政財界倶楽部(恩田将葉見聞録)

若者達がジャパニーズ・ドリームを夢みれる国を願い、「政治をもっと身近に!」というスローガンのもと、日本人に愛国心を喚起する。

中東問題

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世界のユダヤ人の約半分がアメリカに
2006年7月20日

 衆知の通り、アメリカとイスラエルの関係は、極めて緊密だ。第一の理由は、アメリカ在住のユダヤ人が、約600万人もいるからだ。世界のユダヤ人の人口は、約1300万人と言われているから、その約半分のユダヤ人がアメリカに居住していることになる。イスラエルのユダヤ人が、約500万人であるから、それよりも多い計算になる。ユダヤ人難民は、アメリカのパワーに大きく貢献してきた。同時に、「ハリウッドから連邦政府まで」と言われるほど、政治、経済、学問、芸術など多様な分野で影響力を持ってきた。

 ユダヤ人は、17世紀頃からアメリカに住み始めた。19世紀後半から20世紀には、ロシア、東欧、ドイツなどを追われ、迫害を逃れたユダヤ人がアメリカに殺到した。アインシュタインをはじめとして、ユダヤ人難民は、アメリカの学問などの学術水準を高め、原発開発にも貢献し、米欧の相対的な力関係を変えるほどの影響をもたらした。人種の坩堝、他民族国家アメリカ合衆国は、ユダヤ人を追い出した欧州から宝を拾ったのであった。

 今起きている、諸々の問題は、全て1947年に、国連がイギリス委任統治下にあったパレスチナを、ユダヤ人とアラブ人地区に分割する決議を採択したことに端を発している。1948年には、イギリスの庇護の下、イスラエルが建国宣言をし、俗に言うウェスト・バンク(ヨルダン川西岸)やガザ地区における、イスラエルとパレスチニアンの溝は、決定的に深まった。そして、血で血を洗う抗争は、エンドレスに継続されている。

 嘗て、大英帝国は植民地政策により、世界を席巻していた。その頃のイギリスは、非常に利己主義的で、自分勝手な世界戦略を推し進めていた。そのことは、中東やアフリカの国境線を見れば一目瞭然である。中東やアフリカの国境線は、直線が多い。それは、イギリスが、自国の思惑で国境線を勝手に引いたからにほかなならい。部族単位での政治が行われていた中東やアフリカの風習を無視し、原油確保というイギリスの思惑で為された仕業が、現代まで禍根を残し、世界の紛争の原因になっていることは間違いない。同じことを、イギリスはイスラエル建国に当たっても為したのである。それが、現在の中東での、全ての問題の起点である。数千年も前の聖書に載っている話をもとに、そこで1500年も生活してきたパレスチニアンを半強制的に追い出したのである。この問題は、解決されるわけがない。

 冷戦時代は、イスラエルを擁護する米国と、アラブ強硬派を支援するソ連が、代理戦争の形で中東の対立構図を描いていた。冷戦後も、アメリカがイスラエルを軍事、財政面で手厚く支援する構図は、まったく変わっていない。そのような状況下、イスラエルがレバノンの空港を空爆するという緊迫した事態は発生した。当然のことながら、アメリカはイスラエルを今回も、そして、今後も援護していくであろう。ただ、冷戦時代とは違い、現状の中東情勢は、非常に複雑化している。それは、単純に、民族や宗教の問題にとどまらず、原油をはじめとする各国のエネルギー戦略が絡まりあっているからだ。

 アメリカ、イスラエル、ウクライナやウズベクスタンなどの旧東欧、ソ連邦諸国対、ロシア、イラン、中国などの新興高度経済成長国を中心とした、新興勢力による攻防である。レバノンのヒズボラの背後にはイランがおり、そのイランの背後にはロシアがいる。そして、その間を巧みに徘徊しているのが中国である。

 このように、これからの最大の問題は、原油を中心にしたエネルギー確保に関する問題である。エネルギーの争奪戦なのである。そこに、北朝鮮によるミサイル問題などが、複雑に絡まりあってきている。中東に北朝鮮は関係ないように思うが、そんなことはない。北朝鮮が、イランにミサイルを販売すれば、そのミサイルの射程距離内に、イスラエルも欧州諸国も全て入ってしまうのである。実は、今回の北朝鮮によるミサイル発射実験は、中東問題にも、非常に大きな影響を及ぼす問題なのである。

 正直に言えば、イスラエルのパレスチナへ対しての対応は、度を過ぎているものがあるように思う。あのような非情な方法でことにあたれば、恨みは連鎖しエンドレスに紛争は続くであろう。それでも、アメリカは、イスラエルを庇わなければならないのには、上記したような複雑な事情があるからなのだ。

 ニューヨーク・タイムズなどの高級紙や、三大ネットワークなどメディア・言論界でもユダヤ系の存在は非常に大きい。アメリカ・イスラエル広報委員会(AIPAC)のように議会やホワイトハウスに働きかける「ユダヤ・ロビー」も多い。こうした事情から、歴代のアメリカ大統領は、基本的にイスラエルの安全を堅持する中での中東和平を目指してきた。しかし、それは至難の業であることは、アメリカ自身が一番よく知っているのだ。そこのところに、アメリカのジレンマがある。

 このように、中東パレスチナ和平をめぐる関係各国の利害は、非常に複雑に入り組んでいる。歴史的背景、戦略的思惑、宗教の問題、民族の問題、色々なことが深く絡まりあっているが故に、益々和平達成への道は厳しいというのが実情だ。しかし、これだけは理解しておかなければならない。よく、「ユダヤ人がアメリカを支配している」などという陰謀説が実しやかに囁かれるが、まったくの偏見と俗説にすぎない。在米ユダヤ人たちの思想や政治心情は、右から左まで様々で実に多様である。人権や難民問題でも、その幅は広く深い。ユダヤ人というのは、頭が良く、自分の信念を持ち頑固な民族である。他人の考えや思想に左右されるのではなく、それぞれが多種多様な考え方を持つと理解した方が妥当であろう。ただ、アメリカがイスラエルの呪縛から逃れられないということも、紛れもない事実であることは間違いない。

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