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2009年5月13日、新文芸坐「名匠小津安二郎 銀幕の芸術」にて。 1933年度作品。 原案:ゼームス槇 脚本:池田忠雄 出演:坂本武、伏見信子、大日方傳、飯田蝶子、突貫小僧、谷麗光 初めて無声映画を観た。 しかし、活弁士もなく、音楽もなく、ほんとに無声上映だった。 昼の上映は活弁士も音楽もありで、夜の部だけこういう仕打ち(ちょっと言いすぎ)はいかがなものか。 それにしても緊張した。なにせ、映画に「音」がないんだから(無声だから当たり前だけど)。 観客は咳もできないし、シーンとした映画館で、ただただ前を向いて字幕を追っかけていた。 最初はとまどいながら字幕をゆっくり見ていたら、結構早く次の画面へ進む。 これはまずいと調整すると、少しづつ要領を得てきた。 そのうち、人物が冒頭のセリフを少し言うと、すぐ字幕になり、そのあと人物の残りのセリフを言うことがわかってきた。「ほほう、なるほど」、ちょっとうれしい。 それでも、昔の無声映画の上映は、活弁士と音楽伴奏だったと思うので、こんな静かな環境で観る活動映画としてはどうなのかな。「ことば」や「音」は、無声映画であっても、重要な表現だと思うので、そういう意味では映画本来の評価をできないのではと思ってしまう。 いちゃもんの前置きが長かったですかね。 この映画、たとえば寅さんに子供がいて、恋をして、振られるというような映画と言えばいいだろうか。 喜八もの”と呼ばれる下町人情喜劇。長屋に住む男やもめの喜八(坂本武)は息子の富夫(突貫小僧)と二人暮らし。隣には気の合う次郎(大日方傳)が住んでいる。ある日喜八は、身寄りのない娘春江(伏見信子)と出会い、あれこれと世話を焼き、彼女にぞっこんとなる。が、春江は喜八の仕事仲間の次郎に思いを寄せていた。それを知った喜八は2人を結びつけようと力添えをする。そんな時、息子が食べ過ぎで病気になり、生死をさまようがなんとか無事助かる。しかし、入院費を支払うお金がない。 そのため北海道へ出稼ぎに行くことを決めるが、船の中で急に息子が恋しくなり、千葉近くの川に飛び込み、泳いで東京に帰る。 北海道に行く船から、突然帰りたくなって川に飛び込むのを観て、寅さんのおいちゃんが「馬鹿だね〜」と言った言葉を思い出した。 それにこの川に飛び込んだことが「出来ごころ」のタイトルの意味らしい。なんともおかしなタイトル。 日頃は喧嘩ばっかりしている喜八親子だけど、春江に振られて仕事も行かなくなったため親父を息子が泣きながら殴るシーンや息子が病気になった時の喜八の心配するシーンに親子の愛情を感じることができた。 それでも、やっぱり、活弁士つきで観たかったよなあ〜。
正直ちょっと物足りなかった。 ちなみに、原案のゼームス槇は小津安二郎のペンネーム。 |

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戦前の小津は喜八ものですよね。
私も、同感です、小津の名作を含めて、松竹自身が、「オリジナルが大切であるから」と無音のままで放送する神経がゆるせない。
日本の映画会社は、本当に映画を愛していないのが見え見えですね。
チャップリン、グリフィス、ラング等々世界のサイレント映画の名作はしっかりと音楽を付け直して、字幕もしっかりと作り直して映画ファンに供給して、リバイバルで再評価にもつながっています。
映画は金を払って見せるのであるなら、みんなが楽しめるように最善を尽くして欲しいですよね。
無音の映画をじーと見るなんて研究家か?我々は?と思います。
2009/5/18(月) 午後 11:09 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃん2001さん
あまり知識がないんで、サイレント映画の上映でもこういう上映方法もあるのかと思っていました。特に人情喜劇をこの静けさの中で観るのはつらかったです。
2009/5/18(月) 午後 11:57
確かに劇場での完全サイレントは周りに迷惑をかけないようにと緊張感が伴いますね。先日観たキートンが完全無音でしたが、笑が起こるまでそんな感じでした。私はDVDで小津の無声映画を順に自宅鑑賞していますのでその心配はありません。
2009/5/19(火) 午前 5:52
ヒッチさん
そう、いつものトーキーと違い、かなり緊張しました。一人感情の起伏が激しい人がいたので、よけいに変な感じでした。素直に活弁でも音楽でも音がある方がいいですね。
2009/5/19(火) 午後 8:17
今の映画館の形態であれば、楽団・弁士は難しいですね。
なので、今の映画ファンでも映画館でも見れるように、音楽を追加して、字幕も現代語に直して欲しいですね。
貴重な古典映画であるので、(一部の映画マニアだけでなく)一般の人も見れるような工夫をしてもらいたいですね。
2009/5/19(火) 午後 9:35 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃん2001さん
まずは活弁士はつけてほしいですね。無声ならおっしゃるとおり字幕は現代語に変えてほしいです。自分の歳でも読めませんからね。
2009/5/20(水) 午前 0:16
記事アップしましたのでTBしておきますね。次回みるときは「活弁」つきとしたいものです。本作なら、突貫小僧とのシーンなど弁士の腕の見せ所が多そうな気がします。
2009/8/7(金) 午前 6:56
ヒッチさん
あまりに映画館が静かで緊張しました。こういう人情喜劇で緊張するなんて監督が意図していることではないでしょうね。「活弁」つきだともっと違った映画に感じていたでしょう。
2009/8/8(土) 午前 3:27