政財界倶楽部(恩田将葉見聞録)

若者達がジャパニーズ・ドリームを夢みれる国を願い、「政治をもっと身近に!」というスローガンのもと、日本人に愛国心を喚起する。

世界の中の日本と日本人

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子供たちに伝えたいこと
2012年5月29日

 先日NHKスペシャルで放送していた「世界を席巻するキティー旋風」という番組を録画してあったものを、娘に見せた。何故なら、その番組の中に、子供たちに伝えたいことが上手く表現されており、娘にとっては身近なキティーを売るサンリオの日本企業の在り方を通じて、人生で何が大切かということを知ってもらいたいと思ったからだ。

 私は、アメリカで教育を受け、日本で社会にでたので、正直色々な厚く高い壁にぶち当たることが多かった。特に日本企業では、「出る釘は打たれる」いや企業だけではない、どんな業界でも日本では「出る釘は打たれる」環境にある。そのことが、今まで自分の人生で、最大のハードルであり、ある意味苦悩でもあった。大袈裟だがその壁を打破することの繰り返しであった。そのお陰で、自分は多くを学び、打たれ強い人間になれたと思っている。だが、だからといって皆同じ方向を見る日本企業に妥協することを体得したのではない。ある意味、常に反逆者であることを自分では誇りに思っている。そのことは、ビジネスや政治活動だけでなく、法廷闘争などでも、私という人間を支えている核の部分であると言っても過言ではない。少々話が脇道に逸れた。元に戻す。

 私は、子供たちが幼い頃より、「ダメはダメ」「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」「Nothing is impossible」という言葉を、事あるごとに伝えてきた。果たして、その言葉を子供たちが受け止めているか否かは別の問題である。だが、例えば、MacのPCなどを購入する場合には、必ず背面にこれらの言葉を名前と一緒に刻んでもらうようにしている。 それは、私人身、短い人生で私なりに学んできた中で、これらの言葉が一番大切なことだと思ったからだ。私の母親は、「ダメダメ」と何から何まで「ダメダメ」尽くしの人であった。何もダメ、かにもダメ、無難に、皆と一緒にというような日本人らしい日本人である。正直、私には、そのことが、幼少期より非常にストレスになっており、その殻から飛び出したかった。故に、単身渡米できる機会を得た時は、それだけで飛び上がるほど嬉しかった。そして、実際に渡米してみると、その解放感は想像以上であった。解放感だけでなく、可能性が目の前に大きく広がった。その経験から、私は私の子供たちに、生まれてこの方「ダメ」ということを言わないようにして育児をしてきた。「ダメ」とは言わず自ら気付く教育を是としてきた。実際、自分の経験から、「ダメダメ」を連発されれば萎縮し、出来ることもできなくなることを解っていた。それよりも失敗しても、どんなことにでも挑戦する勇気を持ってくれた方が、私は嬉しく思っている。そのために被る弊害が大きいこともある。だが、そこから学ぶものは非常に大きく、代えがたい人生の宝になると確信している。余談だが、そんな私にとっての救いは、母とは正反対で、何でもやらせてくれる亡父の存在であった。若い頃は、随分ぶつかり合いもしたが、今から思うと大好きな亡父であった。

 そのような状況下、私はデザイナーになる勉強をしている娘に、上記の番組を観るように勧めた。そこにはキティーという身近なキャラクターが、どのようにして世界を席巻したかが、解り易く実際のデザイナーたちが登場して、またサンリオの現在までの変貌をドキュメンタリーで表現していて、非常に説得力があると感じたからだ。2008年より、サンリオでは、それまでの社風を一転させる方針が打ち出された。その直後より、サンリオの売り上げ利益は、前年比を倍増する勢いで、右肩上がりで上がった。その変革には、何人かの核となる社員が存在した。一人は、2008年にハーバード大学で、ビジネスMAで卒業し入社と同時に取締に就任した人物の影響が非常に大きかった。彼は、アメリカで学んだアメリカ風のライセンス・ビジネス方式をサンリオに持ち込み、世界中で誰もがいつでもキティーを手にすることができる道を開いた。即ち、それまでサンリオでは自社でデザインだけでなく商品開発販売までやっていたが、2008年以降はライセンス販売のみに特化して、世界を席巻したのだ。ライセンスを販売し、其々のクライアントが自社の商品にライセンスに乗っ取った形でデザインを施して販売することを可能にした方式だ。この方法で、キティーは短期間で世界を席巻した。サンリオ自体が販路開拓をせずとも、ライセンスを購入したメーカーが販路を開拓すればよいのだ、販売営業にかけるコストが格段に下がり、ライセンス販売による純利益が驚異的に伸びたのだ。ただそれには、他にも数人の立役者が、サンリオに存在した。一人は、三代目のキティー・デザイナーだ。そして、もう一人は、ヨーロッパ統括役員のイタリア人社員だ。彼等は、既成概念に囚われず、如何なる状況や可能性にも「NO」を言うことなく、新しい道を模索し前進するキッカケになった。その結果、現社長に、快進撃を可能にした要因は、「柔軟性のある考え方をもつ良い人材だ」と言わしめた。

 娘にとって面白く大きな説得力となったのは、スヌーピーやディズニーキャラクター商品と比較して、サンリオのライセンス契約が非常に柔軟であるというところだ。これは、デザイナーにとって大きな可能性を齎すことになる。スヌーピーなどは、作者が故人となった今、新しいスヌーピーをデザインすることはできず、既存のコミックから抜粋してスヌーピーのキャラクターを使わなければならないという手枷足枷が非常に重い。当然のことながら、サンリオとは比較にならないほどの販売や開発に遅速を強いられる。ところがサンリオでは、ライセンスを取得したメーカーは、自由にキティーをデザイン変更できる。サンリオ方式では、自由闊達に新商品を開発販売することがライセンスを購入したメーカーに許される。そのことによって、マーケット規模を驚異的に広げることが可能になった。その差は歴然で、他の追随を許さない勢いだ。だが、その原点にあるのが、正に「Nothing is impossible」という精神であるということを、番組全体で表現していた。「ダメ」と言い出したら、全てが駄目になってしまう。どんな可能性も模索する精神は、大きな可能性を運んでくる。そのことが、この番組で学べたことである。

 自由人である私からしたら、我が子たちは、親に似ず案外真面目だ。勿論、娘は我が家のレディーガガと呼んでいるぐらいに、奇抜なファッションをしたり、変わったことをしたり、卒業した私立の中等科高等科の学園生活では、ちょっとはみ出した存在であった。だが、デザイナーという途を目差し歩みを進みだしてみると、そんな自分の存在も、目立った存在ではないということに気付かされ、もっと個性を発揮し、「ダメ」という意識を超越して前を向いて歩みを進めなければということを実感しているはずだ。そんな状況下、私からしたら頭が硬めの娘に、「為せば成る、為さねばならぬ何事も」「Nothing is impossible」というチャレンジ精神をあらためて気付かせるキッカケになって欲しいと、この番組を観ることを勧めた。多分、今はまだ100%理解できないかもしれない。だが、いつか私のそんな思いに気付いてくれたら嬉しく思う。いずれにしても、子供たちの今後の人生が幸多きものになってくれることを心底より望む。


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