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まず「対人地雷」という一種デリケートで珍しい題材が気になった。 「対人地雷」のミステリー6話連作短編、力作揃いだと思う。 ただ、対人地雷に関係のない最後の7話はこの小説には入れずに、別の短編集に入れた方が 全体のバランスとしてはよかったのでと感じてしまう。 年代ごとに「対人地雷」の状況は変化している。 1997年オスロで対人地雷全面禁止条約採択(軍事大国抜き)、日本も署名。 その事件発生年がそれぞれのタイトルに併記されている。 犯人を見つけても警察には知らせない。 その犯人がいなくなることでその国の地雷除去が遅れる、発展が遅れる。 犯人がこれからその国の将来にどれだけプラスの影響を与えるかをひとつの判断基準とする独特の哲学。 ある短編の犯人が、その後の短編の中で、地雷除去について中心的な役割で活躍していることが分かる。 「対人地雷」についてこの本の中から引用・・・ 「対人地雷」は殺す兵器ではない。 大怪我をさせることで1名の負傷者を運ぶために2名の兵士が必要になり、合計3名敵兵力を削減できる。 さらに、負傷者がもがき苦しむことで恐怖心を植え付けることができる陰湿な兵器だ。 また実際には存在しないドリアンという「対人地雷」を作者は考える。
将来のダメージを残さない一過性の対人地雷。 2か月経過すると土に埋めた地雷は生分解性プラスチックで作られているため、無効になると言う。 しかし現実にはありえないようだ。 もしこういう対人地雷が発明されたら、戦後、民間人が地雷を踏んで足を失くすといった苦悩は救われる。 すべての兵器が無くなることは確かに現実的に難しい。 ドリアンを考えだした作者の思いが感じられる。 |
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対人地雷を選んで6作品というところに、石持さんの自信と情熱が現れているように思いました。
また、本来の司法手続きにのせない、解決の仕方、時には「それは違うんじゃない?」と思うこともあるのですが、本作は私も納得できました。対人地雷が今も持つ根深い被害が根底にあるのでしょうね。
こちらからもトラバさせてくださいね。
2009/7/5(日) 午前 2:26 [ とくだ ]
プラチナさん
社会、個人の関わりをミステリーである娯楽作品の形にして、うまくできあがっているなあと感心しました。「対人地雷が今も持つ根深い被害が根底にある」、おっしゃるとおりその意図が伝わってきますね。
2009/7/5(日) 午前 8:20