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2009年5月8日、新文芸坐「名匠小津安二郎 銀幕の芸術」にて。 1942年度作品。 脚本:小津安二郎/池田忠雄/柳井隆雄 撮影:厚田雄春 出演:笠智衆/佐野周二/水戸光子/佐分利信/坂本武 子供(佐野周二)にとっては、母親も早くに死に、中学から寄宿舎に入ったので、父親とも一緒に生活したことがない。 だから、お互いを思いやり、わずかな時間を大事に過ごす。 子供の頃に父親と川へ出かけ、魚釣りをする。 二人ともまったく同じ動作で川に竿を投げる。竿を上げる。また竿を投げる。 その後、子供が大人になって、魚釣りをする。 子供の頃と同じように、竿を投げる。竿を上げる。また竿を投げる。 まったく同じ動作。 何もしゃべらずとも、お互いの気持ちが通じ合うとてもいいシーンだ。 このシーンは好きです。 佐野周二は父親を尊敬しているし、一緒に住もうとも思っている。 佐野周二はその素直な性格を表すかのように、澄み切った目をしている。 父親は、子供に自分が信じることをやるように促す。 こうして、たまに会えることで充分だと。 父親も子供もあまりに理想のような人物像。 自分は、ちょっとダメなヤツだったり、それでもちょっと頑張っている姿に共感するきらいがある。 だから、この映画はあまりに父親も子供も立派すぎて自分は恐縮しまくりだった。 1937年の「花形選手」で笠智衆と佐野周二は同じ大学生を演じている。 5年しか経っていないのに、親子とは。この映画では笠智衆38歳、佐野周二30歳。 笠智衆の老け役はすごいし、佐野周二が逆に若々しいふりも捨てがたい。 ちなみに1944年度の「還って来た男」でも、この二人は親子役を演じている。 小津監督ではよく見かける同窓会も登場、ローアングルや人物がいない家屋のカットもたびたび使用されている。独特の映画作りは、この映画ですでに確立されていた。
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「笠智衆38歳、佐野周二30歳」だったのですか、驚きです。
笠さんは本当に素晴らしい役者ですね。
余りに二人の心が清らか過ぎて、受け入れがたいと感じる人もいるのではと思いましたが、私はその「理想の生き方(死に方)」に心から安らぎを感じました。
2009/5/15(金) 午前 1:32
笠智衆はこのころから晩年までずっと老け役のままですね。私もこの映画では、川釣りのシーンの相似の構図が好きです。父子の関係を象徴的に表していました。
2009/5/15(金) 午前 6:46
私も、この映画は戦後の小津パターンの映画の原型の面であったと思います。
私は、松竹で販売しているビデオを見たのですが、ほぼ台詞が聞き取れなかったので、残念でした。
2009/5/15(金) 午後 1:15 [ ひろちゃん2001 ]
alfmomさん
この映画は笠智衆のための映画だったと思います。
先生時代に生徒を亡くしてしまった時の早口で高揚してしゃべるところ、子供と話をする時の会話、年とってからの温和な口調、すばらしかったです。自分にはまだまだ人生経験が少ないか性格が歪んでいるのか、父親の死に安らぎを感じることができませんでした。
2009/5/15(金) 午後 9:35
ヒッチさん
川釣りのシーンは好きですが、川釣りの相似の構図の意図は何なのでしょうか?同じことをすることで子供は父親へ愛情の思いを表しているのでしょうか。
2009/5/15(金) 午後 9:41
ひろちゃん2001さん
書き忘れましたが、DVDと同じように音声はひどかったです。
教えてください。この映画はお好きなのでしょうか。
2009/5/15(金) 午後 9:43
嫌いじゃないですよ(詳細は記事にしてます)。
でも戦後の傑作群に比べると、やはり完成度が落ちますね。
戦前の小津映画は喜八ものの方が良かったと思います。
2009/5/15(金) 午後 10:59 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃん2001さん
小津作品はお好きのようですね。
最近、無声映画「出来こころ」を観ましたが、寅さんのような話でした。
2009/5/16(土) 午前 10:35
alfmomさん
ちょっと言い方が間違っていました。
安らぎではなく、残念ながら感動できなかったです。
2009/5/16(土) 午前 10:37
小津監督といったら、笠智衆さんを連想してしまいます。それにしても、お若いですね。同い年を演じていたのに親子を演じるようになるとは驚き。演技力があったからこそですよね。
2009/5/16(土) 午後 1:58
金平糖さん
コメントありがとうございます。
笠智衆はワンパターンの演技に見えますが、若い頃、中年、老年それぞれの年代、わざとらしさがない素晴らしい演技でした。
2009/5/16(土) 午後 9:17
松竹調はどちらかと言えば苦手なんですが、小津だけは別格です。
小津の戦前の映画では「東京の宿」(喜八もの)がお勧めです。
2009/5/16(土) 午後 10:28 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃん2001さん
「東京の宿」は覚えておきます。機会があれば観てみたいです。
2009/5/17(日) 午後 1:02
この作品を見たなら、ロバート・デ・ニーロの俳優魂を語る前に笠智衆をまず語れと、思わず言いたくなりました(笑)
この作品、旧ソ連に押収され、その後返還されたそうですが
「父、帰る」は、もしかしたらこの作品が元ネタだったと思いませんか?
トラバお願いします♪
トラバ、お願いします♪
2017/1/10(火) 午後 9:26
> ベベさん
「東京物語」の笠智衆をすぐ思い出します。喜びも悲しみも同じ口調で朴訥と語るシーンに涙します。素晴らしい俳優さんだと思います。「父、帰る」ですか、逆説的な描き方でしょうか。
2017/1/10(火) 午後 11:33