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その木戸を通って 2009年11月30日、新文芸坐「気になる日本映画たち2009年上半期のベストセレクション」にて。 1993度作品。 監督:市川崑 原作:山本周五郎 脚本:中村努、市川崑 出演:浅野ゆう子、中井貴一、フランキー堺、井川比佐志、岸田今日子、石坂浩二、神山繁、江本孝明 素晴らしかった。 解説によると・・・
城勤めの無為な日々をおくる主人公・平松正四郎(中井貴一)のもとにある日やってきた、記憶喪失の娘、ふさ(浅野ゆう子)。彼女の純粋な魂は、やがて正四郎の人柄と人生を徐々に変えてゆく・・・。はじめは迷惑がった正四郎だが、次第にふさを愛するようになり結婚する。しかし、ふさは娘を産むと唯一の記憶の手がかりだった幻の木戸を通って姿を消してしまう。そしてクライマックス、正四郎が幻の“木戸”に去って行ったふさの幻影を見るが・・・。淡々とした夫婦の年代記の中に、日常生活のかけがえのなさ、人間同士の思いやりとやさしさ、人の真心が人の頑なさをおだやかに解してゆくさまを描き、静かな感動を呼ぶ。
2008年2月に92歳で他界した巨匠、市川崑監督。70数本におよぶその作品歴の中で、生涯ただ一本、未公開となっていたのが本作『その木戸を通って』だ。わが国初の本格的長編ハイビジョンドラマとして1993年8月に完成しながら、その後BSで一度だけ流れた以外、人の目にほとんど触れることなく眠っていた本作品は、まさに“幻の逸品”。リリカルな正統派ドラマとしての気品と、市川監督ならではの映像美をあわせ持った、まさに宝石のような珠玉作である。もう一度、ほんとによかった。 切ないストーリーと市川崑監督の映像マジックが見事に溶け合って、見応え十分な作品に仕上がっていた。 なぜこの映画が当時未公開になっていたのか不思議でしようがない。 それだけ、日本映画の状況が悪かったということでしょうか。 市川崑監督が亡くなってようやく陽の目を見たことは、不幸なのか幸せなのか。 いやいや、この映画を観れたことは最高の幸せ。 記憶喪失のふさは、正四郎の妻となってから、記憶が戻ることに不安だった。 記憶が戻るとこの家から出ていくことになるのではないかという予感を感じていた。 正四郎も、ふさに記憶が戻ってほしいような、ほしくないような微妙な感情の揺れ。 この二人のデリケートな気持ちを思うと気持ちが切なくなる。 市川作品の中では、こんなに気持ちを込めた話は珍しいのではと思う。 そして、よりその切ないストーリーを際立たせるかのような映像処理。 ある時は白黒の画面の中で、唯一ふさの姿だけがカラーに。 また、ある時は柔らかいぼかし映像。 またまたある時は、緑の美しい竹林のスローモーションのインサート。 さらにカラーの色を落としたようなくすんだカラー。 雨の中、ふさを追いかける正四郎。 ふさは、番傘をさしながら、雨除けのろう紙を肩に羽織っている。美しい。 最近、歳のせいか、切ない映画には感動してしまう。
自分が今まで観た市川崑監督作品では1番好きな映画だ。 映画はとぼけた笑いの中で展開されるので、市川監督らしい切れのいい明るく切ない映画になっている。 |

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えー、こんな映画があったのですか・・・
見たいですね。
最後まで新技術に挑戦する点が市川監督らしいですね。
2009/12/1(火) 午後 10:30 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃんさん
よかったですよ〜。
DVDも出ているようなので、是非。ほんと、市川監督は映像作家ですね。特に切ないストーリーと映像がマッチしたこの映画は、素晴らしかったです、自分には。
2009/12/2(水) 午後 8:15
素晴らしい映像美でしたね〜〜そしてなんとも切ないおとぎ話のような話で、最後まで人を思いやる映画でしたね、
名優さん達の姿も素晴らしかったです
TB返させて下さい
2009/12/2(水) 午後 11:05
くらげさん
コメントありがとうございます。
サスペンス風のおとぎ話に素晴らしい映像美、ほんとよかったですね。浅野ゆう子、中井貴一、フランキー堺、井川比佐志、岸田今日子みんないい味を出していましたね。特に浅野ゆう子が抜群でした。
2009/12/3(木) 午前 0:15
コメントありがとうございました。私と映画の好みが似ている気がします(笑)。これからも是非とも仲良くして下さい。
2009/12/3(木) 午前 0:31
シーラカンスさんの「もう一度、ほんとによかった」が、この作品の素晴らしさの全てを語ってくれています。
本作だけが未公開だったのですね。
市川監督の珠玉の作品、是非見てみたいと思いました。
2009/12/3(木) 午前 1:34
はるまちさん
この映画、市川崑監督のカラー技術をあふれんばかり駆使しながらすばらしい出来栄えでした。もちろんストーリーは言うまでもなく。
こちらこそ、お気に入り登録までしてもらって、感謝です。お暇なときで結構ですので、のぞいてやってください。
2009/12/3(木) 午後 10:29
alfmomさん
市川監督には失礼かもしれませんが、ストーリーがあっての映像、ストーリーが面白くないと映像だけではもたないと改めて感じました。
2009/12/3(木) 午後 10:32
これは、スクリ−ンでみる映画でしょうか、ハイビジョンで撮っていますが。
2009/12/6(日) 午前 2:21 [ koukou ]
koukouさん
ハイビジョンから35ミリに焼きなおしているようです。
元がハイビジョンなのできめ細やかな印象です。実際はどうかわかりませんが。映画そのものはいい映画です。
2009/12/6(日) 午後 11:44
解説を拝見してぜひ見たいと思いました。ビデオ屋さんにあれば今日早速探してみます。
2009/12/7(月) 午前 10:59
neproさん
コメントありがとうございます。
ビデオ屋さんにあるかどうかわかりませんが、是非ともおすすめです。自分はどうも寓話的な切ない映画にはめっぽう弱いようです。
2009/12/7(月) 午後 11:30
私が行くビデオ屋さんには1本だけありました。それも最初行った時には行方知れず、再度行った時に店の人が私のことを覚えていてくれて「この前のビデオありましたよ」と。
昨日見させて頂きました。ずいぶん前の作品だったようで懐かしい俳優さんの顔もありました。浅野ゆう子の一番輝いていた頃でしょうね、綺麗でしたね。有難うございました。
2009/12/11(金) 午前 9:42
neproさん
ビデオ屋さんとコミュニケーションできていてうらやましいですね。そう、16年も前の映画ですからね。自分はフランキー堺がよかったです。もちろん、浅野ゆう子は最高ですね。光輝いていました。惚れてしまいそう。
2009/12/11(金) 午後 9:50
観ましたので、TBします。
山本周五郎の原作の良さと映像詩人の市川の力量が存分に発揮されいましたね。
2012/4/8(日) 午前 8:51 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃんさん
ファンタジーっぽいお話に、ユーモア、切なさ、映像作家の崑監督にはピッタリの題材でしたね。好きですね、この映画。
2012/4/8(日) 午後 2:11