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テロがはびこる今の世界情勢を知るには映画「アラビアのロレンス」を観るべき! 2007年11月21日 このタイトルは、何だか非常に浅はかなように聞こえるかもしれない。しかし、テロが蔓延する今の世界情勢の始まりを知る上では、非常に理解しやすい映画であると私は思っている。多分、以前、別の記事でも書いたことがあると思う。 テロがはびこる今の世界情勢をしるには、何故イスラミックの人々が、こんなにもアメリカをはじめとする西側諸国に憎悪を持っているかということを知る必要がある。何の原因もなく、人は人を憎みはしない。そこには、必ず原因がある。 全てを理解しようと思えば、アラブ問題は、非常に複雑怪奇で難しい。しかし、大きな流れだけでも、ポイントを押さえれればもっと色々なことが見えてくるはずである。 ただ、最初に申し上げておく。歴史には、事実は一つであるが、真実は、その当事者の数だけあるということを。このことをしっかりと心にとめて、偏ることなく歴史を繙く必要がある。そのことだけは、忘れないで頂きたい。 まず、皆さん不思議に思われないか。何故、アフリカ諸国と中東諸国の国境線は、直線が多いのかということを。私は、アメリカの大学で中東問題を勉強した際、最初にそのことを不思議に思った。大抵の場合、国境線とは、どういう風につけたのかと思うほど複雑に入り組んでいる場合が多い。ところが、アフリカと中東の国々の国境線は、まるで人が定規で地図上に線をひいたかのごとくに直線が多い。 それは、イギリスが大英帝国と呼ばれていた時代、植民地政策を推し進めていたことによるところが大きい。イギリス人をはじめとする西洋人の思惑によって、アフリカや中東諸国の国境線は理不尽にひかれたのだ。 そもそも、アフリカにしても、アラブにしても、部族単位でなりたっていた地域である。そのことは今でも変わらない。国という価値観よりも、部族という価値観の方が高い民族の集まった地域なのである。そのことを理解しなければならない。 アラブ首長国連邦という国がある。アラビア半島東部北岸に位置し、アブダビを首都とする国である。アラブ諸国の中では、日本人に馴染み深い国の一つであるはずだ。ドバイという都市は、多くの日本人にも知られているはずである。そのドバイも、このアラブ首長国連邦の都市である。 このアラブ首長国連邦という国が、アラブ民族の特徴をよくあらわしている。読んで字のごとくである。この国には、7人の首長がいる。即ち、7部族の連合体で国の体をなしているのだ。アラブの人々は、正にこの感覚なのである。というか、これがアラブ民族の文化であり、価値観なのである。国という価値観は、あくまで近代西洋人が押し付けた価値観でしかないのだ。 それでは、何故灼熱の砂漠ばかりのアラブへ対し、イギリスをはじめとした西洋人達は目の色を変えたのであろうか。答えは、簡単である。それは、石油を確保したいからである。これが、アラブ人達にとっての不幸のはじまりである。その延長線上に、ユダヤ人によるイスラエルの問題も浮上し、話はより複雑になってしまった。イスラエルにしても、1948年にイギリスの委任統治終了とともに建国された国であって、ある意味イギリス人の思惑で、あの地に無理やり建国されたと言えないこともない。確かに、歴史的には、ユダヤ人にとってあの地は所縁ある地かもしれないが。 映画「アラビアのロレンス」は、更に時代を遡る。時は1914年、第一次世界大戦が勃発し、アラビアはトルコ帝国の圧政下にあった。オスマン・トルコの時代から、アラビアの部族達もトルコ人達も、力で全てを決するという文化と価値観を持っている。強いものが全てを支配する。それが、彼らの力関係であり価値観である。そのことは、今でも変わらない。この映画は、そんなアラブの危機を、西部劇のようなタッチで描いているともいえる。「七人の侍」「荒野の七人」ではないが、トルコに攻め入られるアラビアを、ロレンス中尉が果敢に戦い救おうとする勧善懲悪ドラマのようにもみれる。しかし、実は、その裏側には非常に深い歴史背景と意味合いが含まれている。 「アラビアのロレンス」は、実話である。イギリス軍のロレンス中尉の物語である。実在した人物だ。アラブの人々の間では、今でも英雄としてロレンス中尉の話は受け継がれている。その反面、イギリスでは裏切り者的なレッテルを未だに貼る人々も多い。しかし、今となっては、その真実はわからない。ただ、間違いないことは、ロレンス中尉が、アラブの人々のために、アラブの独立のために、彼らに加担していたということだ。それが、イギリスのためと思ってやっていたのか、映画で表されているように、純粋にアラブ人のためにと思ってやっていたのかは、本人の心の内を見れない今となっては分からないことである。 ただ、一つだけ確かなことがある。あの時、ロレンス中尉の進言どおりにイギリス政府ならびにイギリス軍が判断をくだしていれば、世界情勢はもう少し変わっていたかもしれない。歴史に「もし」はあり得ないことだが、少なくとも憎悪の連鎖をもっと軽減することはできていたかもしれない。 どうも、アルカイダをはじめとするテロリスト達が、イスラム教を看板にし、また楯にもしているので、どうも我々西側諸国の一員からすると、イスラム教の教えが悪いのではないか、と大きな誤解をしてしまいそうであるが、そうではない。イスラム教自体は、純粋な教えであり、そんなに悪い宗教だとは思わない。彼らテロリスト達は、原理主義者であり、自分達の都合のように歪曲して受け止めているので、鵜呑みにするべきではない。それよりも、この憎悪の連鎖によるテロの連鎖は、前記したような部族単位での価値観に起因するところが大きい。その延長線上に、宗教の存在があると理解するべきである。 何故、トルコは、歴史上、何度となくアラブに攻め入るのかも、その辺に理由がある。そして、その延長線上に、ギリシャ正教であるトルコとイスラム教であるアラブという、宗教的な理由もある。どちらも、あまりにも高潔な教えであるが故に、双方が双方を認めないから起こる争いである。本来であれば、共存という形をなせば解決できるはず問題であり、そうあるべきことであるが、そういかないのがアラブの文化であり価値観なのかもしれない。 今、一つ懸念すべきことが勃発しつつある。それは、トルコのイラク侵攻である。クルド人の問題を理由に、トルコは再びアラブに攻め入ろうとしている。歴史は繰り返す、とはよく言ったものだ。しかし、このことが、大きなことに発展する可能性は非常に大きい。アメリカがどう対応し、トルコがどのように判断し行動に移すかで、また新たな火種が誕生する可能性がある。 中東は弱肉強食を地で行く地域である。油断をすれば、虎視眈々と狙っている隣人達に攻め入られてしまう。非常に難しい地域である。今後の動向を見逃せない。
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中東問題
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かって、パレスチナは、イスラム教、キリスト教などが混在しても、平和に共存する町であったと聞きます。それが、イギリスの3枚舌外交で、跡形も無く霧散してしまいましたね。本当にイギリスの罪は大きいと思います。
映画では、ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、アンソニー・クイン最高でしたね。
2007/11/21(水) 午後 7:07