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按摩と女 2009年4月11日、神保町シアター「昭和の原風景」にて。 1938年度作品。 脚本:清水宏 出演:高峰 三枝子、徳大寺伸、日守 新一、爆弾小僧、佐分利 信、坂本武 すばらしい映画でした。 冒頭、目が見えない按摩2人(徳さんと福さん)が温泉へと続く山道を掛け合い漫才のようにしゃべりながら、歩いてくるシーンを画面前方から写す。 徳さんは目明きを追い抜くことを楽しみにしている。 女子学生を追い抜く。 うれしそうだ。 しかし男子学生たちを追い抜くことができなかったことをすごく悔しがっている。子供たちの話声が聞こえる。 画面にはまだ子供たちは映らない。 徳さんが、前から子供らが何人くるか当てっこしようと言う。 福さんは13人と言う。 徳さんは13人と半分だと言う。 赤ちゃんがいるねと言う。 前から子供らが写しだされる。 ついつい人数を数えてしまう。確かに13人と赤ちゃん。 徳さんは、かなりカンがするどい。 乗合馬車に乗っている人を感じて、「東京の女だね」と言う。 これだけの単純なシーンでこの映画の良さが感じ取れる。 どう説明したらいいのか難しいけど、すごく自然なユーモア感覚が基調になっている。 さらに、ハンドカメラのような画面の揺れ、映像の見せ方もうまい。 名物按摩の徳市・福市のふたりが新緑を連れて山の温泉場にやって来た。ふたりは盲人でありながらも驚くべきカンの持ち主。先を行く子供の人数や、男か女か、果ては職業までも言い当ててしまうというのだ。 ある日、徳市は温泉場で東京から来た女(高峰三枝子)に呼ばれる。どこか陰があるこの女から、徳市は何かを怖れている気持ちを感じる。そんな彼女に徳市は次第に惹かれていった。しかし、恋をしたことから徳市はその鋭いカンを鈍らせてしまう。一方、女は別の宿に泊まっている少年と出会い、そしてその少年のおじさんという男と交流をもつようになる。そんな様子が徳市はおもしろくなく…。 その頃、周辺の旅館で次々と盗難事件が起こる。徳市は女が犯人だと思い込み、かくまおうとするが…。 さらに、ドキドキしたシーンがある。 高峰三枝子が按摩徳さんを呼んですれ違っても、声もかけずに笑いながら逃げていく。 高峰三枝子を正面から写す。 切り返して、徳さんを写す。 さらに高峰三枝子のアップ、徳さんとのすれ違いざま、徳さんが気がついたように振り返る。 笑いながら逃げていく高峰三枝子を追いかけるように写す。 まるで音楽PVのような映像。 また子供の素直な感情表現の使い方もうまい。 ラスト、高峰三枝子は何も言わずに、乗合馬車に乗っている。 徳さんが歩いている。 徳さんはカンがするどい。 乗合馬車が出発する。 徳さんは走って乗合馬車を追っかける。 いい映画は、ラストシーンがいい。 高峰三枝子が若い。
徳大寺伸という俳優さんはこれまで知らなかったけど、キレのある俳優さんで、この役はとてもよかった。 もう一度観てみたい映画の一つになった。 ちなみに、完全カバーした石井克人監督「山のあなた 〜徳市の恋〜」は観ていないので、こちらも気になります。カバーしたくなる気持ちに納得。 |

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そうですよ、清水監督の自由なロケシーンにびっくりしますよね。
高峰が若く、美しいんですよね。
ラストシーンは本当に良いですよね。
2009/4/17(金) 午前 0:30 [ ひろちゃん2001 ]
とってもいいレヴューです。丁寧な景描写読んでいると、場面が目に浮かびます。
「むかしの歌」と同じく、出合えるかどうか分かりませんが、徳さんの「勘」の良さと、展開とカメラワークの見事さ、味わってみたいです。
ポイントを抑えた簡潔な文章“傑作”です。
2009/4/17(金) 午前 1:17
このころの高峰三枝子では「浅草の灯」という映画を観たことがあります。華奢で可憐なイメージですね。この作品は知りませんが観たくなりました。
2009/4/17(金) 午前 6:49
ひろちゃん2001さん
清水宏監督が映像作家であることを感じました。
さらに、脚本も独特なセリフが面白かったです。
ラストも含めて、按摩が主人公なため、より映像的なシーンが印象強いです。
2009/4/18(土) 午後 8:49
alfmomさん
いい映画に出会えると、生きていてよかったと思います。(かなり大袈裟、笑)この映画もすばらしい映画でした。機会があれば、ぜひ観てやってください!
2009/4/18(土) 午後 8:55
ヒッチさん
この映画は傑作だと思います。ぜひぜひ、オススメです。
2009/4/18(土) 午後 8:57
映画の様々場面が、美しく蘇るような
素晴らしいレヴューです。
“さらに、ドキドキしたシーンがある。
高峰三枝子が按摩徳さんを呼んですれ違っても、声もかけずに笑いながら逃げていく。”
本当に見事な場面でした。このシーンを創りだした監督、捉えたカメラマン、
要望に確実に応えた高峰三枝子、本当に素晴らしかったです。
生きていて、この映画に出合えて、よかった〜!
2014/2/2(日) 午後 9:53
alfmomさん
いや〜、嬉しいですね。映画はマジック、イリュージョン、一期一会ですね。私もこの映画に出会えてほんとよかったと思います。
2014/2/3(月) 午後 9:32
ほぼ、日本映画の宝レベルです、、、
2018/5/9(水) 午前 9:33 [ たっふぃー ]
> たっふぃーさん
納得です、歴代ベスト10には入れてほしい。
2018/5/10(木) 午後 10:39