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北朝鮮の現状はパールハーバー直前の日本の状況に酷似
融和政策によって増長したナチスと制裁措置でパールハーバーを断行した日本
歴史は繰り返されるからこそ答えは歴史の中にみつけることができる
2006年7月9日
北朝鮮の現状、極東アジアの現状、そして、世界情勢の現状を注意深く見ていくと、あることに気付く。それは、間違いなく歴史は繰り返されるということだ。見方を変えれば、人間の心理というのは、時代が変わり、国が変わり、国民性や環境が違っても、同じような反応や変化を生むということなのかもしれない。人間というのは、十人十色、感じ方も、考え方も違うとは言う。しかし、実は、人間の心理回路というのは、多少の誤差はあっても、マクロな目で見れば類似するということではないか。だから、歴史は繰り返される、地球上のいたる所で同じような問題が発生するのかもしれない。
そんなに昔のことではないので、思い起こして頂きたい。その時代を生きていなかったにしても、教科書等で学んだはずなので、誰もの記憶の中にあるはずだ。ヒトラー率いるナチス・ドイツが、何故あの時代あれだけ急成長し、まるで宗教のようにあれだけ狂信的にドイツ国民を揺り動かすことができたのか。そして、そんなドイツを、何故あそこまで増長させ、ヨーロッパ全土を歴史上類のない悲惨な第二次世界大戦に引きずり込んでしまったのか。規模は違うが、今の北朝鮮に非常に酷似している。ヒトラー率いる当時のナチス・ドイツは非常に狂気で攻撃的な内政・外交政策を推し進めていた。それを脅威に感じた諸外国は、融和政策でナチス・ドイツの脅威を回避しようとした。ところが、その融和政策によって、脅威を回避するどころか、ナチス・ドイツを増長させてしまい、歯止めの利かぬところまで増長させてしまう結果を招いた。
今回の北朝鮮によるミサイル7発発射までの韓国の太陽政策を中心にする北朝鮮に対する対応、中国やロシアの北朝鮮に対する対応、また、アメリカを中心とする六カ国協議ならびに小泉首相による訪朝に始まる日朝平壌宣言以降の日本の対応、これらの融和政策的対応が、北朝鮮を限りなく増長させた。その結果、北朝鮮に7発ものミサイルを発射させてしまうことになった。もっと早い段階で、歴史を振り返り、融和と圧力のバランスが取れた対応策を模索するべきであったのだ。そうは言っても、現実問題、現場では、解決するべくそれなりに一生懸命対応をしていたのだと思う。しかし、一番の問題点は、韓国、いや盧武鉉大統領によるバランスを欠いた太陽政策にある。歴史上類をみないほどに、北朝鮮よりの政策を断行し、同盟国である日米を遠ざけたという罪は重い。結局のところ、大統領としての洞察力に欠け、器ではなかったということだ。その証拠に、韓国での、盧武鉉の支持率は史上最低の18%を下回っているという。
次に、注視になければならないのが、現在の北朝鮮を中心とした国際情勢である。背筋に寒いものを感じる。何故ならば、あまりにもパールハーバー攻撃を断行する直前の日本の状況に酷似しているからだ。あの当時、日本は今北朝鮮が行っているような国際犯罪的行為は一つもしていなかた。にもかかわらず、近隣諸外国の大きな思惑やら恐怖感から発せられた経済制裁という理不尽な行為に追い詰められていた。当時日本に為された経済制裁は、今北朝鮮に為されている経済制裁の比ではなかった。石油も含め全ての輸入物資が経済制裁の対象となっていた。事実上、日本は篭城状態で、兵糧攻めにあっていたのだ。餓死を迫られた日本は、窮鼠猫を噛む、でパールハーバーを攻撃したのだ。今の北朝鮮の状況は、これも前述したナチス・ドイツの状況と比べれば規模は小さいが、非常にパールハーバー直前の追い詰められた日本の状況と酷似している。
どのポイントで追い詰められているかと感じるかには、それぞれの国民性や環境によって個人差がある。よって、日本は、あそこまで我慢を重ねたが、北朝鮮はどこまで我慢するのかはわからない。しかし、追い詰められているという状況は、まったく同じである。そして、追い詰められた人間が次にとる行動というのは、時代は変わっても、環境が違っても、同じ人間なので同じはずである。そうやって考えると、近い将来北朝鮮がどのような行動にでるかは、容易く想像がつくはずである。日本が、パールハーバーに奇襲攻撃をかけた時のように。奇襲攻撃と言われてはいるが、実際には日本は筋を通して宣戦布告は事前にしていた。ただ、北朝鮮の場合は、そのような筋とかデリカシーということには縁遠いようなので、非常に大きな不安を覚える。本気で仕掛けてくる時は、完全なる奇襲攻撃に違いない。それが、ソウルなのか、日本なのか、あるいはソウルと日本と同時なのか、それは金正日のみが知ることだ。
最後に一つ、言っておきたいことがある。テレビで一部コメンテーターが、米国のヒル特使が、当事国である日本を差し置いて、中国や韓国を先に訪問したという事実は、日本だけが結局のところ蚊帳の外で、この5年間のアメリカを中心にした小泉外交が失敗であったことを証明している、などというようなまったく根拠のないいい加減なコメントを繰り返している。これは、まったくの勉強不足というか、国際情勢、外交のことをまったく知らない人間のコメントであり、非常に大きな憤りを覚える。このような幼稚な次元での判断とコメントしか出せないようなコメンテーターを、この緊張した状況下、国民に対して影響力や公益性の高いテレビが採用すること自体、国益に反した非常に売国奴的行為としか思えず大きな憤りを覚える。
専門家でなくとも、ここ数週間のそれぞれの関係国の動きを省みれば一目瞭然でわかることだ。アメリカと日本の間では、北朝鮮がミサイル発射準備を始めた直後より、緊密な対応策が相互間で練られてきた。そして、その最終確認が、1週間前の小泉首相訪米でブッシュとエアホース・ワンの中で行われた。このような状況下、ミサイルが発射され、アメリカの特使が何故最初に日本を訪問しなければならないのか? アメリカが説得しなければならないのは、緊密に結ばれている日本ではなく、中国、ロシア、韓国であることは、誰の目にも明らかだ。説得しなければならない、国の中で急がなければならない順に訪問するのが当たり前の外交手法である。にもかかわらず、あのような幼稚なコメントをするコメンテーターがいること、そして、そのようなコメンテーターを採用するテレビ局に対しては、呆れてモノが言えない。
それでは何故、韓国が二番目かということだ。それも簡単である。盧武鉉政権が誕生して以来の韓国の情勢を注視していれば、一目瞭然なことである。盧武鉉政権は、大方の予想に反して誕生した。そして、大方の予想に反して、これまで韓国がとってきた政策とは、相反する方向に進みだした。勿論、金大中元大統領時代に太陽政策は本格化した。しかし、金大中の心底には、万が一38度線がなくなってしまえば、嘗てのベルリンの壁崩壊後のドイツのように、韓国経済に大きな影響がでるという懸念があってのバランスを欠かない範囲での太陽政策であった。ところが、盧武鉉政権下での太陽政策は、バランスを欠いた不均衡な北朝鮮寄りの偏向政策へと変わってしまった。このことを、アメリカは大きな懸念を抱きつつ見守り続けてきた。アメリカは、朝鮮戦争以来、北朝鮮という国の常識では推し量れない特異な性質に悩まされ続けてきた。朝鮮戦争自体でも大きな痛手を負ったし、その後の度重なる交渉事でも、いつも北朝鮮にしてやられてきた。北朝鮮という国は、まったく信頼できない国であり、手の裏を返す国であるということをアメリカはDNAに焼き付けている。そんなアメリカは、いくら盧武鉉が太陽政策を推し進め、北朝鮮と緊密な関係を築いたとしても、いざとなれば北朝鮮が韓国に対して手の裏を返すと思っている。よって、アメリカのヒル特使は、中国の次に韓国を訪問したのだ。何故ならば、万が一有事になれば、何があっても最初に、北朝鮮はソウルを攻撃する。それは、軍事戦略上の常識である。何故ならば、例え、ミサイルを日本に撃ち込んでも、その一発で、大きな打撃を日本に与えることはできない。しかし、ソウルと北朝鮮の距離はたったの26キロ。ミサイルでなくとも、遠距離砲だけでも攻撃できる距離である。軍事戦略上、万が一北朝鮮がソウルを本気で奇襲攻撃したら、30分以内でソウルは火の海となり陥落すると言われている。勿論、それをキッカケに反撃はするが、ソウルを守りきることは非常に難しいというのは軍事戦略上の常識である。そして、忘れてはならないのは、盧武鉉がどのように考えようと、現状、北朝鮮からすれば韓国も日米の同盟国であるということだ。そういう重大な軍事戦略上の問題もあるが故に、機微を通じている日本よりも先に、説得しなければならない中国の後ではあるが、韓国を訪問したのである。訪問順序としては、何の問題もなく、そのことをとって日本が蚊帳の外などと報道するテレビ局は、日本のテレビ局ではない。公益性の高いテレビというメディアが、国益に反する報道をするということは、国賊と言われても仕方がない。日本のマスメディアの驕りと愚かさを垣間見たような気がする。
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