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丹下左膳餘(よ)話 百萬両の壺 2009年5月30日、ラピュタ阿佐ヶ谷「西山洋市Presents!役に立つ山中貞雄」にて。 1935年度作品。 脚色:三村伸太郎 出演:大河内伝次郎、喜代三、沢村国太郎、宗春太郎、花井蘭子、高勢実乗、鳥羽陽之助 期待していたとおり、とても面白かった。いやそれ以上だった。 映画が終わって思わず拍手しかけたほど楽しく、幸せな気分になった。 最近、戦前の映画を観ているが、その中でも、抜群だ。 脚本に無駄がなく、一つ一つのエピソードがちゃんと繋がっている。 ギャクのセンスも素晴らしく、画面の省略も見事で、テンポもいい。 どれをとっても一流の技だ。 山中貞雄監督、26歳の作品。 1938年、29歳で出征先中国で死亡。 監督作品21本で現存しているのは3本で、1本はこの映画、残る2本は「河内山宗俊」「人情紙風船」。 見る前には、もっとチャンバラ映画かと思っていたが、まったくもって人情喜劇だった。 とある小藩に伝わるこけ猿の壺。実はこの壺に先祖が埋め隠した百万両のありかが示されていることが判明する。だが、壺は先日江戸の道場屋敷に婿入りした弟・源三郎の婿入りの荷物へと。やがて、その壺は屑やを介して少年・安吉の金魚入れとなる。そして、その壺をめぐって藩主と弟との争奪戦。 争奪戦と言っても、殺伐としたものではなく、いかにも呑気な争奪戦のお話。 というのも、この弟(沢村国太郎)が気弱で呑気でおもろいやつで、奥方(花井蘭子)にも頭があがらない。 壺を探すといいながら、的屋(弓で的を当てる遊戯店)にあしげく通い、探すつもりが毛頭ない。 「10年かかるか、20年かかるかわからない」と言いながら、毎日楽しそうに的屋に通う。 的屋の女主人(喜代三)と丹下左膳(大河内伝次郎)の掛け合いのセリフも面白い。 「安吉を道場に通わす」「いいえ、寺子屋に通わすわ」と左膳と女主人が言い合いになり、左膳が「金輪際、安吉を道場に通わす!」と言いきる。次のシーンは左膳が安吉が書いた習字を見ながら「なかなか上手に書いているじゃないか〜」とほくそ笑むシーン。万事この調子。すいません、説明がへたでうまく伝わらないですよね。 でも、この笑いには、2人の安吉への愛情が感じられるから、とても幸せな笑いなんです。 その他にも、なんとも言えないおかしいシーンが盛りだくさん。 ある事件で、60両が必要になった左膳が、道場破りに行った先が、偶然、顔見知りの弟(沢村国太郎)の道場だった。 弟は滅法弱いので、左膳に耳打ちをして60両で負けてくれるように頼む。 弟と左膳のとぼけた表情、言い回しに笑える。 また、この道場破りのシーンの大河内伝次郎の片腕での立ち回りはすごかった。 このシーンだけでも観る値打ちがある。 いやあ〜、見どころいっぱいで書きつくせないなあ。 映画を観終わって、西山洋市監督(実は自分はあまりよく知らない)のトークショーがあった。 この映画と「千と千尋の神隠し」は似ていると。少年少女の成長の映画だと。 安吉は父親の思い出である壺をいつも抱えている。そして、壺をはなし始めるが、ある事件で家出をする。そこからまた、壺を抱え始める。子供の親離れの映画だという。確かにそういう見方もあるようだ。 また山中の映画は「経済活劇」だと。お金によって映画が動き出すと。なるほど、面白い視点だ。 ちなみに今、このDVDを1000円で売っています。もし、興味をお持ちの方は是非とも、お薦めです。
私も買ってしまいました。でも、機会があれば、ほんとは映画館で観てほしい映画です。 |

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迎春 おめでとうございます。
ヤフープログ画像で 丹下左膳を 検索中です。画像を見ながら
ランダムにコメント中です。私は 丹下左膳を 知らない世代です。
丹下左膳は どの役者が いいかなぁ?最近だと トヨエツですね。
丹下左膳で 動画 見に行ってきまーす
時代劇同好会(名前検討中 丹下左膳を語る会
2012/1/3(火) 午後 8:25 [ 村石太&鞍馬天狗 ]
村石太&鞍馬天狗さん
すいません、丹下左膳はこの映画しか見れてません。トヨエツは市川崑のTVドラマでしたでしょうね。
2012/1/4(水) 午後 9:00
こんにちは。
映画や文学のブログを書いています。
今回は「丹下左膳余話 百万両の壺」について書きました。
よかったら覗いてください。
2012/6/28(木) 午後 2:19 [ ふじまる ]
ふじまるさん
私にコメントくださるなら、ふじまるさんのこの映画の感想のコメントもいただきたいですね。
2012/6/30(土) 午後 7:37
TB、有難うございました。
教えて頂いたのは5年も前のことだったのですね。
「争奪戦と言っても、殺伐としたものではなく、いかにも呑気な争奪戦のお話。」
こののどかで暖かな雰囲気がとても良かったです。
鑑賞後は、shirakansuさんと全く同じ気持ちでした。
戦前の邦画の素晴らしさ、
今少しずつ見て行きながら、深い感動を味わっています。
2014/6/8(日) 午前 4:00
alfmomさん
おとぼけ争奪戦で、愛情こもったユーモアが楽しい映画でした。今の
時代でも十分通用する稀有な映画、語り継がれる映画だと思います。
2014/6/8(日) 午前 9:30
こんばんわ。
この映画、とにかく楽しくて大好きな映画です。私が日本映画にハマるキッカケが山中貞雄とマキノ正博(雅弘)でした。
一つの壷を巡って目まぐるしく物語が動いていくんですよね。大河内傳次郎の今で言うツンデレ?が可愛い。
マキノ正博(雅弘)と山中貞雄は戦前日本映画の面白さを証明する最高の映画監督たちです。
何処かに山中貞雄の失われたフィルムが眠っていないでしょうかねえ・・・。長文、失礼いたしました。
2014/9/28(日) 午後 7:29 [ すかあふえいす ]
scarfaceさん
はじめまして、コメントありがとうございます♪
自分も大好きです。戦前のマキノ正博(雅弘)は特に好きですね。この映画の大河内傳次郎は可愛いですね。否定したあとの肯定の可笑しさは抜群です。才気溢れた人の映画に触れたことに感謝です。まったく同感です。ほんと山中貞雄の作品が3本とは、ちと寂しすぎます。
2014/9/29(月) 午後 10:00
シーラカンスさん、私のブログへのご訪問、誠に感謝です。
山中貞雄作品で断片だけ残る作品もありますが、その中で「磯の源太・抱寝の長脇差」は凄いです。
フィルムは戦闘シーンだけなのですが、ほぼ完全な形で残る3本の作品とは違う殺陣、とりわけ鍔迫り合いや脚で敵を蹴り飛ばす描写。
現存する3本とは毛色が違うのではとビックリしました。もしも完全なフィルムが見つかるのなら・・・是非とも誰かに発掘してもらいたいです。
2014/9/29(月) 午後 11:43 [ すかあふえいす ]
追記です。
日本は失われた作品が余りに多くて哀しいです。
それでも、残っているフィルムをこうして見れた事は大変素晴らしい事だと思います。フィルムを守り発掘して下さった人々には感謝してもしきれません。
長文、失礼致しました。
2014/9/29(月) 午後 11:44 [ すかあふえいす ]
scarfaceさん
そうですか、3本とも違うアクションですか、興味が湧きます。なんとか探しだしてもらって、この目で観たいです。天才の映像に触れてみたい。
2014/10/1(水) 午後 10:34
scarfaceさん
貴重な映画を、それも映画館で観ることができて、ほんとにうれしいです。感謝しきりです。
2014/10/1(水) 午後 10:37
何回見ても面白い映画です。
左膳とお藤の会話。源三郎と萩乃の会話。
百万両よりも自由が欲しいという気持ちが羨ましいです。
TBさせてください。
2014/10/30(木) 午前 8:46
ギャラさん
見事な映画ですね。会話の妙、逆説ユーモアのセンス、一流の技ですね。百万両よりも自由が欲しい、なるほど自由ですね。
2014/11/1(土) 午前 0:30
こんばんは。
黒澤明や小林正樹などによるリアリズム重視の重厚な時代劇も良いですが、本作のようにコメディタッチで軽快な時代劇も良いです。時代劇というジャンルの幅を広げてくれる作品です。
TBお願いします。
2016/2/28(日) 午後 11:52
> k-k-kentaroさん
そうですね、特にこの映画にはユーモアの裏に愛情が溢れていて実によくできた時代劇で大好きな映画です。もっと高い評価をされてもいいと思うのですが、一般には知名度は低いです。
2016/2/29(月) 午後 11:56
あけましておめでとうございます♪
これはお正月にみるのにぴったりな気分の良くなる作品ですね!
丹下左膳がとにかくチャーミング
この作品を見たなら左膳ファンにならずにはいられません(笑)
1958年のリメイク板も良かったです
トラバお願いします♪
2017/1/1(日) 午後 3:37
> ベベさん
あけましておめでとうございます♪
そうですね、気持ちが豊かになりますね。
若い人がこの映画を楽しいと思ってくれるだけで、めっちゃ嬉しいです。ありがとう!
2017/1/1(日) 午後 9:46
こんばんわです。度々失礼いたします。
こういう映画に若い内から出会える・めぐり逢わせてもらえる幸せと言ったら本当にないですね。
あらためて、TBさせて下さい。
2017/1/20(金) 午後 11:19 [ すかあふえいす ]
> すかあふえいすさん
何回もコメントありがとうございます。いい映画ですね〜、もう一度映画館で観たいです。極上の幸福感に浸りたい。
2017/1/21(土) 午後 11:33