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2009年5月22日、神保町シアター「日本映画★近大文学全集」にて。 1939年度作品。 脚本:八住利雄 出演:山田五十鈴、堤真佐子、 高田稔、 英百合子、 宮川照子、 高峰秀子、 椿澄枝、清川虹子 チケットの番号が99番目。この映画館の定員は99人。補助席なし。 私の後ろに並んでいた人は入場できず。 こんなこともあるんだ。これはこの映画と絶対赤い糸で結ばれているはずだ。 運命としかいいようがない。 そう思いながら、期待に胸を膨らませ。 この流れであれば、「ブラボー!」と言いたいところだが。 残念ながら、そこまでの最高級の評価にはできなかった。 でも、上のランクに入る、なかなか趣のある、いい映画だった。 実は私は並木鏡太郎という監督の名前すら知らなかった。 それなのにこの入場者数はいったいどういうことだ。 映画マニアがどうも神保町には集まるようだ。 冒頭、雨の降る夜に樋口一葉(山田五十鈴)の草履を履いた足元が写される。 この映画の詩的な映像が、いい映画の予感がする。 あらすじ・・・ 樋口一葉(山田五十鈴)は、ほのかな愛を抱いていた半井桃水(高田稔)に文才を認められるが、周囲の噂や嫉妬に耐えられず交際を絶つ。生活のために荒物屋を開く一葉。そこで出逢う下町の人々は、「たけくらべ」や「十三夜」から抜け出てきたかのようだ。一葉の半生を縦糸に、彼女の小説世界を横糸に織りなしながら、硝子障子越しの夜半の時雨、降りつむ雪までが細やかに描かれている。 樋口一葉の小説は読んだことがないが、新人類のような積極的で力強い女性ではなく、あくまでも、つつましやかな明治の女性だ。 その樋口一葉の恋、最後に訪れた半井桃水の家には結婚した妻がいて、ショックをうけて、病気になってしまう。 山田五十鈴が激情的でなく日頃から冷静な表情を浮かべていることで、より悲しみが増す。 少女(高峰秀子)が、吉原遊郭への頑丈な鉄門の中に連れて行かれる時の淡々とした描写。 二度とそこから出られないことが想像でき、見る側に少女のこれからの人生の辛さが伝わってくる。 その少女に淡い恋をしていた少年が、一輪の花をその少女の家の玄関に差して帰る。あざといと言えばそれまでだが、流れの中でその描写は気持ちがいいぐらい情緒的な趣を持つ。 あまり感情的な表現は使わず、雨、雪といった風景画のような中で、静かに人物を写しだしたとてもいい映画だった。 ちなみに、樋口一葉は肺結核で24歳で亡くなってる。なんとも若くして死んでしまったようだ。
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「チケットの番号が99番(定員は99人、補助席なし)。私の後ろに並んでいた人は入場できず。」
この時のshirakansuさんの喜びが手に取るように分かります。
私も昨秋、落合恵子氏の講演を聞きに行って本を購入し、サインをしてもらう為に並んだのですが、「飛行機の時間があるので全員には出来ないかもしれません」と言われて並び続けること数十分。ナント!サインは私で「終わり」でした。その時の感激を思い出しました。
樋口一葉はそんなに短命だったのですね。
古い日本映画の情緒、いいですね。私も浸りたい気分になりました。
2009/5/29(金) 午前 3:36
そうなんですよね、めっちゃ感激ですよね。何かめぐりあわせみたいな運命的なものを感じますよね。映画を通じて調べものをすると色々と勉強になります。樋口一葉の作家人生は14か月で、「たけくらべ」「にごりえ」などを送ったらしいです。その短い間であっても、世の中に残っているということは、よっぽど凄かったんでしょうね。
2009/5/29(金) 午後 10:23
「99番」!すばらしい!(笑
少し前まではリハビリでも明治生まれの方がいらっしゃいましたが、
さすがに最近はみかけないです。
2009/5/30(土) 午後 5:52
さわらびさん
こういうこともあるんですね。もう宝くじ当たりそうにないですね。
明治の人がいなくなって、明治も遠くなりましたね。特に若い人は明治生まれの人を知らないんですから、江戸と同じ感覚なんでしょうかね〜。
2009/5/31(日) 午前 0:22