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解説によると・・・ 15歳のぼくは、母親といってもおかしくないほど年上の女性と恋に落ちた。「なにか朗読してよ、坊や!」──ハンナは、なぜかいつも本を朗読して聞かせて欲しいと求める。人知れず逢瀬を重ねる二人。だが、ハンナは突然失踪してしまう。彼女の隠していた秘密とは何か。二人の愛に、終わったはずの戦争が影を落していた。 ネタバレあります。 ハンナが何故自殺したのか、それが一番のショックでした。 ナチスの親衛隊として勤務中、爆撃により閉じ込めていた囚人を逃がさなかったため死に至らしめた罪で刑務所に入り、恩赦により刑務所を出ることが決まり、出所後も「坊や」が世話をしてくれるということも決まっていた矢先のことだった。 文盲であった彼女が刑務所の中で文字を覚え、強制収容所に関する本を読みあさっていた。 しかし、それはあくまでも頭の中での考え方であって、現実に出所したあとの「坊や」とのやりとりに不安を抱いていたせいかもしれない。 アンナ=ナチスの犯罪という図式の時、アンナ(旧世代)はその後ドイツの新しい世代である「坊や」を悩ませたくないという思いで死を選んだのだろうか。 その衝撃にまだ気持ちは揺さぶられている。 この小説を読んで、また色んなことを考えさせられる。 戦争のこと、戦争犯罪者のこと、ナチスの戦争犯罪がその後のドイツ人に与える影響、またはたして日本は自分はどうなんだろうかということ。 哲学者であるため、主人公が悩む箇所は、幾分硬い文章のところもあるが、アンナとのやりとりは、読みやすい。 ちなみに、この小説は「愛を読む人」というタイトルで映画化されているが、観ていない。 小説がよかったので、映画を観る気があまりしない。 表紙の絵が、不安定な気持ちを表わしていて、とても気に入っている。
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TBありがとうございました。ハンナの最期、衝撃的でしたが、同時に「やっぱりそうか」と思っている自分がいました。出所したところで、幸福を得られるような自分ではない、と静かに諦めていたような気がします。でも、まったく見当違いかもしれません。いつまでも考えさせられる物語です。
2009/8/15(土) 午前 1:20
映画を見ました。
少年の彼女を慕う心、彼女が少年に抱いた気持ち…
最も肝心な所の描き方が、私には不十分に思えて消化不良に終わった映画でした。
余りに多くのことを映画の中に描きこもうとした為に、
無理が生じたのではないかと思いました。
原作を読むべきだったと思いました。
彼女の自殺については、boyattoさんと同じ気持ちです。
「出所した所で、何が自分を待っている?」という諦観。
彼女は看守時代の罪を償い終えた事で、自分の人生の終結を感じたのではないかと思いました。
2009/8/15(土) 午前 5:35
boyattoさん
コメントありがとうございます。
恩赦で出所することが分かっていて主人公の世話になることも分かっていたので、主人公とのこだわりが自殺へと導いたのでしょうか。文字を勉強することで犯罪の重みを余計に感じたのか。一人の生活なら自殺しなかったような気もするし、いやなら恩赦も拒否できたんでは、主人公が彼女に老人の匂いを感じたことにショックを受けたんでは、とかいろいろ考えてしまいます。
2009/8/16(日) 午後 10:37
alfmomさん
映画を観られたんですね。
もしかしたら原作の内容をすべて映画に入れ込んだんでは。原作はいろんな要素が盛り込まれていますが、丁寧にかかれているのでじっくり味わえます。それにしても、ハンナは本当に罪を償い終えたことで死を選んだのでしょうか。主人公への「愛」に、主人公が答えてくれなかったからではないかと考えてしまいます、戦争犯罪も含めて。よくわかりませんけど。色々考えてしまう小説は好きです。小説をお薦めします。
2009/8/16(日) 午後 10:56
TBありがとうございました。主人公の心理描写がとても巧みな作品ですよね。
ハンナの自殺理由については、私も出所後の人生に幸せはないと悟ったからだと思います。「燃え尽きた」という状態だったのかもしれません。
2009/8/21(金) 午前 0:43
寛野ひろみさん
コメントありがとうございます。ハンナの自殺はみなさん同じ感想なんですね。でもそれは主人公と再会して、出所しても人生に幸せはないと思ったんなら、彼の行動やセリフがそうさせたんでしょうね。む〜ん、奥が深いです。
2009/8/21(金) 午後 10:34
ハンナがなぜ字が読めないのかということが気になりました。48ページに「彼女はジーベンビュルゲンで育ち…」とあり,ジーベンビュルゲンに「現在はルーマニアになっている地方」という訳注がついています。それから考えると,彼女はヨーロッパで最も差別されていたロマだったのではないかと思いました。そうだとすれば,とても複雑で,救いようのないほど悲しい物語だと思いました。
2018/7/28(土) 午前 0:58 [ 飛行機雲 ]
> 飛行機雲さん
ロマ人というとジプシーをすぐ思いうかびます。ナチスもロマ人を迫害していたらしい(永遠のジャンゴより)、とすると隠していた可能性が高いです。文盲を隠していたのは、出生まで引き出されて、蔑まされることを恐れたのかもしれませんね。ハンナの過去が明らかではなく、色んな思いを抱きながら自殺したのが今も辛くて悲しい。
2018/7/29(日) 午後 4:31