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1996年作品。 解説によると・・・ 勤め先の二階にある「名探偵・巫(かんなぎ)弓彦」の事務所。わたし、姫宮あゆみが見かける巫は、ビア・ガーデンのボーイをしながら、コンビニエンス・ストアで働き、新聞配達をしていた。名探偵といえども、事件がないときには働かなければ、食べていけないらしい。そんな彼の記録者に志願したわたしだったが…。真実が見えてしまう名探偵・巫弓彦と記録者であるわたしが出逢う哀しい三つの事件。 「三角の水」「蘭と韋駄天」「冬のオペラ」の連作短編集。 北村薫さんの小説は「空飛ぶ馬」に続いて2冊目。 相変わらず語り口は滑らかでスマート。 「名探偵は、行為や結果ではないんですか」と聞かれ、 「いや、存在であり意志です」と言い切る巫が面白い。 「巫」を「かんなぎ」と読めずに、本の解説に書かれた「巫」のルビを何度見たことか。 不思議なもので、事件の内容や解決されたトリックらしきものよりも、姫宮あゆみと巫弓彦のやりとりの方が面白い。 また「仏舎利殿から歯を盗んで逃げた足の速い足疾鬼を追いかけたのが韋駄天」というようなたとえを使いながら事件を解決していく余裕もいい。 最後の「冬のオペラ」はちょっとトリックにこだわってしまっている気はするが、人の心の怖さを明かすくだりも用意され、ダイイングメッセージから犯人の名前を当てるラストも鮮やかです。 流暢な語り口、落ち(犯人当て)の見事さは、まるで名人の落語を聴いているようだ。
しかし、標準以上ではあるが、飛び抜けてすばらしいというほどでもない。 敢えていうと、あまりにきれいすぎて、荒削りがなく、職人がつくる美術品のようにも感じた。 それが、北村薫さんの個性なのかもしれない。 大人の味わいとでもいいましょうか。 |
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大人の味わいですか〜
私はこの本、以前に読み始めたけど、なんだかお上品すぎる感じがして、途中でくじけてしまったのですよね。
少し大人になった今ならまた違った味わい方ができるかしら。
2009/8/24(月) 午後 5:25 [ とくだ ]
プラチナさん
自分がもし若い頃読んだとしたら、刺激が薄くスマートすぎて退屈だったかもしれません。韋駄天の話もわざとらしく思えたものも、それはそれでいいのではと感じます。たとえば笑えない名人落語のようなものでしょうか。自分はまだ笑いたいんで中途半端ですが。
2009/8/24(月) 午後 10:57