないでしょうからね、まさに アラブを知らないと この真間では アメリカは世界を敵に回すと思います
2006/12/18(月) 午後 0:33 [ 建築や ]
「アラブ人操縦の27か条」は、映画「アラビアのロレンス」の主人公である実在のロレンス氏が作成したものです。ロレンス氏は、アラブの情勢、アラブ人の性質を熟知していたと言われています。そして、そんな彼が、経験から記したのが「アラブ人操縦の27か条」です。案外、現代でも参考にしている人がいると聞き及びます。
2006/12/18(月) 午後 1:34 [ sei**ikai_*lub*0*6 ]
イラン問題も、非常に難しいところにきていると思います。アメリカは、ある意味袋小路に迷い込んでしまった感も否めません。最終的には、優先順位ということになるでしょう。その際の判断基準は、核拡散が最も現実的な問題児を優先ということになると思います。それと、長期戦と短期戦という視点でも、タイミングと相手を判断するのではないでしょうか。盛んにイランでも北朝鮮でも、撹乱諜報活動を繰り広げております。どちらも、それなりの効果が少しずつではありますが、出だしているようです。
2006/12/18(月) 午後 1:38 [ sei**ikai_*lub*0*6 ]